ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する

企業:
PR

株式会社T Projectは、製造業に特化したローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を提供している。TULIPの特徴は、製造現場に必要なアプリを、プログラミングの知識をほとんど必要とせず、簡単につくりこめることにある。本記事では、その具体的な方法やTULIPの多様な機能を紹介する。なお、以下で紹介するデモは、T Projectの本社にある「TULIPエクスペリエンスセンタ」(TEC)で実際に体験することができる。

T Project代表取締役 荒谷茂伸氏のインタビュー記事はこちら

手順書とチェックシートをデジタル化する

製造現場では、「作業手順書」(マニュアル)と、その手順書のとおりに作業したかをチェックする「チェックシート」が必要とされる。従来、この二つは紙で印刷され、別々に管理されていた。TULIPはこれらを一つのアプリ画面に統合することができる。

つまり、アプリ画面に表示された手順を見ながら、その作業のチェックも同時にできるのだ。手順通りに作業しないと次のプロセスに進めないように設定することで、作業ミスによる手戻りなどを防止することが可能だ。以下でその仕組みを具体的に見ていこう。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
手順書とチェックシートのデジタル化のデモの様子。正面のモニターに映っているのはTULIPで作成したアプリ画面。各工程で必要な作業の手順が表示されている。モニターの下にあるのは作業場で、奥の黄色いボックスから部品を取り出し、製品を組み付ける。左側にある黄色いボックスの上が緑色に光っているのは、「この部品を取ってください」という指示だ。頭上には「デプスカメラ」が取り付けられており、カメラで認識した作業場の様子が右のモニターに映し出されている。

上の写真は、作業台の上に置かれた部品を組み付けて、製品をつくるデモのようすだ。必要な部品は黄色のボックスの中に保管され、正面のモニターに各工程の作業手順が表示されている。

このデジタル手順書は、作業台の上にあるさまざまな機器と連動している。たとえば、左から2番目と3番目の黄色のボックスの上が緑色に光っているのは、「この部品をとってください」という指示だ。

さらに頭上には、奥行き(深度)の情報を取得できる「デプスカメラ」(2~3万円)が設置されている。写真の右にあるモニターに、カメラが認識している作業台の様子が映し出されている。四角で囲われた部分(リージョン)に手を入れると、カメラがそれを検知する。これにより、作業者が正しい部品を手に取ったかどうかを認識できるのだ。

次に、以上のような仕組みをTULIPで実装する方法を説明しよう。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
アプリを作成する画面の一例。中央にある長方形の枠内がアプリの画面で、ここに作業手順のテキストなどを書き込んでいく。「ボタン」を選ぶと、アプリ画面の中にボタンが現れる(「テキストを追加」)。ボタンを押したときにどういう操作をするかは、画面右の「トリガー」を選ぶことで設定できる(トリガーの設定画面は次の画像)。

上に示した画像は、アプリの作成画面の一つ。マイクロソフトのPowerPointと同じようなイメージで作成できる。

画像の左側に映っているのは、作成したアプリ画面(スライド)の一覧だ。中央にある長方形の枠内がアプリ画面(スライド)で、ここに手順書の内容などを書き込んでいく。画像や動画を挿入することも可能。たとえば、動画マニュアルを挿入すれば、新人の作業者はその動画を見ながら作業することができる。

また、画面の上部に並んでいる項目(アイコンやボタン、入力など)を選ぶと、さまざまな機能を活用できる。たとえば「ボタン」を選ぶと、画面の中にボタン(「テキストを追加」)が現れる。ボタンの名前やデザインは、画面右に並んでいる各項目を選ぶことで設定できる。また、その項目の中の一つである「トリガー」を選ぶことで、ボタンを押したときにどんな操作をするかを設定することができる(下の画像)。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
トリガーの設定画面 。上から「When」、「If」、「Then」の各項目を設定することで、アプリの操作を決める。ここではボタンを押したときのアクションを決めるので、「When」は「ボタンが押されました」に設定されている。ボタンが押されたときにどういう操作をするかを、「Then」の項目を選ぶことで設定する。上の画面では「メールの送信」に設定されている。

