ACSLは1月17日、国産の小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」にマルチスペクトルカメラを装着し、ゴルフ場の芝の植生調査を行う実証実験を実施し、成功したと発表した。
ACSLによると、植物などの生育状況の調査は、植物による光の反射の特長を生かし簡易な計算式で植物の量や活力を把握する「植生指数」と呼ばれる指標を、衛星画像を使って求める手法が研究されてきたという。その代表的な指標が「NDVI(正規化植生指標)」で、数値は-1~1の範囲で表され、-1に近い程、植生は悪く、1に近い程、植生がよいとされている。
ただ、植物の育成状況の把握では、衛星画像の場合、雲に覆われた場合や衛星の軌道によって画像データが得られない課題があった。一方、ドローンによるデータ取得は、曇天時でも撮影が可能で注目されているという。
そこで、今回の実証では、近赤外画像撮影でNDVI測定可能なマルチスペクトルカメラを使用し、撮影した画像から芝の植生調査が可能か検証した。
具体的には、まず、飛行ルート作成画面の航空地図上に対象エリアを決定。次に、オーバーラップ(フロント、またはサイドのラップ率)、グランドレス(1ピクセル辺りの長さ)、調査前・内の速度(調査範囲外と内の飛行速度)の撮影パラメーターを設定した。その後、設定された自動飛行の経路に従い撮影飛行を行った。
実証の結果、撮影した画像をPix4D Mapperを使用しNDVIのオルソモザイク画像に処理すると、NDVIが-1に近いほど赤く、1に近いほど緑に表示される結果を得ることができた。ACSLでは、こうしたデータを継続して蓄積していくことで、芝の生育・維持管理での活用が見込めるとしている。
ゴルフ場ではグリーンや芝生の環境が常に整えられている状態が求められており、「グリーンキーパー」と呼ばれる管理者が、日々コースを見回り芝生のコンディションなどを確認する必要がある。しかし、人手による作業のため、作業の効率化や芝生の生育状況データを蓄積したいニーズがあり、同社ではドローンを使った芝の植生調査に対する需要はあるとみている。
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