株式会社パスコは、人工衛星や航空機(UAVを含む)、計測専用車両、測量船などを活用し、地球上のあらゆる形状を多角的に、広範に、そして高精度に計測する空間情報の収集技術を常に高めている。
パスコは、株式会社奥村組の造成工事現場において、同社協力のもとUAVを活用した工事進捗管理への適応実証実験を行い、高い成果を上げた。パスコは、今回の成果を元に、取得・提供する情報の信頼性向上に努め、UAVの運用規制を考慮した高品質なサービスの提供を目指す。
【背景】
少子高齢化や労働人口の減少などの社会的な課題を抱えるなか、建設業界においても熟練技術者や作業員の減少、業務の効率化やコスト削減、品質向上などが課題となっている。
一方、ICT技術や測量技術の進化により、これまで以上に精密かつ大量のデータを容易に取得し、活用することが可能になった。造成工事においても、作業効率の向上と工期やコスト削減は課題のひとつだ。
これらの課題解決として、日々の切土・盛土の土量をリアルタイムに正確に把握することで、切土・盛土のバランスを考慮した迅速な運土計画の立案と、残土運搬の運行計画や敷均・転圧等の重機手配の的確な計画実行があげられる。
今回パスコは、こうした造成工事現場での進捗管理の効率化や高精度化に対応するUAVの実用化に向けた適応実証実験を行った。
【実証実験の概要】
実験エリア : 奥村組造成工事現場(奈良県)内約200,000m2
使用機材 : UAV(DJI社S800EVO)市販カメラ(1,800万画素,約450g)
撮影 : 同日10:00頃・12:30頃の2回〈1回目〉高度60m、約1.5時間〈2回目〉高度100m、約30分

【実証実験の成果】
■UAVを用いた現況測量で、土量管理に必要な10cm以内の精度を確保国土地理院が全国に設置する電子基準点を活用したVRS(Virtual Reference Station:仮想基準点)測量成果と、UAVによる撮影成果から生成した3次元モデルのデータ(精度)検証を実施
高精度な3次元モデルから、切土・盛土の土量計算を実施
<3次元モデル(表層モデル)>
<二時期の差分抽出>
■計測(撮影)業務からモデル化までの作業時間を大幅短縮
地上レーザースキャナを使った従来手法とUAV撮影による作業工数を同条件で比較従来手法では、現地測量に1週間、データ処理等に1週間と、合計2週間を要したところ、UAVを用いた手法では、撮影2時間以内、データ処理等に1日の合計2日間以内で完了
■建設現場で使用する他ソフトへのデータ変換
撮影成果から生成される3次元モデルのデータ容量が非常に大きく、現場事務所での作業には適合しないため、座標付きTIFF画像へデータ変換を行い、市販のCADソフトやGISソフト上で切土・盛土の土量管理を実現
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