ドローンの普及に伴い、ドローン同士やドローンと有人ヘリコプターとのニアミス等が報告されるようになってきている。今後、ドローンの産業分野での利活用が本格化し、その飛行環境が目視内から目視外に移行するにつれ、安全に距離を保ちながら運用することが望まれている。
これまでドローンを目視外で飛行させる場合には、ドローンと操縦者との間の通信を行いながら、あらかじめプログラムされた飛行経路や飛行方法に従って、自動で飛行させる飛行制御が用いられてきた。しかし、これまでの飛行制御方法では、他のドローンや有人航空機等の接近への対応が困難である等の課題があった。
一方、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」が2018年6月15日に取りまとめた「空の産業革命に向けたロードマップ2018 ~小型無人機の安全な利活用のための技術開発と環境整備~」では、目視外飛行環境でのドローンの利活用の本格化に向けて必要な技術開発の1つとして、遠隔からの機体識別と飛行位置把握が挙げられている。
このような背景から、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジの一環として、920MHz帯を用いた機体間直接通信による位置情報共有システム「ドローンマッパー」を研究開発してきた。
また、ドローンマッパーとドローンのフライトコンピュータを連携させるために、飛行制御装置を開発。このシステムを利用することで、操縦者を介さずに、ドローン同士が互いに直接共有される位置情報から周辺のドローンの位置を把握し、ドローン自体が自動で飛行制御(ニアミス回避や群飛行等)することができるようになる。
動作を検証するための試験が2018年12月17日・18日に埼玉県秩父市のグランドで行われ、最大3機のドローンがそれぞれの目的地に向かう際、約40m程度に接近した段階で、自動で接近を検知し、ニアミスを回避した後、予定の飛行経路に戻り、最終目的地まで到達することが確認された。
今回の実験では安全確認のため、毎秒1mという非常にゆっくりとした飛行速度で実施されたが、今後、飛行速度を更に増した状況での性能検証を行い、他の機関との連携も視野に、同時飛行台数の増加や様々な飛行シナリオにおける評価についての動作検証、ドローン同士だけではなくドローンと有人ヘリコプター等との接近検知及び飛行制御の性能を明らかにする予定だ。
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