AIoT のパワーを解き放て―― AIとIoTを統合したAIoTを今すぐ導入すべき理由とは?

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー

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株式会社シーイーシー(以下、CEC)は7月14日、製品のIoT化を企画段階から試作、製品評価、運用まで包括的に支援するサービス「ANIoT(エニオット)」の提供を開始した。名称は「何でも(Any)IoT化する」というコンセプトを表しており、家電製品や医療機器、産業機械(FA機器)をはじめとするあらゆる業界・産業のメーカーを対象としている。

このほど、同サービスの詳細について、(写真左から)同社デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 主査 今井勝行氏、グループマネジャー 西山充氏、部長 高井英行氏、同グループ西日本サービス事業部 第二サービス部 チーフスペシャリストの藤本貴大氏の4名に話をうかがった。

「生産プロセス」ではなく、「製品のIoT化」を推進する新サービス

CECは1968年に創業したIT企業であり、システムインテグレーター(SIer)である。従業員数は2,260名(2021年1月時点)。企業・組織のICTサービスをトータルで提供する「サービスインテグレーション事業」と、スマート工場化など製造業の顧客に向けたソリューションなどを提供する「デジタルインダストリー事業」の両輪で事業を展開している。

そのCECが今回、あらゆる分野のものづくり企業(メーカー)を対象に、「製品のIoT化」を企画段階から運用まで包括的に支援する新サービス、「ANIoT(エニオット)」を打ち出した。

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー
製品のスマート化・遠隔サービスのIoT開発を企画段階から支援する新サービス「ANIoT(エニオット)」。まずは7月14日より、短期間のPoC開発向けサービスである「IoTプロトタイプ構築サービス」を先行提供する。(画像提供:株式会社シーイーシー)

この背景について、同サービスの「しかけ人」である、デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 部長の高井英行氏は、「組み込み機器のソフトウェア開発が得意なメンバーがそろう同社にとって、これは自然な流れでした」と振り返る。

同社が本格的に製品のIoT化(見える化)に着手したのは約10年前。その原点は、家庭で使うエネルギーを管理するシステム、「HEMS(Home Energy Management System)」だ。スマートハウス向けの通信仕様である「ECHONET Lite」規格の認証機関でもあった同社は、受託によるシステム開発のみならず、その技術やノウハウを活かしてスマート家電やHEMSの通信状況を分析・見える化するソフトウェア「EneTrace(エネトレース)」なども提供してきた。

そこから、医療機器やFA機器へとIoT化の適用範囲を広げてきた。「弊社の従来からのお客様である医療機器メーカーを中心に、製品のIoT化を受託で支援していました。(お客様の)経営層からIoT化の指示があり、どうするべきかと弊社に相談がくることが多かったですね。その後も、こうしたニーズが他のお客様でも数多くあることがわかり、ならばサービス化しようと考えたことが背景の一つです」と高井氏は語る。

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー
(写真左)デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 部長 高井英行氏、(写真右)デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 主査 今井勝行氏

IoTによる見える化といえば、スマートファクトリーが代表的だ。実際に、CECのデジタルインダストリー事業ではその豊富なソリューションを提供しており、「CECといえばスマートファクトリー」という印象をもっている人も多いかもしれない。

スマートファクトリーが目的とするのは、生産プロセスの可視化や効率化だ。しかし今回CECが打ち出す新サービスは、「生産プロセス」ではなく「製品」に焦点を当てている。この点について、デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 主査の今井勝行氏は次のように説明する。

「今回の新サービスでは、お客様の最終製品のIoT化・つながる化を支援します。機器メーカー様は当然、それぞれで組み込み開発の技術をもっています。しかし、そうした機器メーカー様では、クラウドやスマートフォン(のアプリケーション)を手がける技術者が不足しているという悩みも抱えています。弊社も組み込み機器のソフトウェア開発を強みとする企業ですが、現在ではクラウドやスマホアプリの技術やノウハウも十分に蓄積してきています。それらを包括的に提供し、お客様の製品のIoT化を支援するのが、新サービスのANIoT(エニオット)です」。

14週間の開発期間を3週間に短縮

「ANIoT」は、製品のIoT化を企画段階から試作、製品評価、運用まで包括的に支援するサービスだ。機器メーカーの多くは自社で組み込み開発も行っているため、同様に自社内で製品のIoT化を進めていこうとするケースもあるだろう。他方でANIoTでは、初めからクラウドに(セキュアに)接続することを前提に包括的に組み込み開発がなされるために、開発工数を大幅に削減できるというポイントがある。

