2020年4月15日、ウイングアーク1stはコミュニケーションツール「DEJIREN(デジレン)」の販売を開始した。
「DEJIREN」は、複数の業務システムや外部のクラウドサービスと連携し、チャットボットでのやり取りを通して、データの確認や取得といったオペレーションを行うビジネスチャットサービスである。データの確認やその後の指示を、チャットひとつで出来るようにして、業務における人の意思決定をスムーズにする、という狙いがある。
情報連携を効率化し、人を意思決定に集中させる「DEJIREN」
会見ではまず、ウイングアーク1st株式会社 執行役員CTO 島澤甲氏(トップ画像右)から「DEJIREN」を開発した背景について説明があった。
島澤氏によれば、第四次産業革命は「情報連携」の時代であり、企業のデータ活用のあり方について、現在のような社内での意思決定に活用する形から、将来は異なる企業同士で連携してデータを活用する形へとシフトするだろう、という。
しかし現状、企業の情報連携については課題がある。例えば仕事の受注を企業間でやり取りする場合に、電話やFAXといったアナログな方法で、その都度連絡を行う事がいまだに多い。さらに、アナログなやり取りが複数の担当者に広がれば、それだけ業務の負担は増え、生産性は低下してしまう。
そこでウイングアーク1stは、情報連携を効率化し、人が意思決定にのみ集中できるようにする「DEJIREN」の開発に至ったのだという。
複数の情報や業務指示をチャットのUI上で一元管理
「DEJIREN」は、チャットを通じて指示を行うことで、連携した業務システムやクラウド上のサービスから、情報の確認や業務指示を行うことができる。
例えばユーザーが営業分析の情報を確認したい場合、知りたい情報の詳細を入力してチャット上で質問を行う。すると、「コネクター」によってAPI連携した業務システムから営業分析に関する情報が引き出され、ユーザーのチャット上に表示される。
このような連携を複数のシステムと行う事で、チャットのUIひとつで複数の情報の確認や取得を済ませ、意思決定に時間を割く事が出来るようになる。
「コネクター」による連携については、情報可視化ツール「Motion Board」や文書データ管理ツール「SPA」といったウイングアーク1stが提供するソリューションのほか、他社が提供するRPAやワークフローとの連携が出来るようになっている。
また、業務フローの実行については「アクションフロー」という機能によって設定ができる。「アクションフロー」はアクションのパーツを配置するだけで、専門的なプログラミングの知識を用いず業務フローを組める機能だ。
会見では「DEJIREN」のユースケースについて説明があり、製造現場については産業機械の異常検知に活用する例が紹介された。
例えば1台の産業機械に異常が検知された場合、その異常を「Motion Board」が受け取る。そして、現場の担当者がチャットで機械の稼働状態に関する質問をすると、「DEJIREN」とシステム連携している「Motion Board」から、産業機械の稼働データが引き出される。さらに「DEJIREN」で機械の故障に対するリカバリを設定していれば、チャット上でそのコマンドを選択、実行して故障に対応するという。
事例の説明を行ったウイングアーク1st プロダクト戦略室 大畠幸男氏は「「DEJIREN」を活用する事で、故障状態の可視化からリカバリ対応の意思決定までを、手元のスマートフォンで行う事ができるようになる」と語った。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。