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クラウド型のサービスを、簡単にIoTデバイスと連携できる「myThings Developers」を提供 -Yahoo! JAPANインタビュー

検索サイトや、様々なWebサービスを提供しているYahoo! JAPANがWebサービスと自社プロダクトを繋ぐことのできるプラットフォームサービス、myThings Developersを開発したとのことで、ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部 myThingsサービスマネージャー中村浩樹氏に話を伺った。

─myThings Developersのリリースの経緯を教えていただけますか。

myThings(マイシングス)のアプリ自体は、このプラットフォームを使った第一弾のプロダクトという位置づけで2015年7月に出させて頂きました。ただ、元々プラットフォームを事業の中核として置いていて、B2B2Cで事業者様を巻き込んでIoTのサービスをいかに作っていくこともとても重要だと思っています。去年の7月の段階からIoTのプラットフォーム構想という形で発表はしていましたが、今回、ようやく事業としてプラットフォームサービス「myThings Developers」を立ち上げられる状態になったのでリリースしました。

─なるほど。これからプロダクトといろんなものが繋がっていくと思いますが、最近、繋いだものを教えていただけますか。

プロダクトではないですが、最近繋げた中で一番反響が大きかったのが、弊社のサービスである「Yahoo!防災速報」の地震の情報、津波の情報と熱中症の情報などをmyThings経由で受け取れてmyThingsのアプリでも使えるようにしたことです。「Yahoo!防災速報」の通知情報は「myThings Developers」でも活用でき、今回発表したオムロン様の「家族目線」との連携の部分でも、まず、防災情報との連携の話が進んでいます。

左:IoTNEWS代表 小泉耕二/右:ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部 myThingsサービスマネージャー  中村 浩樹氏
左:IoTNEWS代表 小泉耕二/右:ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部 myThingsサービスマネージャー  中村 浩樹氏

─「家族目線」と防災情報が連携することで何ができるようになりますか。

検討段階ではありますが、例えば地震などが起きるとその情報が「家族目線」に伝わります、そして付属のスピーカーから防災情報を音声で受け取ることができます。

また、地震が起きた時にカメラのシャッターを切るようにする事で、その時の家の状況を画像として残したりできます、これによって離れたところに住む家族に被害の状況などを画像で自動的に知らせることができます。

─災害発生時には連絡が取りづらくなるとよく言われますね。

災害が起きた直後は大丈夫ですが、少し経つと皆が一斉に連絡などを初めて通信環境が悪くなることがあるので、災害発生直後に情報を送ることで通信混雑の影響を最小限にできます。

─どういったことをソニーモバイルと共同で行っていくのでしょうか。

具体的になっているものはまだありませんが、買い物の領域で色々と協力して取り組んでいければと考えています。

─水、洗剤、トイレットペーパーなどの消耗品をセンサーで感知して、消費の度合いを測るのは難しいように思いますが、その辺はいかがでしょうか。

将来的にはそういった物に関してはメーカーさんなどと協力して、計測が行えるような方法を作っていきたいなと思います。そうして、計測ができるようになれば日用品を扱っている、LOHACOのサービスとmyThingsが繋がっているので、そこに注文を飛ばすといった仕組みが考えられます。

─ECサイトと連携した場合の誤発注や二重注文といった問題はどうでしょうか。

そういった最後の作りこみのところが重要になってくると考えていて、検討段階ではありますが、1時間以内であればキャンセル可能であるとか、商品が届かない内にもう一回自動注文があった場合はその注文はスキップするなどの仕組みづくりが必要だと考えています。

─こちらのBOCCOについて聞かせていただけますか。

せっかくなのでデモをさせて頂ければと思います、まず技術的なところのお話をさせて頂くと、myThingsのプラットフォームには色々なサービスのプロダクトが繋がっていて、これをチャンネルという言葉で一括りにして呼んでいます。この色々なチャンネルとメーカーさんや事業者さんが自社のサービスプロダクトとAPIで連携できるツールとして、myThings Developersの提供を開始しました。よく、myThingsのアプリと何が違うのかというところを聞かれますが、プロダクトの機能としていろんなチャンネルと連携した機能が込みこまれている形になる。という所がポイントなります。

─クラウドサービスという事ですよね?