製品のIoT化によって得られるメリットはさまざまだが、たとえばANIoTでは次の表のような活用ケースが想定されている。

〈ANIoTの活用ケース〉

目的 概要
製品の付加価値・サービス化 運用監視に対応した空調・生活家電、医療用デバイスの開発
既存のFA装置、生産機器の遠隔監視サービス対応
人手不足・省力化・リモート対応 GPS位置情報を活用した機材、資産の資産管理
医療検査機器の保全、リモートメンテナンス
商品、部品の欠品在庫補充の遠隔管理(薬品、インクトナーなど)
実証(MaaS、スマート化など) スマートデバイス、機器端末と移動データを活用したスマートシティ関連の実証

たとえば、機器の遠隔監視・リモートメンテナンスは、対人接触が制限されるコロナ禍において、非常にニーズが増えている分野だ。一般的な保守対応では、機械が故障したときに現場から連絡を受け、修理対応を行うのが通常だ。しかし、機械をIoT化して稼働状況を常に把握しておくことで、機械が故障する前に部品交換やメンテナンスを提案することができる。

また、稼働状況を把握するだけでなく、遠隔地からリモートで機械の制御を行うこともIoTによって可能だ。たとえば、機械が故障して電源の再起動や緊急停止が必要な場合、従来であれば連絡を受けた保守担当者や地場のメンテナンス事業者が現場にかけつけ、対応しなければならなかった。しかし機械をIoT化しておけば、担当者はWeb上から機械の再起動や緊急停止などの対応を行うことができる。

さらには、新しいビジネスモデルの提案も期待される。たとえば、機器に付随する消耗品(例:薬品、インクトナー)の残量をリモートで監視することで、適切なタイミングで提案することが可能だ。これにより、顧客の機器の稼働を止めるリスクを低減するほか、他社の代替品を購入されてしまう「機会損失」を避けることができる。また、稼働データを常時監視することで、機器単位での販売ではなく、稼働データにもとづいた「サブスクリプション」(定額制)での製品提案といったことまで、可能性は広がる。

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー
ANIoTの「IoTプロトタイプ構築サービス」の概要と効果。標準のIoTゲートウェイ、クラウド、スマホアプリをパッケージで利用することでプロトタイプ構築期間を短縮できる。スマートフォンアプリを利用したフィールド検証も短期間で実施可能。(画像提供:株式会社シーイーシー)

しかし、こうしたIoT化のさまざまな効果が期待されるとしても、「まず何から始めてよいかわからない」、「費用対効果が見えてこない」と悩む企業も多いだろう。そこでCECは、まずANIoTの第1弾サービスとして、顧客のPoCニーズに合わせ、IoTゲートウェイやクラウド環境、Web・スマホアプリケーションをパッケージ化して提供する「IoTプロトタイプ構築サービス」を先行提供した。

通常のプロト開発では、上の図に示したように、約14週間の開発期間が想定される。それに対して、「IoTプロトタイプ構築サービス」を適用すると、最短3週間までの短縮が見込める。顧客側でのデバイスの準備、システム構築、検証などの手間がいっさい省けるからだ。プロト開発がうまくいけば、次に本開発、導入、運用保守、分析・データ活用へと進む。ANIoTは一つのIoTプラットフォームとして、これらに必要なすべての要素を提供する(下の図)。

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー
「ANIoTプラットフォーム」により、デバイスからアプリケーション、品質検証まで製品のIoT化に必要なすべての要素が包括的に提供される。(画像提供:株式会社シーイーシー)

センサー(温湿度、振動、画像、加速度、……)や通信技術(LTE、5G、LPWA、……)、セキュリティ、クラウド環境、アプリケーション、AI活用は、顧客の要望に応じて最適な選択肢を提供することが可能だという。「弊社はSIerであり、お客様がやりたいということに対して、色々な選択肢を提供し、組み合わせていくことが得意分野です。これまでの実績や技術をまさに発揮できる部分だと思います」、デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 グループマネジャーの西山充氏はこのように語る。

クラウドはAWSをベースとしているが、顧客の環境に応じた個別の対応も可能。また、通信のセキュリティにおいては閉域網(インターネットに接続しないセキュアな通信ネットワーク)にも対応予定だという。

また、CECには「PROVEQ(プロベック)」という、同社のテストエンジニアが第3者の視点で製品の品質を検証するサービスがある。機器とスマートフォン・タブレットとの接続互換性や、ブラウザ上でのアプリケーションの動作確認などは、通常であればテスト対象の機器をそろえるなど、手間と費用が意外とかかる。しかし、ANIoTにはこうした検証サービスも包括されているため、速やかに開発を進めることができる。

「ANIoTは、各種の機能から品質検証まで、『オールCEC』で我々のもっているすべてのリソースをコーディネートすることで、お客様の製品のIoT化に貢献します」と今井氏は語る。

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー
ANIoTにおけるサービス対象機器との接続方法は2種類ある。(画像提供:株式会社シーイーシー)

