株式会社ソルティスターは、IoTのエッジコンピューティングにおいて、ゲートウェイで稼働するデータベースが、蓄積したデータをもとに自らデータの予測を行うインテリジェントデータベースを開発した。
インテリジェントデータベースは、ゲートウェイ上の組込みデータベースにデータの予測を行うことができる技術「予測インデックス」を搭載したものだ。
低消費電力で広い領域を対象にできる無線通信技術LPWAを筆頭に、センサーやデバイスの電力消費を抑える技術に注目が集まる中、インテリジェントデータベースは、データ予測技術を用いた通信量の削減による電力消費の削減や、異常値の早期検知を目指したIoTシステムの構築に寄与する。
また、熟練の職人の高齢化により技術の継承が課題となる製造業や農業など各分野においても、ノウハウのデータ化に役立つと期待される。
予測可能なインテリジェントデータベース活用のメリット
センサー端末の消費電力削減により長時間連続稼働が可能
インテリジェントデータベースの利用事例として、センサーから受信したデータを分析し、データ予測モデルを作成、そのモデルをセンサー端末へ送信する。LSI搭載のセンサー端末は、LSIが予測データと実測データを判定し、設定の範囲内(閾値を%で設定)で一致していれば、ゲートウェイへデータを送信しない仕組みとなっている。
このため、電力消費への影響が大きい通信量が抑えられ、センサー端末の消費電力も削減される。予測に必要なデータと外れ値が検出された場合のみ、センサーはデータをゲートウェイに送信、インテリジェントデータベースは、データ受信、分析、予測を繰り返し学習し、予測の精度を上げていくことができる。
予測データをもとに緊急時の事前対応が可能
未来のデータ予測が可能なため、他システムと連携し、異常値検出予測のアラートをあげたり、高速でデバイスを制御するなど、事前に対応ができる。
活用が見込まれる事例
- 山間部
電力供給が難しい場所で土壌等をセンシングし、デバイスの長寿命化とデータの異常値を検知することで、土砂崩れや雪崩等のデータ分析から予測を目指す研究に利用する - FA工場
モータ等の状況をセンシング・分析し、機器の不良や寿命を予測する - スマート農業
土壌や気象、作物の状況をセンシング・分析し、害虫発生や日照り等を予測する
なお、同成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業「IoT推進のため横断技術開発プロジェクト/超低消費電力データ収集システムの研究開発」の結果得られたものである。
【関連リンク】
・ソルティスター(SALTYSTER)
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。