そうですね、エンドユーザーから見ると、myThings Developersを意識せずにさまざまな機能を使用できることになります。クラウドtoクラウドで見えないところで連携をしているので、ユーザーさんはあくまで、オムロンさんとか製品・サービスを使っていて、実は裏側でmyThings Developersと連携しています。

─先ほどのお話に有った災害情報はmyThings Developersにやってきていて、myThings Developersが家族目線に伝えているという事で、特にアプリを特に介さずに、クラウド上で情報のやり取りをしているということですか?

そうです、ユーザーさんは今までのアプリみたいに、何かと何かを組み合わせているというのではなくて、事業者さんが定義を作りこんで、ユーザーに届けるという部分がこのツールの役割となります。

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「myThings Developers ベータ版」

これは 開発者が使う画面です、トリガーとアクションというラインナップがあって。ドラック・アンド・ドロップで、防災の情報をBOCCOと連携させることができます。実際にはクラウドとの連携なので、エンドユーザーはこのUIを使わずに連携ができます、ツール上でも実際の動作確認ができるので試しに動かしてみます。

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BOCCO:「おばあちゃんちの近くで地震が起きたよ。震度は3だよ。安否確認をしてね。」

このようにサービスを選ぶだけで連携ができます。

─簡単ですね。

ただ、技術的な話にはなりますが、われわれがこのmyThings Developersを通じて、本当にやりたい事というのは別にあります。
例えば地震が起きた時に、外部のウェブのサービスを呼び出す事ができます。その機能をわれわれはカスタムアクションと呼んでいます。

カスタムアクションにはリクエストURLが書いてあり、自社のサービスのURLを指定する事によって、例えばメーカーさんが、チャンネルとしてラインナップされていないけど、自社のプロダクトと防災情報を連携したい時に、自社のサーバーに対してこの防災情報を飛ばして連携をする事が出来ます。

─なるほど、API連携が簡単にできるわけですね。

そうです、これがアクション、何かしらmyThings Developersのトリガーが発動すると、あらかじめ登録されたリクエストURLがキックされることで、プロダクトが動きます。

さらにこれとは逆の動作もさせることができます。これをカスタムトリガーと呼びます。
myThings Developers側に受け口ができるようなイメージですね。このURLにリクエストが飛んで来たらここのAPIを叩いてくださいねということができるのがカスタムトリガーです、そうするとAPI連携でDevelopersのアクションをプロダクト側から起こすことが出来ます。

チャンネルとしてラインナップされていなプロダクトからでも、myThings Developersのサーバー経由で例えばiRemoconなどを操作することができます。

─つまり、さっきスイッチ押されたのは、一般のチャンネルに登録されていないウェブサービスがあって、そこで何らかの処理を行ったら電気を消す、ということをしたい場合にはそのサービスからリクエストURLをmyThings Developersに飛ばすと、iRemoconアイリモコンと連携して、電気を消してくれるという事ですね?

そうです、おっしゃる通りです。それぞれのチャンネルの1個1個のAPIの仕様は全部違いますが、myThings Developersで連携をすると1個1個の仕様というのは全く気にする必要がなくなります。連携の定義をDevelopersで行って、そのソースコードを自分のサービスに組み込むと、連携を行うことができます。

─なるほど。いいですね。これはきますね。

ありがとうございます(笑)。

─最終的にこのサービスを使うのは個人の方、例えば家庭であっても構わないけど、その裏側のAPIを利用したサービススキームを作るのは企業でも構わない。何らかのウェブサービスを持っている企業からすれば、B2B2Cのサービスがこれによって実現できるという事ですよね?

