NECは、次世代無線インフラのアーキテクチャの1つである「モバイルエッジコンピューティング(MEC:Mobile Edge Computing)」にも利用可能な、ネットワークを自動で管理・制御可能な基盤「IoTサービスイネーブラ」を開発した。
同基盤は、IoTサービスで利用するセンサやカメラなどからの情報や、ネットワーク状況などをもとに、IoTサービスのネットワークリソースを自動で管理・制御する。例えば、低遅延な通信が求められる自動運転サービスと、数時間に一度の通信が求められる自動販売機の在庫管理サービスが同じネットワーク上で利用されている場合、自動運転サービスに多くのネットワークリソースを自動で割り当てる。
同基盤を利用することで、ネットワークの効率的な運用を可能とし、低遅延や高速通信が必要なサービスの実現と共に、ネットワークの運用コストや設備投資の効率化に貢献するという。
昨今、スマートフォンやIoTの普及により、ネットワークを利用したサービスは多様化・高度化しており、映像監視や自動運転などが実現され始めている。これらのトラフィック特性が異なるサービスを一つのネットワークで実現するためには、データ処理を高速化し、有限のネットワークリソースを各サービスに適切に割り当てる必要があるという。
MECは、データの処理機能の一部をクラウドではなく、モバイルネットワーク内に置くことで、通信距離を削減し、データ処理を高速化する。一方、サービスが要求するネットワークの性能やトラフィック特性・状況などに合わせた、適切なネットワーク制御、ネットワークリソースの割り当ては、MECだけでは実現できない。トラフィック特性・状況などに合わせてネットワークの適切な制御が可能な本基盤を導入することで、トラフィック特性が異なるサービスを一つのネットワークで実現可能になるという。
特長は以下のとおり。
- デバイスの情報やネットワークの状況をリアルタイムに管理
サービスに利用するアプリケーションとのインターフェースや、3GPP(注1)で規定されたネットワークとのインターフェース、OneM2M(注2)で規定されたセンサやカメラなどとのインターフェースを搭載。このため、IoTサービスに利用されるセンサやカメラなどが取得した情報と、モバイルネットワークのトラフィックの特性・状況を、どちらもリアルタイムに把握・分析することが可能。 - 把握・分析した情報をもとに、ネットワークを自動制御
各IoTサービスが求めるネットワーク性能や、センサやカメラなどが取得した情報やネットワークのトラフィックの特性・状況の分析結果をもとに、各サービスに適した、ネットワークリソースの割り当てや、ネットワークの設定変更などを自動で行う。例えば、低遅延なネットワークが求められる自動運転サービスと、数時間に一度の通信が求められる自動販売機の在庫管理サービスが利用されている場合、自動運転サービスに多くのネットワークリソースを自動で割り当てる。
これらにより、各IoTサービスに合わせたネットワークの効率的な運用を実現し、低遅延や高速通信が必要なサービスの実現と共に、ネットワークの運用コストや設備投資の効率化、次世代通信規格5Gの実現に貢献するという。
(注1)3rd Generation Partnership Project:第3世代移動通信システム(3G)をはじめ、携帯端末等の通信規格の標準化を行うプロジェクト
(注2)M2M(Machine to Machine)に関するグローバル標準仕様策定プロジェクト
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
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