デジタルツインは、2002年にミシガン大学のマイケル・グリーブス教授によって概念が提唱され、ガートナーが発表している2017年、2018年の戦略的テクノロジー・トレンドに挙げられて脚光を浴びた。
この記事では、デジタルツインとは、デジタルツインによって得られるメリット、事例に関してまとめる。
デジタルツインとは?
デジタルツインとは、バーチャル上にリアルのコピーを作成することだ。
IoTを活用して取得した様々なデータをバーチャルに上げることで、高精度なコピーを作成することが可能になり、そのデータを使ってシミュレーションやAIを活用し、未来を予測することができる。
そうして得られた情報や知見を、リアルの空間にフィードバックすることで、新たな価値を生み出したり、危険を事前に予測し回避したりすることができる。
デジタルツインによって得られるメリット
物理上の制約を無視することができる
例えば、工場内に新設備を導入する際に、今までであれば、すでに様々な設備がある工場の空きスペースを確認しながら、その設備が入るかを確認する必要があった。
デジタルツインを導入することで、現状の制約を一旦無視して、新しい設備を仮に設置するとどうなるか、その設備を導入して時の工場内の最適な配置はどうなるかというのを簡単に確認することができるようになる。
バーチャル上で確認できるので、リアルの工場を停止させたり、設備を移動させたりといった影響を抑えることができる。
コストを削減することができる
今まで、リアルで行っていた試作や検討をバーチャル上で行うことが可能になるため、試作や検討にかかっていたコストを削減することができる。
また、メンテナンスの分野でも、データを取得し分析することで、適切なタイミングでメンテナンスを行うことができるようになり、過剰だったメンテナンスコストを削減することができる。
デジタルツインの事例
工場のデジタルツインによる可視化の先
[参考記事]
富士通、上海工場のデジタルツインで可視化の先を実現 -Hannover Messe 2019レポート3
富士通は、中国、上海のINESAという製造メーカーにおける、実際の組み立ての工場のデジタルツインを作った。
「ウォークスルーモード」では、デジタルツイン上を歩きながら、リアルタイムに現実世界の状態を見ることができる。
リアルタイムにデジタルツインで正しく情報を見ることができれば、離れた場所からでもメンテナンス指示を細かくだすことができるそうだ。
バーチャル・シンガポール・プロジェクト
[参考記事]
ダッソー、街のデジタルツインで、未来の都市づくり ー住宅・ビル・施設Week IoTNEWSセミナーレポート1
シンガポールでは、3Dモデリング技術を活用し、国土全体を丸ごと3Dモデル化する国家プロジェクトを行っている。
都市のデジタルツインを構築することにより、防災やインフラ、エネルギー対策等幅広い分野で活用しようとしている。
ビル風のシミュレーションを行い、ビル建設時の計画に役立てたり、日照時間のシミュレーションを行うことで、太陽光発電や緑地の設置の有効性の判断に役立てたりしようとしている。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。