富士通株式会社は、株式会社NTTドコモと、第5世代移動通信方式(以下、5G)向けの大容量化技術である超高密度分散アンテナ(注1)の実験を共同で実施している。2016年9月に神奈川県横須賀市にて実施された電測車による屋外実験において、道路に沿って超高密度に分散配置された基地局アンテナを協調伝送することによって、アンテナを一か所に集中配置する構成と比較して、高いシステム容量が実現可能であることが確認された。
2020年以降の実用化に向けて世界中で研究開発が進められている移動通信方式である5Gは、急増する移動通信のトラフィックに対応するため、現在の1,000倍以上の大容量化や、10Gbpsを超えるデータ通信速度の実現、センサーネットワークなどのM2M通信の普及に伴うデバイス数の増加への対応などを目指しているという。同社はNTTドコモと共同で、移動通信システムの大容量化に貢献する技術として超高密度分散アンテナの研究開発を進めている。
実験は、4.5GHz帯の周波数(帯域幅200MHz)を利用し、約40m間隔で4か所に分散配置された基地局アンテナを用いて、8人のユーザーが同時に歩行している環境を模した電測車(8素子のアンテナを搭載し、時速5kmで移動)を使って行われ、実験区間内において全ユーザー合計で最大で5Gbps、平均で3.8Gbpsのシステム容量が得られることを確認。
今回の実験では、基地局には4素子のアンテナを配し、計16素子のアンテナを超高密度に分散配置し協調伝送することで、樹木などの電波遮へい物に対する通信耐性を高め、安定的に高いシステム容量が得られることが分かったという。

同実験には、総務省からの委託を受けて実施した「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発」の成果の一部が含まれている。
注1 超高密度分散アンテナ:高密度に分散配置した基地局アンテナを集中制御することで、端末の通信品質が良くなるようにセルを瞬時に形成して動的に制御する同社技術。
【関連リンク】
・富士通(FUJITSU)
・NTTドコモ(NTT docomo)
・総務省(MIC)
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