2019年10月23日~25日まで幕張メッセにてJAPAN IT WEEK秋が開催された。
今回から組み込みシステム開発技術展とソフトウェア、アプリ開発展が新設され、従来からのクラウドコンピューティングEXPOや情報セキリティEXPOなど、ITの要素技術からネットワークインフラ、セキュリティ、アプリケーションまで網羅することができる、大規模な展示会である。
今回は、ITを支えるネットワークインフラや、IoTゲートウェイなどの通信デバイスを中心にお届けする。
富士通エレクトロニクス、PicoCELA ─ PCWL-0400
PCWL-0400はPicoCELA社が開発した、メッシュ構成が可能な無線LANアクセスポイント(以下、AP)である。
従来のAPでは、メッシュ構成は技術的に可能であるものの、通信の安定性などの視点で、推奨されてこなかった。
このため、各APに対してLANケーブルを敷設する必要があり、LAN配線費用に多大なコストが発生していた。AP本体より敷設コストの方が高い場合がほとんどである。
PCWL-0400は、イメージとしてはスター型のネットワークトポロジーに近く、任意のPCWL-0400を親機とし、親機と通信可能な範囲のPCWL-0400は自動で当該親機の子機として紐付けられ、親子間は無線で通信を行う。
多段中継も可能でカタログ上は10ホップ以上可能とある。
また、いわゆる無線LANコントローラは不要で、クラウドから各PCWL-0400の設定変更や運用が可能である。
これらにより、AP導入コストが大幅に低減できたという。
コストの低減だけでなく、搭載されたSoCのリソースを利用する事により、PCWL-0400上でコンピューティングを行い、クラウド上のPicoManagerと連携する事で、ユーザー独自のアプリケーションを構築する事ができる。
展示会では 、ユーザーデータ(事前に承諾を得たユーザーのみ)を収集する事で、ユーザーがどこにいるかリアルタイムに把握し、ヒートマップで表示する、といったスキー場の事例が公表されていた。
ベルチャイルド ─iBRESS cloud
iBRESS cloudはベルチャイルドが提供するクラウド環境である。
特徴はクライアントとクラウドの接続をVPNレス(かつセキュアに)で行い、低レイテンシなクラウドネットワーク環境を利用出来る。
セキュリティ面に関しては、クライアントからクラウドに対する通信(アウトバウンド接続)のみ許可しており、また送信されるデータはSSL化する事で、クライアント側から外部への情報漏洩を防ぐ事ができる。
その他にも、クライアントとクラウドの接続が成功すると、その後、常にクライアント側からクラウドとのセッションを維持するPush技術を用いている。常にセッションが維持されているため、クライアントからクラウドに通信を送信する際に、通信の安定性や、より高速な通信が実現できる。
クラウド側のサーバー負荷が気になるが、「問題無いです」とのこと。
WEBブラウザで利用可能なモニタリングツールも用意されており、工場のIoT化に伴い、遠隔地などから工場の状況をよりリアルタイムに監視したい、などの要件に向いていると言える。
アウトバウンドの通信が許可されているセキリティポリシーであれば、既存のネットワーク設定を変更せずに導入でき、価格も1ヶ月15,000から利用可能となる。
アスコ、シーズウェア ─PUSHLOG
PUSHLOGはアスコが開発したIoTゲートウェイである。
PLCからデバイス値を読み取り、セルラー通信でクラウドに送信する。また、クラウド環境ならびにブラウザで利用可能な監視ソフトもトータルで提供する。
特徴は、導入が非常に容易なことで、PUSHLOGをPLCに接続すれば、PUSHLOGがPLCのデバイス値をプログラムレスで読み取るため、PLC側の設定変更は不要となる。
設置から10分で遠隔監視、というのもうなずける。
主要なPLCのプロトコルに対応しており、今後も対応を拡張していくという。
1台のPUSHLOGで、1台のPLCから20点までデータを読み取る事が出来、クラウド環境ならびに管理ソフト合わせて、(詳細は割愛するが)非常に安価なサブスクリプションで利用可能となる。
また、20年近く製造業のユーザーと取引があり、保守に対する厳しい要求にもタフに応えられるのが魅力だ。
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