日本で依頼し、グローバルで認証試験を行うことができる
上西: 試験や技術コンサルティングを行う製品分野としては、大きく分けるとスマートリビング、オートモーティブ、パーソナル、エンターテインメント、インダストリーです。インダストリー分野は幅広い業界から問い合わせいただいており、昨今ではIoTのSIerやディベロッパー等からの引き合いが増えています。
小泉: オートモーティブでは、どういったことをされているのでしょうか?
髙橋: 現在オートモーティブ分野では、世界中のスマートフォンとの互換性検証に関するご依頼が一番多いです。これまで、OEMが自動車分野やモノづくりのヒエラルキーのトップだったので、モノゴトを全て決められることができていました。
しかし昨今、カーメーカーが一番困っているのは、端末に問題があったとしても「スマホとつながらない」というクレームがディーラーに入ることです。そこからエスカレーションして、最後にはクルマの開発エンジニアに問題があがってきますので、それを防ぐために、市場に出す前にできるだけ多くのスマホと検証しているのです。
小泉: コネクテッドカーだと位置情報を発信したりしていますが、その部分は対応されているのでしょうか?

髙橋: TCU(テレマティクス・コントロール・ユニット)と呼ばれる通信の検証は今年頭くらいから依頼がきはじめており、対応が逐次始まっています。国内向けのクルマを開発しながらも、世界での検証も必要です。世界の通信網によって振る舞いが微妙に異なるので、アリオンでは日本で話を受けて、全世界拠点でグローバルの通信網を使って検証をすることができます。
小泉: なるほど。ですが、グローバル拠点として、ヨーロッパがありませんでしたね。
髙橋: 今までは欧州での検証の際はパートナー企業に委託をしていましたが、この9月に欧州拠点がハンガリーに立ち上がります。現在は欧州も含め、オセアニア、アジアパシフィックも出張対応か現地のパートナーを使って、全世界で25か国以上の現地網で検証をしていきます。
小泉: エンジン自動車が電気自動車になることによって、検証ポイントが増える気がしています。クルマを制御するためのコントローラーが動力やブレーキに指示をだしていると思いますが、そこはまだネットワークではなく電気信号なのでしょうか。
髙橋: まだその辺は昔のハーネスと同じ仕様でやっていると思います。ただ、そのハーネスも含めて、これまでの通信プロトコルではCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などが主流で、クルマの中だけのデータ量がそれほど大きくないことから、時間と通信品質を重点にやっていました。
それが今後は、これまでの車載通信バスに加えて、センサー、車載カメラ、マルチメディアデバイス等の通信が要求されるため、CANやLINのレベルでは足りなくなり、MOST(Media Oriented Systems Transport)、BroadR-Reach(ブローダーリーチ)、Ethernet(イーサネット)が出てきて、どれだけの帯域が必要なのかということで、われわれもクルマ用のEthernetの品質も、新しい検証サービスも立ち上げています。

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