SORACOM Discovery2016の場で、株式会社ソラコム シニアエンジニア 松井基勝氏から、新サービスである、DoorとGateについて説明があった。
新サービスを含めた、SORACOMの8つのサービスのうち、ネットワーク関連サービスは4つだ。IoTで気になるセキュリティの問題については、SORACOM Airや、SORACOM Beamを活用することで、盗み見やリモートアクセスができなくなる。しかし、インターネット上にあるクラウドサービスや情報漏洩をする可能性に対しては対応できない。
そこで、SORACOM CanalやDirectを使うことで、AWSの内部にあるクラウドサービスの間を直結することで、閉域網に閉じ込めることができるのだ。
CanalやDirectは専用線サービスなので、インターネットVPNサービスを使って閉域網をつくれないか?というニーズに応えたのが、SORACOM Doorだ。
SORACOM Door
SORACOM Doorは、インターネットを活用した閉域網がつくれるため、どんなサービスとも簡単に、かつ安価に接続することができるというメリットがある。
仕組みとしては、SORACOM VPG(Virtual Private Gateway)をつくり、AWS VPN Connection というサービスを前提にVPN接続を実現しているということだ。
接続は3ステップで、一般的なルータであれば、ほぼサポートされている。ちなみに、「VPG」とは、仮想の交換機器のことだ。バーチャルなので、顧客単位で交換機を持てることが特徴だ。
SORACOM Gate
これまでSORACOM Airでつないだデバイスからの情報収集は簡単にできたが、デバイスをクラウド側からメンテナンスしたい場合実現することができなかった。そこで、SORACOM Gateというサービスが生まれたということだ。
SORACOM Gateを使うことで仮想的なLANをデバイスとクラウドの間に引くことができるので、クラウド側からモノをコントロールすることができるようになるのだ。
ただし、クラウド側のアプリケーションがのるサーバは、セキュリティの観点からCanal, Direct, Doorのいずれかで閉域接続がされていることが条件となる。
会場では、Raspberry Piにカメラを搭載したモノをSORACOMで接続し、インターネット経由のPCがクラウド上のサーバをコントロールすることで、Raspberry Pi上のストリーミングプログラムを動かし、会場の模様を動画で見ることができるというデモンストレーションが行われた。
デバイスのアドレスを任意のIPアドレスレンジにできないか?という悩みにも答えるために、VPGカスタムIPアドレスレンジ機能と、デバイスのIPアドレスを固定する機能も紹介された。これによって、SIMによって、固定のIPアドレスを採番することができるようになったということだ。
Door, Gateの関係をまとめると以下のようだ。
SORACOM Door 事例紹介:サトーホールディングス
サトーホールディングスは1940年から竹加工機・結束機からスタートした。1962年に世界初ハンドラベラー(値札を貼り付ける機械)、世界初1981年にバーコードプリンタ、90年代からDCS & Labelingとものづくり企業からソリューション主体(ソフトウエアや保守なども展開)のビジネスモデルに進化してきたということだ。
そんな中、スキャントロニクス CL4/6NX-Jシリーズがリリースされたということだ。このプリンタはこれまでのプリンタとちがい機器の状態をセンシングすることができるのだ。
グローバル化も進んでいく中、1秒、1分の停止も課題になる。
そういう中、SATO Online Service(SOS)と呼ぶサービスを提供した。
エンジニアリングサービスをバーチャルに提供していくということで、グローバルに、場所を選ばずに展開できるということが重要だという。
そこで、SORACOM Doorを使うことで、世界中の機器の状況をキャッチできるようになったということだ。
SORACOM Gate 事例紹介:フルタイムシステム
フルタイムシステム社は、世界で初めて宅配ロッカーを作った会社だ。
お客様が困った時になるべくはやく対応しなければならない。そこで、これまでは宅配ボックスとセンターの間に専用回線を引き、フルタイムロッカーの状態がわかるセンターをつくっていた。
また、センターでは遠隔操作もしなければならないし、本人確認などができることも重要であったということだ。
現在、24,000システムのロッカーが配置しており、17,000箇所がネットワーク管理されている。
FTSコントロールセンター(24×365管理する拠点)を中心に、現在では、宅配ボックスがシェアリングサービスなので、駅やオフィス、商業施設などにも受け渡しボックスを置き、サービスを提供しだしているということだ。
SORACOM GATEを使うことで、宅配ロッカーからデータを吸い上げるだけでなく、ロッカーの操作も遠隔で行うことが実現できるというのだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。