近年、電力会社では全世帯・全事業所へのスマートメーター導入を進めるなど、ビッグデータやIoT等のデジタル技術による取り組みが広がりつつある。そのスマートメーターで構築する無線ネットワーク規格として、低消費電力で通信距離に優れる「Wi-SUN」が採用されている。
ローム株式会社は、Wi-SUNの最新規格の一つであるWi-SUN Enhanced HANに対応した小型汎用無線通信モジュール「BP35C0-J11」を開発した。「BP35C0-J11」は、高度な受信感度を持つ無線通信機能とマイコン、大容量メモリを内蔵したアンテナ外付けの面実装モジュールであり、Wi-SUN Enhanced HANの特徴である、リレー通信機能と、スリープ通信機能をサポートしている。
リレー通信機能により、例えば屋内のHEMSコントローラと屋外に設置された蓄電池やEVチャージャーといった機器との通信のように、通信端末同士の通信距離が離れている場合でも、中継機を介することでより安定して通信することが可能となる。スリープ通信機能によって、電池駆動機器では難しかった双方向通信が可能になる。これにより、広範囲のエリアをカバーしつつ、低消費電力動作も実現できる。
この拡張機能のあるWi-SUN Enhanced HAN規格により、今後、家庭内ネットワーク(HAN)の他、工場や商業施設内の広い場所でWi-SUN対応機器へさらなる普及拡大も見込めるという。
「BP35C0-J11」には、ロームの独自機能として、無線ファームウェアアップデート技術(FOTA)が搭載されており、遠隔からのファームウェア更新が可能である。これにより、規格のマイナーアップデートや万が一機能修正が必要になった場合でも、機器の回収や交換作業が発生しないため、低コストかつ短期間でファームウェアを更新することができる。
同モジュールは、Wi-SUN Enhanced HANで規定されているすべてのモードをサポートしている。そのため、HEMSコントローラ等のネットワークを統括するコーディネータ、家電やセンサ等のネットワークにつながるエンドデバイス、無線通信を中継するリレーデバイス、省電力動作を行うスリーピングデバイス、スマートメーターと接続するBルートにも使用できるので、ハードウェアの交換やファームウェアの切り替えは不要である。
また、Wi-SUNアライアンスがマルチベンダー間の相互接続性を担保するために策定した認証試験の基準器(CTBU)としてアライアンスに登録されているので、安定した信頼性の高い通信を実現できる。さらに、サービスを構築するために必要なアプリケーションソフトの開発やECHONET Lite認証は、サードパーティーである株式会社アイ・エス・ビーからサポートを受けることが可能だ。
なお、同製品は、サンプル価格1個6,800円で、1月から量産を開始しており、「BP35C0-J11」を実装した評価用基板「BP35C0-J11-T01」を3月からインターネット販売を開始している。
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