エッジコンピューティングで俊敏なデータの洞察を行う「インサイトの時代」が来る―HPE Virtual EXPERIENCE 2020レポート

2020年6月23日(米国時間)、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(以下、HPE)は、オンラインイベント「HPE Virtual EXPERIENCE 2020」を開催し、同社CEOのアントニオ・ネリ氏(トップ画像)がキーノートセッションに登壇した。

セッションでは「新型コロナウイルスの感染拡大による変化とHPEの対応」「データから洞察を行い、行動を生み出すインサイトの時代への突入」「HPEの新サービス発表」の3つが主要なテーマとして語られた。

ソーシャルディスタンスの追跡、熱感知などで、ニュー・ノーマルにおける仕事や生活の継続を支える

ネリ氏はまず、新型コロナウイルスの感染拡大が社会全体に多くの新しい課題が生み出し、人々は前例のない時代に生きている、と現在の状況を述べた。

さらに、新型コロナウイルス感染拡大がもたらす企業の変化についても言及した。3年前、ネリ氏は企業が将来、エッジ中心、クラウド対応、データドリブンの方向へ向かう事を予測していたが、新型コロナウイルスの感染拡大によってその流れが加速し、予測は現実のものになるだろう、というのだ。

そのような状況のなか、HPEが取り組んだのは、ネットワークの構築や提供を行う事によって、人々の生活と仕事の方法を前進させることだった。例えばイタリアでは病院施設代わりに利用する船舶内に、ネットワーク環境を構築することを支援した。また、米国の大学においては、学生たちがテレワークによる遠隔学習が出来るように、ネットワークのアクセスポイント構築に取り組んだ。

このように、新型コロナウイルス感染拡大によって、仕事や生活に支障をきたす人々に対してHPEは迅速な支援を行った。一方で感染拡大後、ニュー・ノーマル(新しい常態)の確立が求められるなか、人々が安全を確保しながら仕事や生活を継続できるようにするため、HPEはソーシャルディスタンスの追跡や、タッチレスエントリー、熱感知といった新たなソリューションの提供にも取り組んだという。

エッジコンピューティングで俊敏な洞察を行う「インサイトの時代」を迎える

今回のキーノートセッションにおいて、ネリ氏がキーワードとして強調していたのは、「インサイトの時代」という言葉だ。

データの大量取得から、洞察し、アクションを起こす事に力点が置かれる時代へとシフトすることをネリ氏は強調した
データの大量取得から、洞察し、アクションを起こす事に力点が置かれる時代へとシフトすることをネリ氏は強調した

これまでの情報化時代において企業が焦点を当てていたのは、あらゆる場所にセンサーを設置し、大量のデータを取得することであった。しかしデータを蓄積するまでは良いものの、その膨大な量にデータを扱う側が圧倒されてしまい、データ活用が出来ていない状況になっているという。

このような状況をネリ氏は「情報化時代の終わりに近づいている」と表現した。そして今後10年はデータを収集する事よりも、データから洞察(インサイト)を行い、そこから未来を変えるための行動を生み出すことに企業は注力するするべきだ、と主張する。

では「インサイトの時代」を迎える上で重要なポイントとは何か。それはインテリジェンスをデータソースの側に近づけて、企業が俊敏性を獲得する事である、とネリ氏は説く。つまり、エッジコンピューティングによってデータの分析を行い、リアルタイムでデータを基にした洞察を行う事が企業にとって大切である、というのだ。

そのリアルタイムでの洞察を実現するためには、エッジでの分析からクラウドでの運用までを一括して行うプラットフォームを構築し、データを接続、保護、分析してアクションを起こす仕組みが必要である、とネリ氏は言う。そして、その仕組みは、オープンソースのクラウドネイティブ技術によってアプリケーションを構築し、高度に分散されたインフラモデル用に最適化された場合に実現できるというのだ。

しかし現状、エッジでの俊敏な洞察を実現するためには、課題がある。パブリッククラウドが出現してからほぼ10年経つにも関わらず、アプリケーションとデータの70パーセントは未だにパブリッククラウドの外側にある。そして、クラウドとオンプレミス、両方を維持するために高いメンテナンス費用を企業は支払っている。企業のデータ活用が俊敏性に欠け、かつ高いコストをかけている事が問題であると、ネリ氏は指摘した。

「HPE GreenLake」に新サービスを追加、新ソフトウェアシリーズ「HPE Ezmeral」を発表

キーノートセッションの最後には、「HPE GreenLake」への新ソリューションの追加と、新ソフトウェアブランド「HPE EZMERAL」の発表があった。

「HPE GreenLake」とは、オンプレミス、クラウド、エッジにおけるIT環境を、従量課金制で提供するHPEのサービスだ。今回、「HPE GreenLake」に追加されたのは、仮想マシンサービス、ストレージ、データ保護サービス、コンピュートといったソリューションだ。

また、HPEは新しいソフトウェアのポートフォリオ「HPE EZMERAL」を立ち上げ、「HPE Ezmeral Container Platform」「HPE Ezmeral ML Ops」の2点を、「HPE GreenLake」上で提供開始した。

新たなソフトウェアのポートフォリオ「HPE EZMERAL」を発表
新たなソフトウェアのポートフォリオ「HPE EZMERAL」を発表

「HPE Ezmeral Container Platform」は、開発者向けのコンテナ管理プラットフォームであり、コンテナ化されたアプリケーションの開発におけるスピードと容易性をもたらすという。「HPE Ezmeral ML Ops」は、AI・機械学習でモデル開発を行うためのソフトウェアで、機械学習基盤のライフサイクルに俊敏性をもたらすとのことだ。

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