京セラ株式会社は、ソフトウェアの研究開発拠点である「ソフトウェアラボ」において、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下IBM)が提供するPaaS(※1)「IBM Bluemix(ブルーミックス)」(以下Bluemix)を開発プラットフォームとして、本年12月より採用した。これにより、自社内だけでなく、顧客企業にIoTでのデータ収集基盤、およびアプリケーション開発環境までを提供することができ、IoTビジネス展開を強力に支援することで、製品の用途拡大を図る。
京セラは、自動車関連市場、情報通信市場、環境エネルギー市場、医療・ヘルスケア市場など、非常に広範な分野へ部品を提供し、さまざまな要素技術も多く保持している。一方で、昨今、部品の競争力は微細化だけでなく、用途開発に直結するソフトに移りつつある。
京セラでは、ハードウェアの能力を最大限に引き出す 「 ハードとソフトの融合」、「モノのインターネット(IoT)領域でのイノベーション」をミッションに、2015年10月、「ソフトウェアラボ」を新設した。同拠点では、「IBM Bluemix」を採用することで、京セラのさまざまなモジュールを活用したソフトウェア開発の生産性向上を実現し、開発期間の短縮や、多様化する顧客ニーズへの対応も可能となる。
同時に、センサー・データを取得するAPI(※2)やこれまでに開発してきたソフトウェアをBluemixで公開し、顧客や外部企業とのコラボレーションの展開も期待できる。
「IBM Bluemix」は、オープン・スタンダードであるCloud Foundry上に構築された、オープンなPaaSだ。
Bluemixは110を超えるサービスやAPIを提供し、これらを組み合わせることでプログラミング工数を大幅に減らし、短期間で高機能なアプリケーションの開発と稼動を実現する。特にIoT領域においては直感的な操作でアプリケーションを作成することのできるフロー・エディター「Node-Red」が提供されている。
また、センサー・データの収集、管理、制御など、IoTアプリケーションに必要なソリューションを包括的に提供できるため、データ活用がより容易になる。
京セラでは、これまで環境エネルギーの分野において、エネルギーの見える化や設備管理、OpenADR2.0b(※3)対応のデマンドレスポンスなどの全管理を自動でおこなう総合エネルギー管理システム「POM SYSTEM(ポム システム)」を顧客企業に提供してきた。
今後は同アプリケーションをBluemixに公開し、顧客企業が自由にカスタマイズできる環境を提供すると共に、IBMのコグニティブ・コンピューティングである「Watson API」などと連携し、生産性の向上などの顧客ニーズに迅速に対応していきく。
さらに京セラが展開する自動車の画像認識やセンシング技術の分野においても、Bluemixを活用した自動運転をはじめとする新しい価値を具現化していくという。
※1 PaaS(Platform as a Service):アプリケーションが動作するためのOS等のプラットフォームを、ネットを介し提供するグローバルサービス
※2 API(Application Programming Interface):プログラムの機能や管理するデータなどを外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約
※3 OpenADR2.0b:自動デマンドレスポンスを実現するための通信プロトコルで米国OpenADR Allianceによって管理されている標準規格
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