NECは、ネットワーク(イーサネット)を利用して、コンピュータや産業機器等の様々な機器で利用されている業界標準バス規格:PCI Express(※1)を拡張する技術「ExpEther」(エクスプレスイーサ、※2)のIPコア提供を開始する。
近年、次世代インダストリーに向けて、製造現場における産業機器は、多品種少量生産や生産性向上のために、短期間開発や、低コストと高性能の両立が求められており、低コストで高性能なイーサネットやPCI Expressを活用するケースが増えている。
しかし、産業機器はネットワークの高信頼性や機器の分散配置が求められるため、イーサネットでは高信頼通信、PCI Expressでは距離延長の対応が課題となり、その解決が求められている。
「ExpEther」は、イーサネットを従来のIPデータ通信用として用いるだけでなく、接続距離が限られるPCI Expressやクロック信号、顧客独自のI/O信号等のデータ通信路として用いる事で、接続距離の延長を可能にする。また、一般的なイーサネットスイッチ機器や無線LAN機器を用いた場合においても、「ExpEther」はデータが欠損しない高信頼転送を実現する。
これまで「ExpEther」技術を搭載した製品は、大学や企業への導入をはじめ、公共・社会インフラシステムなどを中心に採用されてきた。今回、次世代インダストリーの早期実現を目指す顧客との共創に向けて、低コストなFPGA(Field Programmable Gate Array、※3)に組込み可能で短期間での導入を実現する「ExpEther」IPコアのライセンス提供を開始する。
「ExpEther」IPコアの主な特長
- PCI Expressインタフェースを数km以上延長可能(I/O拡張)
- 様々な信号を低遅延かつデータロスなく転送可能(高信頼・低遅延転送)
- 機器の柔軟な構成変更を実現可能(I/O仮想化・リソースプール)
PCI Expressの標準規格に準拠し、既存機器のOS、ドライバ、ハードウェアを一切変更する事なく、PCI Expressの距離延長を実現します。
PCI Expressのデータに加えて、工場における緊急停止ボタンのON/OFF信号や、同期のためのクロック信号等、お客様独自の信号の転送も実現します。
ネットワーク上に接続したPCI Expressのデバイスを、ソフトウェア等で自由自在に接続変更を行う事で、機器の柔軟な構成変更を実現します。
「ExpEther」IPコアの活用イメージ
なお、提供価格は個別見積もりとなる。
(※1)コンピュータのI/O拡張バス規格。コンピュータとグラフィックボード等の拡張ボードを接続する際に用いられる。
(※2)ExpEtherとはLAN標準のイーサネット上に業界標準バス規格:PCI Expressを拡張する技術として2006年にNECが開発。
(※3)ユーザーが論理機能を自由に設定できる集積回路。
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
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