「1兆個のデバイスがネットワークでつながる」世界に向けた取り組みは加速し、今後も続くことが予想される。ネットワークのエッジ側で機能的に制約のあるデバイスが増加する中で必要となるのが、こうしたデバイスの演算機能を効率的に拡大する方法を見つけることだ。
これらデバイスの演算能力が高まることで、開発者にとっては、機械学習アプリケーションをデバイスに直接記述し、エッジ側で意思決定を行う機会が直ちに得られ、データのセキュリティを強化しつつ、ネットワークのエネルギー消費量、レイテンシー、帯域幅の使用量を削減することができる。
その実現に向け、英Armは、Arm Cortex-Mシリーズ・プロセッサ向けのMプロファイル・ベクトル拡張機能(以下、MVE)である「Arm Helium」テクノロジーを発表した。
Arm Heliumテクノロジーは、Arm Cortex-Mシリーズ・プロセッサ向けのMVEとして、Arm TrustZoneのセキュアな基盤に基づき、Armv8.1-Mアーキテクチャの演算能力を強化する。Heliumは、次世代のArm Cortex-Mプロセッサで、機械学習のパフォーマンスを最大15倍、信号処理のパフォーマンスを最大5倍向上させる。
同ソリューションはこれまで、エネルギー効率の優先度が高い、最も制約の多い組み込みシステムを対象に、CortexプロセッサとSoCのDSPを組み合わせてきたが、これにより、ハードウェアとソフトウェア両方の設計が複雑化している。
こうしたデバイスにより多くの機械学習機能を実装しようとする際、SoCの開発に関する既存のさまざまな課題は、より厳しいものとなり、異なるツールチェーンの活用、プログラミング、デバッグ、独自仕様の複雑なセキュリティ・ソリューションの作業には、より高度な専門知識が要求される。
Armv8.1-MとHeliumは、効率性で妥協することなく、リアルタイムの制御コード、機械学習、DSPの実行機能を提供することで、こうした課題を解消する。その結果、多数のソフトウェア開発者は、インテリジェントなアプリケーションをセキュアに拡張し、より幅広いデバイスでDSP機能を活用できるようになり、センサーハブ、ウェアラブル端末、オーディオ機器、産業用アプリケーションなど、Cortex-MとHeliumテクノロジーをベースとした次世代SoCを使用する将来のデバイスでユーザー体験の向上に繋がる。
また、パフォーマンスの向上や開発コストの削減だけでなく、SoCの設計・開発チームは、機能の統合による、コスト、消費電力、設計作業の最適化を実現し、Platform Security Architecture仕様に準拠したArmv8.1-Mの設計により、TrustZoneをシンプルに導入することが可能になる。
制御と信号処理、両方のソフトウェア開発に単一のツールチェーンで対応ができる。十分に確立されたHeliumエコシステムが、ツール、モデル、ライブラリの包括的なセットを提供し、その多くは、現在すでにCortex-Mの開発者に使用されており、ソフトウェアの開発が容易になる。
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