西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)と日本マイクロソフト株式会社は、NTT西日本が策定した「地域創生クラウド」構想の実現に向けた第一歩として、自治体向けクラウドサービス基盤の導入・展開で協業を開始すると発表した。
近年、各分野の情報システムでは、効率性やセキュリティ、柔軟性などの観点からクラウドサービスの利用が拡大している。本年6月に、日本政府が政府情報システムの整備に関してクラウドサービスを第一義的に検討すべきとした「クラウド・バイ・デフォルト原則」を発表(※1)したことを受け、地方自治体でもクラウドサービスの導入・利活用がさらに注目されているが、ICTに精通した専門職員が不足しがちな現状がある。
NTT西日本がめざす「地域創生クラウド」とは、NTTグループの様々な技術やNTT西日本が持つ各地域のデータセンターなどの設備、事業分野別のコンサルティング力、地域密着のサポート力に加え有力なパートナー企業の先進性の高いクラウド技術を組み合わせた、地域の情報集積プラットフォーム。
このプラットフォーム上で、様々なアプリケーションが利用できるように各地域のパートナー企業とも連携を図り、自治体が抱える産業活性化、雇用創出、高齢化対策などへの対応や、人手不足に陥りがちな地域企業が求める仕事の効率化などの実現をめざす。将来的には、自治体での利用にとどまらず観光や教育などの様々な分野でも活用できるように取り組んでいくという。
今回、NTT西日本と日本マイクロソフトは協業し、西日本エリア(富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県)の地方自治体向けのクラウドサービス基盤の導入・展開を進め、自治体システムに親和性の高いハイブリッドクラウドを提供する。
地方自治体が保有するシステムでは、データの保管場所が県内などに特定される運用が求められるものもあるため、要件に応じてプライベートクラウド、パブリッククラウドを最適に組み合わせるハイブリッドクラウドの活用が、重要な課題となっている。
今回の協業で、パブリッククラウドであるMicrosoft Azureと同様の技術からなるAzure Stack(※2)をNTT西日本の地域データセンターに構築することで、機密データの保管場所を地域に限定するとともに、低遅延を要求するシステムなどを地域データセンターから提供。また、アプリケーションの性質に応じて、Microsoft AzureとAzure Stackを使い分けることにより、コストを最適化するという。
各社の役割は以下の通り。
NTT西日本は、以下の強みを最大限活用し、ワンストップで高度なサービスを提供できる体制構築に向け取り組むという。
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地方自治体をアカウントする専門組織
- 西日本エリア(富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県)の各府県1箇所以上設置されたデータセンター
・耐震性に優れた通信ビル
・生体認証や共連れ防止ドアによる入退室管理など高度なセキュリティ機能の具備 - 地域密着のサポート力
西日本エリア(富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県)に約200以上ある駆けつけ可能な拠点
日本マイクロソフトは、マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラムを通じて、以下を実施する。
- パートナー企業へのクラウド人材育成プログラム(※3)の無償提供
- パートナー企業への自治体向けソリューション開発・提供の支援
今後1年間に、住民支援サービスなど50のパートナーソリューションを開発・提供 - 各国での利用実績に基づいた技術支援
海外でのハイブリッドクラウドの構築、導入、運用などのノウハウに基づいた情報提供や技術支援を、マイクロソフト米国本社とも連携して提供
※1 2018年6月7日「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」より
※2 Azure Stackは、マイクロソフトのパブリック クラウドサービスであるMicrosoft Azureの拡張機能として、顧客の自社データセンターを利用できる、新しいハイブリッド クラウド プラットフォーム製品。
※3 具体的なプログラム内容として以下を予定。
・公共機関向けパブリッククラウド活用トレーニング
・クラウド技術に関する実習型セミナー
・AI/IoT活用トレーニング
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