内田洋行ビジネスITフェア2024

東芝メモリのSDカードはデジカメ利用だけでなくスマートファクトリー利用へ —第7回IoT/M2M展レポート【Original】

スマートファクトリーをテーマとした記事の中でも、「レトロフィット」という言葉で称される、昭和の産業機械やPLCをどうやってネットワーク対応するか、ということについて各所で議論がされている。

SDカードスロットがあったり、USBのポートがあるような産業機械なら、デジタルカメラ用のSDカードを差し込めば通信対応もできる。

といっても、通常のSDカードではデータを記録できるだけなので、SDカード自体に通信モジュールがついているものを使うのだ。

もともとの使い方は、このカードを差し込んだデジカメで写真を撮ると、即座にPCやスマホに転送されるので、通信機能のないデジカメでも簡単にデータを送り込むことができるという商品だ。

この原理を応用して、産業用PCで書き込まれたデータを定期的に別の場所にあるPCなどに転送するということが実現できる。これであれば、工場に配線をする必要もないし、不要になれば取り去ればよい。

実は類似商品は、すでにTDKやソニーからも発表されているが、実用化する流れの中でまず気になるのは、「処理をどう記述できるのか」という点と、「通信はセキュアなのか」という点だろう。

SDカードの仕組み

このSDカードは、NAND型のフラッシュメモリーと、無線LANの通信モジュールの間にマイコンが搭載されていて、マイコン上の処理を実行できるというものなのだ。

NAND型フラッシュメモリーとは、東芝が開発したメモリーで「データが消えない」「高速」という特徴から、デジタルカメラのSDカードをはじめとして、スマートフォンやパソコンなどに使われている。

Luaスクリプトと呼ばれる、組み込みやゲームなど高速処理を要求されるシーンでつかわれる言語で動くことができるので、メモリーが記憶した産業機械のデータを、定期的に通信モジュール経由で外部に送信することができるのだ。

また、こういった利用の背景からか、5/7に発表された、V4.00.03以降、WPA2 Enterpriseや、FTPS、Websocketといったよりセキュアな方式での通信が可能となった。

飲酒チェッカーでの利用

東芝 IoT/M2M展

実際に、このSDカートが使われている事例として、TISPYというアルコールチェッカーが紹介されていた。

このアルコールチェッカーは単体では体内のアルコール濃度を測定し、「水を飲んだほうがよいよ」などとアドバイスをしてくれるガジェットだ。

本体に、SDカードを挿入することで、スマートフォンと連携しアプリ上でもデータが見れるようになる。

東芝 IoT/M2M展

仕組みは前述した内容とほぼ同じだ。

また、東芝メモリのブースでは、参考展示として、Bluetoothモジュールも搭載したタイプも展示しており、つながらなかったモノをSDカードを通してつながるモノにしていく仕掛けがどんどん実現していく流れに期待がかかる。

関連リンク:
東芝メモリ
TISPY

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