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事例からわかる、ローコード開発ツールを使った製造業DX

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最近、「ローコード開発」という言葉を見聞きすることが増えた、という人も多いだろう。ローコード開発ツールとは、ソースコードをほとんど書かずにシステム開発ができるツール(プラットフォーム)のことだ。ローコード開発ツールを使えば、自社のメンバーたちが現場の課題に合わせて自らシステムを開発できるため、DX推進のカギを握る技術として注目を集めている。

株式会社T Projectは、製造業に特化したローコード開発ツール「TULIP(チューリップ)」を提供している。近年、ローコード開発ツールを提供する企業は増えているが、その多くはRPAを始めとするオフィス系の分野に限られる。製造現場の多様な生産設備や計測機器と接続できるローコード開発ツールは、実はほとんど例がないのだ。

TULIPは、製造現場での活用事例を着実に増やしており、たとえばDMG森精機株式会社では、すでに700以上のステーション(製造ラインなどに配置するエッジ端末の単位)が稼働している。そこで今回、T Project代表取締役の荒谷茂伸氏に、ローコード開発ツールを活用したユースケース(事例)について伺った。

・T Project代表取締役 荒谷茂伸氏のインタビュー記事はこちら
・TULIPを活用して製造現場アプリを作成する方法を知りたい方はこちら

手順書とチェックシートの統合

製造現場では、「作業手順書」(マニュアル)と、その手順書のとおりに作業したかをチェックする「チェックシート」が必要とされる。この二つは通常、紙で印刷され、別々に管理されている。ローコード開発ツールTULIPを使えば、これらを簡単に一つのアプリ画面に統合することができる。そのメリットは主に二つある。

紙面のデジタル化

一つは、紙のデータをデジタル化することのメリットだ。紙面でのデータ管理は、紙の印刷が手間である上に、検索や分析が難しい。また、記入ミスや紛失、データの捏造のリスクもある。デジタル化することで、これらの課題を一挙に解決できる。

作業手順書とチェックシートの統合

しかし、紙をデジタル化するだけでは、効果はあまり大きくないと思う人もいるかもしれない。そこで、2つ目のメリットが重要になる。それは、手順書とチェックシートという、これまで独立していた二つの機能を一つに統合することで、仕事の進め方が根本的に変わるということだ。

事例からわかる、ローコード開発ツールを使った製造業DX
従来の作業手順のチェック方法。工程ごとに作業をチェックしていくのが理想だが、すべての工程が完了したあとにまとめて確認してしまうのが通例となっている。(画像はTULIPのホワイトペーパーから抜粋)

たとえば、四つの工程からなる作業があるとする(上の画像)。作業者は、各工程で自分が手順書の通りに作業を行ったかどうかをチェックする必要がある。そのために使われるのがチェックシート(チェックリスト)だ。

一つの工程を終えるたびにチェックするのが理想だが、チェックシートが紙であるために、最後にまとめて確認してしまうのが通例となっている。この方法では、自分が作業ミスをしたことに気づきにくいうえに、あとから作業ミスが発覚したあとに、それがいつ、どこで生じたのかを追跡することが困難になる。

事例からわかる、ローコード開発ツールを使った製造業DX
TULIPを活用し、作業手順書とチェックシートを統合する 。各工程(工程1~工程4)のアプリ画面を作成することで、作業手順とチェック項目を工程単位で管理できるようになる。また、製品の写真撮影や画像・動画での作業指示、バーコードスキャナでの製品情報の登録など、各工程に必要な機能をアプリ画面に入れ込むことができる。(画像はTULIPのホワイトペーパーから抜粋)

TULIPを使えば、この問題が解決される。つまり、工程ごとに一個のアプリ画面を作成することで、「手順書の確認」と「作業のチェック」の二つを、工程ごとに同時に実施できるようになるのだ(上の画像)。

作業者は工程ごとにチェックをしないと次の工程に進めないので、最後にまとめて作業をチェックするということがなくなる。さらにこの方法では、作業手順がわからなくなったときに、わざわざ紙の手順書を取り出すことなく、モニターに表示された手順を読むだけでよい。

これにより、作業者は自分が今やるべきことに集中できる。やるべきことはすべてアプリの画面に集約されているからだ。たとえば、複雑な作業をともなう工程では、アプリ画面に画像や動画を挿入することで、こまかい作業の仕方を指示することが可能だ。

さらには、製品の秤量や寸法の計測、カメラを使った外観検査、バーコードスキャナを使った製品情報の登録など、各工程に必要な機能をすべてアプリの画面の中に入れ込むことができる。

仕事のプロセスを根本から変える

これはたんに紙のデータをデジタルに変換するということではなく、仕事のプロセスを根本的に変えることを意味する。さらに重要なのは、ローコード開発ツールを使えば、これらの機能を自分たちで簡単に作成できるということだ。現場の作業においてどんな課題や困りごとがあるかは、現場のメンバーがいちばんよく知っている。メンバーはそれらの課題に応じて、必要な機能を自分たちでどんどん拡張していくことができるのだ。