「トリガー」を押すと、上の画面が出てくる。上から「When」、「If」、「Then」という3項目が表示されている。「When」にはすでに「ボタンが押されました」と入力されており、次に「If」と「Then」を入力することで、ボタンが押されたときのアクションを設定できる。

たとえば、「Then」で「メールの送信」と選ぶと、宛先やメッセージの入力画面が自動で出てくる。宛先に「ユーザー」を選ぶと、ユーザーのリストが出てきて、そこから具体的な宛先を選ぶことができる。

他にも、たとえば部品を確認していて不備があった場合にボタンを押すことで、部品の写真をメールで上司に送るという活用例がある。上司はメールで写真を確認し、必要なアクションを作業者に指示することが可能。従来では部品の不備などがあると、上司に電話して、わざわざ現場に来てもらって確認する必要があった。それがTULIPを使うことで、メールのやりとりだけですむようになるのだ。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
デプスカメラの認識画面 。「no1」や「no2」とラベリングされた四角の領域が「リージョン」だ。リージョンに作業者の手が入ると、デプスカメラがそれを検知する。リージョンはマウスのドラッグ操作などで簡単に作成できる。

「When」、「If」、「Then」の3項目の中で、「When」の項目から「デバイス」を選ぶと、TULIPに接続されているデバイスのリストが現れる。たとえば、そこから先程の「デプスカメラ」を選ぶと、デプスカメラで実際に行う機能を設定できる(上の画像)。

機能の設定はとても簡単だ。たとえば、「リージョン」(四角の領域)の作成は、マウスでドラッグするだけで可能。リージョンに番号と名前をつけ、次に作業者の手がリージョンに入ったときにどういう操作をするかを設定する。その設定は、すでにある豊富な項目リストの中から選ぶことができる。

たとえば、誤ったリージョンに手を入れるとアラートを出したり、正しいリージョンに手を入れないと次のプロセスに進めないようにしたりすることが可能だ。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
動作確認と秤量の画面 。組付けた製品の動作確認を行い、その結果をアプリ上で記録する。また、TULIPと秤を連携させることで、秤のデータをアプリ画面に表示することが可能。手順書とチェックシートを電子化するだけではなく、計測したデータなども同じアプリ画面で管理できることが、TULIPを使うことの大きなメリットだ。

部品の組付けが終わったら、動作確認を行う。その際のチェックリストをアプリ画面の中に挿入することができる(上の画像)。マウスやタッチパネルを操作して、各チェック項目に☑を入れていく。また、秤の上に完成した製品をおくと、重さのデータがTULIPの画面上に反映されるように設定することが可能。閾値(上限~下限)を設定し、実際の重さが公差範囲から外れている場合にはエラーを出したり、想定される原因を教えてくれるように設定したりすることができる。

多様な測定機器やセンサーとの接続

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
TULIPが多様な機器やシステムと連携できることを紹介するデモのようす。デモの説明をしているのはT Project技術担当の佐々木直人氏。作業台の上にはTULIPと連携できる多様な計測機器やセンサーが置かれている。正面のモニターの下にあるTULIPのロゴが入った黒いデバイスは、TULIP専用のエッジ端末「Edge IO」で、この端末を使って多様な機器のデータを収集することができる。写真右にあるモニターの下半分に映っているのは、オープンソースコード「Node-RED」の操作画面だ。

TULIPはさまざまな機器やシステムと接続し、データ連携をすることができる。外部システムと連携するコネクタはWeb APIやSQL、OPC UAなどが用意されている。

また、TULIPはオープンソースのコードを使っていることが特徴の一つ。たとえば「Node-RED」だ。Node-REDでは、画面上の「フロー」を線でつなげるだけで、コードを書かずにさまざまな機器やシステムを相互に接続することが可能。他にも、MESやERP、AIエンジンなど外部の最新のテクノロジーとも柔軟に連携することができる。

