株式会社KDDI総合研究所は、社会で関心の高いニュースをきっかけに広がる対話が特徴の「雑談対話型AI」を開発した。同技術により、毎日の豊富なニュースの中から利用者の関心に合った話題で対話を行う機会が増え、対話型AIを通じたコミュニケーションの利用が日常生活の中で浸透していくことが期待される。
背景
近年、スマートスピーカーやチャットボットといった自然言語(音声、テキスト)で話しができる対話型AIが話題になっている。対話型AIは自然言語での対話を通じて、音楽の再生や、天気予報を通知するなどの簡単な動作をさせることができる。
また、対話の場面を拡大するための工夫として、特定の動作を実行させる以外に、雑談を行う機能を有した対話型AIもあるが、そのほとんどは、あらかじめ準備されたシナリオのみに基づいた対話のため、話題が少なく、日常生活において対話型AIの利用が浸透しているとは言えなかった。
今回の成果
今回、KDDI総合研究所は、ニュースを対話のきっかけとした新たな「雑談対話型AI」を開発。利用者の関心に合致し、最新のニュースを題材とした対話を行うことにより、話題が豊富で飽きられにくい雑談対話が可能だという。
特に、ニュースと合わせてSNSなどの世間の反応も対話の材料にすることで、より多くの情報から継続した対話を提供できることが特徴。同技術により、特定の用件がある場面以外でも対話型AIを楽しむことができるなど、対話型AIによるコミュニケーションの利用場面を大きく拡充することができるという。
技術的特徴
今回開発した「雑談対話型AI」では、ソーシャルメディア解析技術に基づく時事話題対話エンジンを活用し、利用者の興味関心に合致し、かつ社会で話題になっているニュースをリアルタイムに取り込んだ雑談対話を実現している。
さらに、一般的な日常対話シナリオについても、クラウドソーシングによって、質の高い対話表現を大量に蓄積することにより、時事話題から派生した楽しい雑談への対応も可能にしているという。
- 時事話題対話エンジン:
ソーシャルメディア上で話題になっているニュース、およびそのニュースに対する利用者の反応(ツイート等)を収集し、対話の話題として活用。利用者のプロフィールのみならず、選ばれた話題に対する社会の反応を対話の内容に織り交ぜることで、人間同士の世間話のような雑談を続けることができるという。 - 日常対話エンジン:
時事話題以外の日常的な対話を拡充するため、クラウドソーシングによって蓄積された雑談対話シナリオを時事話題と組合せて利用。クラウドソーシングの活用により、実際の人間同士の対話のような複数回の相互発話を含む、一貫性のある対話シナリオを効率的に作ることができるという。
今回の雑談対話型AIの被験者実験を行った結果、政治やスポーツなどの幅広い話題に対し、既存の対話型AIの2~3倍の長さで、一貫性のある自然な対話が続けられることを確認したという。
https://youtu.be/34J-Ixy0yfY
【関連リンク】
・KDDI総合研究所(KDDI Research)
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