荒谷氏によれば、「現在と同じチェックシートをTULIPで作成してほしい」と依頼してくる顧客も多いという。しかし、従来の紙のチェックシートをただPCやタブレットの画面に置き換えるだけでは、大きな効果は得られない。

また、手順書のデジタル化においては、最近では動画のマニュアルが普及している。しかし、「動画で手順がわかったとしても、実際に手順通りに作業できたかどうかはチェックできません。チェックシートの機能は必ず必要となります。ですから、動画を見る機能とチェックの機能を統合し、仕事のプロセスそのものを変えることが重要であり、それがDXの本質なのです」と荒谷氏は語る。

アプリの作成

TULIPを使って手順書やチェックシートをデジタル化する方法はとても簡単だ。下の画面にあるように、PowerPointを使って資料スライドをつくるように、アプリ画面を作成できる。

事例からわかる、ローコード開発ツールを使った製造業DX
アプリを作成する画面の一例。中央にある長方形がアプリの画面で、ここに作業手順のテキストなどを書き込んでいく。「ボタン」を選ぶと、アプリ画面の中にボタンが現れる(「テキストを追加」)。ボタンを押したときにどういう操作をするかは、画面右の「トリガー」を選ぶことで設定できる。

さらに、製品の秤量やカメラを使った外観検査などの機能も、デバイスをPCに接続し、すでに用意されている項目を選ぶだけで、自由に設定することができる。アプリ画面の具体的な作成方法については、こちらの記事を参照してほしい。

ERPとの連携

TULIPは、ERP(基幹システム)やMES(製造実行システム)などの外部システムと連携させることも可能だ。企業の多くはMESやERPなどのITシステムを保有している。しかし、「データをきちんと入力する仕組みが整っていないために、システムをうまく使いこなせていないことが多い」と荒谷氏は語る。つまり、システムを最大限活用するには、データ入力の仕組みを補完しなければならない。TULIPはその役割を効果的に担うことができる。

たとえば、次のようなケースが多いという。現場の作業者は、ERPの管理画面から生産指示書を紙で印刷して、現場にもっていく。作業が終わると日報を書くのだが、その紙のデータを今度は事務の担当者が確認して、ERPの画面に手入力する。この方法の問題は、余計な手間がかかることだけではない。作業のリアルタイムの実績がわからないのだ。

「在庫情報がシステムに正確に反映されていないために、急に欠品が発覚して工程がストップしてしまったというお客様もいました。せっかくシステムはあるのに、リアルタイムにデータを入力する仕組みがないために、こうした問題が起こるのです」と荒谷氏は語る。

そこで、TULIPを使えば、現場のデータは自動的にシステムに入力されるようになる。たとえば、現場のあらゆる機器のデータを、人手を介さずに、機器から直接自動で収集することが可能だ。それらのデータは、TULIP専用のエッジ端末「Edge IO」を介して、「TULIP Platform」に収集される。さらに、TULIPと外部のシステムを連携することで、現場のリアルタイムの状況を、システムに自動的に反映させることができる。

デジタル計測

TULIPを使えば、製造現場に存在するあらゆる機器のデータを収集し、アプリで管理することができる。どんな機器でも、「このデータを自動的に収集してみたい」と思えば、実際に自分たちでデータ収集の仕組みをつくれてしまうのが、製造業特化型ローコード開発ツールTULIPの醍醐味だ。

従来のアナログの計測では、担当者が数値を目視で確認し、紙のチェックシートに手入力するのが一般的だった。しかし、この方法では記入ミスやデータの改竄などのリスクが避けられないうえに、すでに述べたように紙の管理にともなうさまざまな問題が発生する。

荒谷氏によれば、人手を介することによって必要のない作業が繰り返されている例が多いという。たとえば、ノギスで製品の寸法を計測する場合に、目視で数値を確認→紙に手入力→エクセルに再入力→紙で印刷→PDFで保管といった具合だ。

TULIPを使えば、こうした手間はすべてなくなる。寸法を計測した瞬間にデータが自動保存され、アプリ画面に表示される。測定値が公差範囲から外れていたら、次の工程に進めないように設定することなども可能だ。

事例からわかる、ローコード開発ツールを使った製造業DX
TULIPを活用したデジタル計測の例 。外径マイクロメータを用いて計測した数値がアプリ上(タブレット上)に自動で記録される。記録ミスやデータ改竄のリスク、手入力にともなう手間の問題などが解決される。

荒谷氏は、「デジタルでデータを管理するということは、仕事のプロセスそのものを変え、最短で最適なプロセスをつくっていくということです。現場の人たちがイチからそうしたことを実現するのは難しいのですが、TULIPを一度使ってもらうと、その効果に気づいてもらえると思います。

また、重要なのは、アプリを1回導入して終わりではないということです。より最適な状態を目指して、アジャイル式でどんどんアップデートしていくのです。従来のウォーターフォール式のシステム開発では、こうした方法は不可能です」と語る。

 

・T Project代表取締役 荒谷茂伸氏のインタビュー記事はこちら
・TULIPを活用して製造現場アプリを作成する方法を知りたい方はこちら

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