アジアで電動バイクを製造・販売するテラモーターズのグループ会社・テラドローン株式会社は、ドローンによる土木測量をメインに展開しているが、近年の農業における高齢化・労働力不足という課題と作業の省力化ニーズの高まりに伴い、農薬散布事業に参入することを決定し、今秋に農薬散布用UAVの販売開始を決定したと発表した。
現在、世界的に農薬散布の機械化が進んでおり、3つ以上のローターを搭載したマルチコプターによる散布がされるようになった。しかし、マルチコプターを農薬散布に使用する場合、その限られた積載量(ペイロード)と10~15分程度という短い飛行時間が課題となっていた。
そこで、テラドローンでは、既存の農薬散布用のヘリと比較し、安価で手軽(軽くて扱いやすく、小回りが効く)、且つ一定の飛行時間と散布容量を確保した農薬用のUAVが欲しいという散布業者の声を機体開発に反映したTerra1シリーズを開発した。同ヘリはおよそ40分の飛行時間及び14リットルの散布容量を実現し、1度の飛行で1.5haの面積において農薬散布が可能であり、既に千葉の農家にて散布実績がある。
農薬散布ヘリとしては小型で、運搬や作業が手軽に行える。機体重量が15KGと一人で持ち上げることができ、ワゴン車などの車にも乗せることができる。またコンパクトサイズであることから、大型機では作業しにくい狭い農地においても力を発揮する。4か所のスプリンクラーが、くまなく薬剤を散布。また、散布噴射量は手元の送信機から調節できるため、現場に見合った設定が可能。
散布用タンクを取り外せばプロ機材の大型カメラを取り付けることができ、空撮や測量にも適している。ボディ上部の開口部は水が入り込まない構造になっており、さらにリンケージ部には防水ブーツを装備することで汚れや薬剤などを水洗いすることが可能。
また、従来の農薬散布ヘリと比較し、機体の購入コストを1/3に抑えることができる。そして、メンテナンス、修理、保険にかかる費用をトータルに含めた年間のランニングコストを、1/4以下に抑える事が出来るという(同社推定)。
現在、機体性能に対する信頼性を高めるべく、現在農林水産省航空協会の認定取得手続きを行っている。また今後はパートナー網(販売代理店、教習所及び整備場)を構築し日本全国において販売予定。さらに、同事業を日本だけでなくアジアにも展開をする準備をしている。また同時に、精密農業・測量・防災分野に於ける同ヘリの活用や自動飛行化も進めていくという。
【関連リンク】
・テラモーターズ(Terra Motors)
・テラドローン(Terra Drone)
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。