株式会社ビズライト・テクノロジーは、Raspberry Pi 3 Model Bを利用したIoTゲートウェイ「BH3」の新モデルを発売した。
Raspberry Piを堅牢化した「BHシリーズ」は、Raspberry Piで開発したプロトタイプをそのまま業務用途に利用できる特長をもつ。累計出荷台数2,000台を超え、さまざまな用途で利用されているという。今回の新モデルは、既存製品に対して顧客から要望があった点を反映し、より使いやすくしたものだという。
新モデルの変更点は以下の二つだ。
- 工具不要でピンヘッダやカードスロットにアクセス可能に:
ケースの一部に開閉機構を設けることで、工具を使うことなくSDカードスロットやピンヘッダへアクセスできるようになった。 - 汎用LEDを追加搭載:
端末上部に電源確認用LEDのほか、オレンジ色の汎用LEDを追加で搭載。任意で利用可能なため、運用監視などに活用できる。
BHシリーズの従来の特徴は以下の通りだ。
- 電源断、シャットダウンプロセスの最適化:
Raspberry PiはLinuxベースのOSを採用しているため、正常なシャットダウンプロセスを実行しないと、OSがクラッシュしたり、SDカードを破壊したりする恐れがあり、産業用途で採用するには問題があった。BHシリーズは、大容量のコンデンサを使用し電源断からおよそ30秒間動作することが可能。 - 時計機能付き:
Raspberry Piはバッテリバックアップによる時計機能(RTC)を搭載していない。しかしほとんどのアプリケーションにとってRTCは不可欠なものとなる。BHシリーズは、RTCデバイスと、交換可能なボタン電池を搭載しているため、リアルタイム管理が必要なアプリケーションでも問題なく稼働する。 - 5V電源をダイレクト供給:
Raspberry Piは電源が不安定であり、さらにマイクロUSBポートは内部抵抗が高くて本来は電源供給に適していない。BHシリーズでは、内部にレギュレータを搭載して独自電源回路からRaspberry Piのピンヘッダ経由で5Vを供給することで安定した動作を実現した。 - 万全の放熱対策:
Raspberry Piは、単体ではそれほど放熱が問題になることはないが、産業用途を考慮した場合はゼロとは言えない。BHシリーズでは、CPUに放熱デバイスを装着して熱を金属ケースに逃すことにより、一層の安定化を図っている。恒温槽による温度動作試験を行い、0度~40度の動作を保証している。 - 耐ノイズ性能の大幅改善:
Raspberry Piは、ボード単体や市販されている樹脂ケースでは、産業用途に耐えうるノイズ対策がなされていない。BHシリーズは、グランド処理やケーシングを行うことで耐ノイズ性能を高め、EMSや静電イミュニティ、サージイミュニティなどの各種耐性検査をクリアしている。 - CPUの暴走対策:
Raspberry Piはハードウェアウォッチドッグタイマを搭載しているが、デフォルトの状態では無効化されている。BHシリーズはこれを有効化し、万が一CPUが暴走した場合でも、ハードウェア的にCPUをリブートできるため、システムがハングアップしたままになる可能性を低く抑えている。 - GPIOラインのノイズ問題をクリア:
Raspberry Piは様々な用途に使用できるGPIOが搭載されているが、GPIOポートには数100mVのノイズが乗っているため、手で触れるだけで誤動作を起こす場合がある。BHシリーズは、グランド処理やケーシングなどでノイズレベルを数10mVまで抑えた。 - 電源スイッチと連動するシャットダウン回路:
Raspberry Piを産業用途で使用する際には、電源スイッチが必要になる。BHシリーズは、電源スイッチと連動するシャットダウン回路を実装している。 - 汎用スイッチを5つ搭載:
機器組込用途では、モニタを接続できず、設定などに利用する最低限のスイッチを要求されることが多くある。BHシリーズは、汎用のスイッチを5つ用意しているため、別途スイッチボックスを用意する必要がない。
【関連リンク】
・IoTゲートウェイ「BH」シリーズ
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