日本テキサス・インスツルメンツ(以下、TI)は、小包の運送、探査や、長距離の通信とアシストに使われるクワッドコプター、その他非軍事用の民生および産業用ドローンの飛行時間と電池動作時間の延長に役立つ、回路ベースのサブシステム・リファレンス・デザイン2種類を発表した。
IHS Markitのデータ・トランスミッション・アンド・マネージド・サービスのシニア・アナリストであるステリオス・コタキス氏は次のように述べている。
「リクレーション用のクワッドコプターやプロ向けのドローンを、特に可視範囲外で動作させるメーカー各社にとって、飛行時間の延長は依然として最も困難な設計上の問題です。ドローンの電池動作時間の延長を望み、小包をドローンで運ぶテストを行っている運送各社では、どこまで飛べるかが問題になります。最近のIHS Markitの調査(*注)によれば、市場のドローン製品の電池動作時間は、およそ50パーセントが30分未満、35パーセントが31~60分、残りの15パーセントが1時間を超えると見積もられています。この見積は、理想的な飛行条件で、荷物を積載しない状態での値です。」
TIの2S1P BMS(電池管理システム)リファレンス・デザインは、ドローンの電池パックを、電池残量の正確なモニタ機能と、リチウムイオン電池の寿命期間全体に渡る保護機能を提供するスマート診断ブラックボックス・レコーダに変容させる。設計者はこのリファレンス・デザインを使って、残量計、保護、バランスや充電などの機能を既存のドローン設計に追加するとともに、飛行時間を延長できる。
「bq4050」リチウムイオン・バッテリ・パック・マネージャを活用し、電池の寿命期間全体に渡って残り容量を正確に計測するとともに、「bq24600」同期整流、スィッチモード・チャージャ・コントローラと高効率DC/DCコンバータが高効率の電力変換を可能にする。
飛行時間の延長に関するもう一つの困難は、ドローンのプロペラ回転の非効率性だという。ドローンESC(電子速度コントローラ)向けセンサレス高速FOCリファレンス・デザイン は、より安定したロール飛行向けの高速逆回転機能のほかに、12,000rpm(電気的には1.2kHz)を超える高速回転で最高の効率を達成する電子速度コントローラの設計に役立ち、より長い飛行時間、よりスムースで安定な性能を可能にする。
このリファレンス・デザインは、精密なモータ制御のほかに、モータの磁束、角度、速度やトルクを予測するFASTフィールド・オブザーバー・プロプライエタリ・ソフトウェア・アルゴリズムを内蔵した「F28027F」マイコンを含む、 TIの InstaSPIN-FOC「C2000」ソリューションを搭載している。
モータのパラメータ情報は電流制御帯域の調整のために使う。FASTセンサレス・オブザーバー・アルゴリズムはその他の手法と異なり、完全な自律調整を行うことから、正しい動作とプロペラ制御のための調整が不要。さらに、このリファレンス・デザインにはドローンのLiPo(リチウム・ポリマ)電池を効率的に管理できる60V動作、超低無信号時電流の 「LMR16006」SIMPLE SWITCHER DC/DCコンバータも搭載している。
*注: IHS Markit テクノロジ・グループのService Robots & Drones Report – 2016より引用。
【関連リンク】
・テキサス・インスツルメンツ(TI)
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。