社会プラットフォームイノベーション事業を展開するアクロクエストテクノロジー株式会社(以下、アクロクエスト)は、株式会社ソラコムが提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」と連携した、IoTデバイス向けの時系列異常検知サービスとなる「Torrentio Flow」の登録受付を開始した。
「Torrentio Flow」(以下、トレンティオ・フロー)は、「SORACOM Junction(※1)」と連携し、IoTデバイスの動作不良や不正通信などの異常をリアルタイムで検知するクラウドサービス。データ通信SIM「SORACOM Air for セルラー」を利用中の顧客は、同サービスを併せて利用することで、デバイス障害や通信異常の検知、セキュリティ脅威などへの対策が簡単に実現可能だという。その際に追加のハードウェアやソフトウェアの導入は必要ない。
IoTシステムでは、様々なデバイス、データが利用される。トレンティオ・フローはIoT通信の時系列データを意識した異常検知の機械学習を導入しており、外れ値や周期異常など、複数種類の異常状態を自動識別し、問題を検出。以下のような課題を解決できるという。
- IoT デバイスからの通信がいつの間にか不安定になり、データ取得が正常にできなくなってしまう(デバイス故障、ネットワーク異常の可能性)
- 複数の IoT デバイスの中で、特異な好ましくないデータ通信や挙動をしている機器がある(設定ミス、エッジ処理での問題の可能性)
- IoT デバイスがマルウェアなどに感染し、想定しない宛先への通信の発生や急激なパケット量増加がみられる(デバイス乗っ取り、DDoS 攻撃踏み台の可能性)
IoTデバイスは、遠隔地で長期に渡って運用したり、多くの機器を扱ったりするために、問題の発見が遅れるケースが多くあるという。また近年は、IoTデバイスが乗っ取られ、サイバー攻撃の踏み台にされてしまうようなセキュリティ事象も増えており、IoTサービスの普及の一方、そのリスクもより高まってきている。
「トレンティオ・フロー」は、SIM単位で通信トラフィックやプロトコルの分析を行うため、リスクがある状況や改善すべき対象をピンポイントで特定でき、迅速な問題解決が可能になるという。また、通信パケット自体を解析するため、デバイスへの設定なども不要で、効率的に導入・運用できる。さらに、機械学習のエンジンでは、ElasticのMachine Learning(※2)機能を利用して、異常検知をしている。
従来では、上記のような対策を行うために、専用のハードウェアやソフトウェアを導入する必要があったが、SORACOM Air SIMと同サービスを利用することで、従来のデバイスや環境を変えずにそのまま対応することが可能。
「Torrentio Flow」の特長は以下の通り。
- 特別なデバイスやハードウェア不要で、SORACOM Air SIMを利用すると、どのIoTデバイスに対しても導入可能。
- 複雑な設定やモデル構築などの作業は不要で、自動で正常時の動作パターンを分析することで、「いつもと違う」異常状態を簡単に検知できる。
- SIMごとに詳細な分析が可能で、問題のあるデバイスをすぐに特定でき、問題の検知から解決まで、迅速に対応することができる。
主な機能は以下2点。
- SIM ごとの通信状況の可視化
- 機械学習による異常検知
現在はプライベートベータ版として、順次サービスを提供している。申し込みからサービス利用開始までは、1週間程度を予定。同サービスの利用には、「SORACOM Junction」の契約が別途必要になる。なお、現状は、SORACOMの「日本向け Air SIM」のみに対応。今後、「グローバル向け Air SIM」などに順次対応していく予定としている。
※1 SORACOM Junction:IoT デバイス機器がやり取りするパケットに対して様々な処理を適用できるSORACOMのサービス
※2 Elastic Machine Learning:Elastic X-Pack に含まれる時系列異常検知の機能
【関連リンク】
・アクロクエストテクノロジー(Acroquest Technology)
・ソラコム(SORACOM)
・Torrentio Flow
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