【概要】
■他のロボットを経由して見通し外にあるロボットの遠隔制御をする無線通信技術を新たに開発
■移動によりロボット間の通信経路が切り替わる際でも通信は途切れることなく継続
■障害物などで電波が途切れやすい環境での、遠隔操縦ロボットの安定した制御操作への貢献が期待
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラム・マネージャー: 田所 諭)の一環として、NICT及び国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)のグループは、制御用の電波が直接届かない場所(見通し外)にあるロボットを他のロボットを経由して遠隔制御し、かつその状態を監視する技術を開発した。
実験では、見通し外にある小型四輪ロボットに対し、上空のドローンを経由してコントロールすることを実証した。この技術は、ロボット間による中継経路がその移動により頻繁に切り替わる際でも通信を切断させないことを可能とする手法を採用している。
これまでの技術では、中継経路が切り替わるたびに通信が切断され、ロボットがその間、操縦不能になるという問題があった。この技術によって、通常は制御不能になる見通し外を動き回るロボットに対しても、他のロボットが協力して周囲の環境に適応しながら安定に制御通信回線を確保することができ、電波が伝わりにくい環境に対してタフなロボットシステムの実現に貢献できる。
今回実施された実証実験では、地上の小型四輪ロボットを制御対象としているが、今後は、制御対象を飛行するドローンに拡張する予定だという。また、無線による通信の信頼性をより高めるため、920MHz帯に加えて、緊急時のバックアップ用として、チャネル数は限られるものの、更に遠くに電波を飛ばすことができるVHF帯(300MHz以下)を追加した無線装置に拡張する予定。
開発された技術は今後、電波が伝わりにくい建物内やその近傍などでの災害時のロボットによる調査だけでなく、山間部でのドローンの低高度飛行によるモニタリング調査や物資の配送などへの応用、さらには複数のロボットやドローンが自律的にお互いに協調し合いながら高い信頼性を持つ無線ネットワークを構成するシステムの実現の基盤になることが期待される。
詳細は情報通信研究機構(NICT)ホームページを参照。
【関連リンク】
・情報通信研究機構(NICT)
・産総研(AIST)
・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
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