なお、対象機器とクラウドの接続は、「外部通信モジュール」を搭載している機器とそうでない機器で、2通りの方法が提供される(上の図)。前者(右)では、ANIoT通信ライブラリをデプロイして、クラウド(サーバー)と接続。後者(左)では、「Raspberry Pi」を経由してクラウドへアクセスする方式が可能だ。

組み込み開発からクラウドへ―。CECの挑戦

CECは組み込み開発歴(約)50年という長い実績をもつ。この点が、IoTプラットフォームとしての「ANIoT」の一つの特色だといえる。

「IoTプラットフォームを提供している企業は、今では数多くあります。その中でよくあるのは、特定のセンサーを後付けして簡単にIoT化できるというものです。弊社でもその対応は可能です。ただ、メーカー様としてはデータ収集のモジュールを機器に組み込むことができるなら、その方がいいでしょう。弊社はそれができるというところが、他のIoTプラットフォーマーとの一つの重要な違いになります」と西山氏は述べる。

他方で、CECが今回ANIoTを提供するに至った契機には、クラウドサービスへの事業展開ということがある。同社でクラウドのシステム開発を牽引してきた、デジタルインダストリービジネスグループ 西日本サービス事業部 第二サービス部 チーフスペシャリストの藤本貴大氏は、「クラウドサービスへの展開は、弊社にとって一つの大きなチャレンジでした」とふりかえる。

それまで同社には、組み込み開発の技術やスマホアプリケーションの技術は揃っていた。しかしその「間」の技術、つまりクラウド技術が欠けていたのだ。

企画から運用まで「製品のIoT化」を包括的に支援する、CECの新サービス「ANIoT(エニオット)」 ―CECインタビュー
(写真左)デジタルインダストリービジネスグループ 第三営業部 グループマネジャー 西山充氏、(写真右)デジタルインダストリービジネスグループ 西日本サービス事業部 第二サービス部 チーフスペシャリスト 藤本貴大氏

数年前から、家電メーカーや医療機器メーカーを中心に、着実に実績を積み重ねてきた。現在では、西日本を中心に数多くの家電メーカーのクラウド構築を担っている。「給湯器やルームエアコン、炊飯ジャー、照明機器といった各家電製品から情報収集・制御を行うシステムをクラウド上で構築しています。メーカー様も当然開発を行っていますが、機器からクラウドへデータを通知する部分はお客様、データの蓄積、定期実行処理やクライアント端末への応答などはシーイーシーがカバーするというように役割分担をして、一緒につくりあげています」(藤本氏)。

一方で医療機器メーカー向けには、医療検査装置をIoT化し、クラウドに接続してデータの管理や分析を行うシステムを開発してきた。医療機器メーカーはもともと少数精鋭の開発体制を構築していることが多いため、近年急増したIoTやクラウドに関するシステム開発のリソースをもっていない企業が多い。そのため、ニーズは非常に大きいという。

こうした受託案件を通して蓄積したクラウド構築などのノウハウを、従来の組み込み技術にかけ合わせる―。そうしてつくられたCEC独自のプラットフォームがANIoTである。この背景について高井氏は、

「弊社は堅実な社風ですが、新しい取組みをはじめるには多少のリスクはつきもので、クラウドという新たな技術を得るためには一歩踏み出すべきだと感じていました。チャレンジしないと結果は出ません。たとえいい結果でなくても、次に活かせれば成果につながると信じ、実践あるのみで、当時はノウハウもない中で案件をながば強引にとってきて(笑)、チームで何とか進めている状況でした。藤本を中心に若手メンバーが前向きに取り組み、成果につなげてくれたことで、今ではクラウド技術も弊社の『強み』といえるまでになりました」と語っている。

こうした同社のチャレンジ精神は、ANIoTというサービス全体にも受け継がれている。「このサービスには、(社内的には)若い社員たちに新しい製品をつくることの楽しさを知ってほしいという思いも込められています。『ANIoT』という名称やロゴも、若い社員たちが中心に検討したものです。投票を行った結果、彼らが『ANIoT』を選んだのです。私は違うのがよかったのですが(笑)」(高井氏)。

「ANIoT」ブランドでの諸々のアプリケーションは現在開発中だという。この動画に映っているのは、別室にある温度センサーが検知したデータの見える化をクラウドで行うという簡易的なしくみだ。実際には顧客の要望により、機能からデザインまで多様なつくりこみが可能。

最後に藤本氏は、「弊社は今年で創業54年となる、比較的歴史のある会社です。組み込み開発は、その中でも重要な役割を担ってきた分野です。とはいえ現在は、組み込み技術だけでお客様に提供できることというのは、限られてきているのも事実です。そこで私たちは、社内で長年培ってきたその技術と実績を活かしながら、そこにクラウドという新たな強みを融合することで、シーイーシーは何でも(Any)できる会社であるということを、社内外にアピールしてきたいと思います」と語っている。

「ANIoT」の公式ホームページはこちら

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