台北で行われていたCOMPUTEX2019のレポート第7弾は、WASAI Technologyという台湾が本社の企業だ。
WASAI Technologyが提供するWASAIというサービスは、FPGAを使って、ビッグデータ解析を行ったりゲノム解析を行ったりする技術だ。
FPGAとは
FPGAとは、Field-Programmable Gate Arrayの略で、Wikipediaによると、「製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路であり、広義にはPLD(プログラマブルロジックデバイス)の一種」とされている。
通常回路設計は物理的なトランジスタなどを基盤の上に配置するイメージで行われるが、この場合間違った回路設計を行った場合物理的なやり直しが発生するなどの課題がある。FPGAの場合、一つのモジュールがこれを担当しているので、論理的なロジック設計を行えばよい。間違った場合や、変更したい場合も即座に現場で実行できることから、液晶テレビなど、様々な電化製品の部品としてよく使われている。
FPGAでビッグデータを解析するということとは
通常、データベースにあるデータはメモリー上に移され、CPUがそのデータを演算していく。FPGAの場合はこの演算処理をCPUではなくFPGAが行なっていると考えればわかりやすい。
コンピュータ自体はCPUでコントロールされているので、データ処理を行う入り口まではCPUが行うわけだが、その後、FPGAのプラグインを呼び出すことで、その処理をFPGAに代替させることができるのだ。
もちろん、どんな操作でもFPGAで行えるわけではなく、例えば、Hadoopと呼ばれる大規模データの分散処理をするソフトウエアフレームワークがあるが、こういったものを前提とした処理を高速化することができることが強みだと言える。
昨今、交通渋滞の解消や、物流コストの最小化、エネルギーの安定供給などで「組み合わせ最適化」が行われているわけだが、こういった問題を解決するのに強い方式なのだ。
WASAI TechnologyによるとCPU使用率を1/4に、スピードを6倍にアクセラレートすることができたというベンチマークもあるという。また、トータルでの電力消費も低減することができるということだ。
ちなみに、日本では日立が2017年に同様の発表を行なっているようだ。一方で、WASAI Technologyは2015年に設立されている。
WASAIで提供される高速化サービス
WASAIの場合、Hadoop以外にも、HiveやSparkといったフレームワークに対応していて、処理の前にWASAIをつかって処理をするというコードを記述する程度でよい、という手軽さもありがたい。
また、ゲノム解析についても、30時間かかかっていた解析処理が5時間で完了したということだ。
トップ画像では基盤のイメージが掲載されているが、FPGA自体を量産するというビジネスモデルではない。あくまで、CPUから指示を受けてあるデータ処理をFPGAを使って高速に処理をするというソフトウエア面(API)を担う。
すでに、Intelのサーバで実装することができるようになっている一方で、Intel製のPACカードがない場合、WASAI Technology製のFPGAカードを利用することもできるのだということだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。