そうですね、はい。

─なるほど、みんな色々なものを繋げたいとは言うものの、APIなどは簡単には繋がらないし、規格の標準化がなかなかされないので、どうやって繋ぐのかという問題が昔からありました。御社はハブになる人たちになりたいとおっしゃっていたので、こういうのが出てくるのを待っていましたが、ついに出てきましたね。しかもサーバーがYahoo!の基盤だから安心ですね。

そうです。そこもわれわれの大きな強みかなと思っています。

─セキュリティの面でも、Yahoo! JAPAN IDの手軽さがある一方で、Yahoo! JAPANが管理しているからという強みもありますね。

そうですね、セキュリティに関しては正確に言うとふたつのレイヤーがあると思っています、われわれがチャレンジしている領域は、あくまでクラウドとクラウドとの連携の部分で、そこのセキュリティは、IoTと言われてはいても基本的にウェブと変わらないセキュリティが適用されると考えています。

もう一個の課題は、エッジ部分のセキュリティです。最後インターネットに出ていく、ラストワンマイルの部分のセキュリティというのは、また別に必要だと考えています。僕らの領域ではないですが、この課題はまだ残っていると思います。

─なるほど、分かりました。myThings Developersは、どのようなビジネスモデルにしていくのでしょうか?

ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部 myThingsサービスマネージャー 中村 浩樹氏
ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部 myThingsサービスマネージャー 中村 浩樹氏

基本的には、まだ立ち上げの段階だと思っています。正式版としては無料で使える範囲を残しつつ、プラットフォームの利用料や、色々な形でのビジネスを考えていく予定です。

ただ、会社としての狙いは、あくまでこのプラットフォームが広める事で、先ほどのYahoo!防災速報やLOHACOを使ってもらえる事業者さんが増えれば、IoTプロダクトを通してその利用や流通総額も増えるというようにYahoo! JAPAN全体としてサービスの利用者数を増やしていくことです。

─なるほど。myThings Developersは仕組みがシンプルな中にも色々な事を考えられていると思いますが、一番作っていくうえで苦労された所はどこですか?

おっしゃっていただいた通り、仕組みそのものはシンプルで、技術的に新規性があるわけではないので、一番難しいところは、オープンに対しての取り組みの仕方とかスタンスが事業者それぞれで違う所です。そのような環境の中でユーザーから見た時に、ひとつのモノとして見えるように、規約の整備などの泥臭いところの方が意外と大変ですね。

技術は色々なものに先行して進化していくので、それをビジネスに利用していくとなると、泥臭いところの整備が一番大事だと考えています。

─プラットフォームの公開というのはどこまでの範囲を公開と呼んでいるのか、やってみると色々と起きるとは思いますが、どんどんそういった問題がクリアされていくと、色々な人が使い出すと思います、将来の展望としてはどのようなものがありますか?

これは当初から言っている事ですが、徹底的にオープンにしていきたいと考えています。われわれはモノを持っていないので、ある意味一番フラットになれる立場だと思っています。今回は既にいろいろと繋がっているチャンネルに対して、連携できる部分というのをオープンにしました。

今、色々なチャンネルがmyThingsに繋がっていますが、これはわれわれが今内製で全部繋ぎ込みをしていますが、APIを持っていてmyThingsに参画したいっておっしゃって頂く企業さんやメーカーの方も多いので、そういったところを促進するために、チャンネルとして連携できる部分というものをオープンにしていきたいと思っています。ツール上で自社のAPIの仕様を入れて頂いて、当然われわれで何らかのチェックはしますが、スムーズに自社サービスのAPIを公開して、それを他社が使って自社のサービスの利用機会もどんどん増えていく、使われる側と使う側の両方をオープンにして、このサイクルを回していきたいと思っています。

─APIを持っている企業が、例えばBOCCOなどをすぐにmyThingsに繋げるようになるという事ですか?

そうですね、今だとAPIを作る前提でサービス側プロダクトの開発される方すごく多いですが、繋ぐ先がなかったりするので、myThingsに繋がるとそこにはAPIを使いたいという人もたくさんいる状態というのを作りたいと考えています。

─本日はありがとうございました。

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