・OPC UAはOPC Foundationの商標または登録商標。
・Node-REDはOpenJS Foundationの商標または登録商標。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
ヘルツ電子株式会社の「ポカヨケツール」は、ドライバーや合いマークなどさまざまなツールと連携して、カウント数を計測することが可能。さらにポカヨケツールとTULIPを連携させることで、計測データをTULIP上で保存したり、アプリ画面上に表示したりすることができる。

機器との連携においては、メーカー問わずあらゆる機器のデータをリアルタイムに収集し、一元的に管理できる。たとえば、マキタ製のドライバーとヘルツ電子の「ポカヨケツール」と連携することで、ドライバーでネジを締めた回数を、TULIPのアプリ画面上で確認することが可能だ。

具体的にいうと、ポカヨケツールには無線通信の送信機と受信機がある。送信機をドライバーにとりつけると、ドライバーでネジを1回締めるたびにそのデータが計測される。その計測データが受信機に送られるので、さらにそれをシリアル接続(RS232C)でTULIP専用のエッジ端末「Edge IO」に送信する(上の画像)。他にも、ノギスや各種センサー、産業機械など、多様な機器と連携することができる。

医療や建設業での活用法

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
病院の自動受付のデモの様子。カメラで保険証のテキストデータを認識している。写真の右下にある白色のデバイスはFeliCaのカードリーダー。

TULIPは製造現場だけではなく、医療や建設業、食品業などあらゆる分野で活用できる。たとえば、病院の自動受付のデモでは、ソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」を搭載した診察券をカードリーダーで読みとると、診察に来た人の番号、名前、予約内容がTULIPの画面上に表示される。保険証が必要な場合は、カメラで画像データのテキスト部分を認識するOCR技術を使って、必要な情報を読みとる(上の写真)。

建設業向けには、TULIPとハンズフリーのスマートグラス「RealWear」(アメリカのRealWear社が開発)を連携するという活用例がある(下の写真)。

ローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を使って、製造現場のアプリを作成する
スマートグラス「RealWear」を使ったデモの様子。IoTNEWS代表の小泉が実際にRealWearを装着している。写真右のモニターに映っているのと同じ画面が、小泉が見ているRealWearのディスプレイにも映し出されている。ディスプレイに手順が表示されるので、作業者はそれを確認しながら、ハンズフリーで作業にあたることができる。

手順書など必要な情報はすべてRealWearのグラス上に投影され、それを音声だけで操作できる。また、RealWearは指向性の高いマイクが搭載されているため、装着している人の声しか拾わないこともポイントだ。

カメラも搭載されているため、現場で何か問題があった場合には、その様子を写真で撮影し、上司に報告するといったことも可能。そうした便利な機能が、TULIPを使えばローコードで開発できるのだ。

生産管理システムとの連携

生産工程の全体を管理するシステムとTULIPをうまく組み合わせるという活用例もある。実際に、TULIPはものレボ株式会社が提供しているDXアプリ「MonoRevo(ものレボ)」との連携を進めている。具体的には、MonoRevoを使って生産工程の全体を見える化する一方で、各工程のこまかい作業の進捗や実績をTULIPで管理し、その情報をさらにMonoRevoにフィードバックするという仕組みだ。

たとえば、MonoRevoのアプリ上で管理されている製品の図面情報をQRコードで読み取ると、図面がTULIPのアプリ画面にアップロードされる。さらに、TULIP上で「図面を確認する」といった操作を完了すると、その情報が今度はMonoRevoの方にフィードバックされるのだ。

このように、TULIPは他社のアプリと連携することで、痒いところに手が届くさまざまな機能を実装することができる。代表取締役の荒谷氏は、「ものレボさんのような日本独自のソフトウェア企業との連携をとくに強化していきたい」と語っている。

 

・T Project代表取締役 荒谷茂伸氏のインタビュー記事はこちら
・TULIPの事例を紹介する記事を後日公開します。

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録