2016年のCOMPUTEX TAIPEIは28の地域から出展が行われている。
今年は、グローバル・テクノロジー・エコシステムの構築というテーマで、IoTエコシステムのパートナーシップ・プラットフォームを構築し、ICT産業におけるサプライチェーンを完全に網羅してみせるということだ。
今回、IoT、スタートアップ、スマートビジネスソリューション、ゲーミングという4つのテーマでイノベーションブースを用意している。
台湾貿易センター 副秘書長 葉明水氏は、「調達のプラットフォームではなく、どのように戦略的なパートナーを発見できるかをお手伝いしたいと考えている。グローバルテクノロジーエコシステムの構築も行いたい。」と述べた。
COMPUTEX TAIPEI 2016の見どころ
今回、iStyle(アップルのアクセサリ), InnoVEX(ベンチャー企業), SmarTEX(IoTアプリケーションを展示)という新しい展示エリアを設ける。
IoTに関しては700社もの出展が計画されており、IoT関連の展示でいうと、SmarTEXエリアでは、セキュリティアプリ、スマートホームとエンタテーメント、ウェアラブル、IoVと車載電子製品、3D、スマートテクノロジーといった分野が展示されている。
注目企業としては、インダストリー4.0のシーメンスをはじめとして、メルセデスのIoV, ABB(スイス)の工場ロボット、NXP(オランダ)はスマートライフセキュリティリンク、e-leadは車載情報システムの展示をみることができる。
台湾はICTサプライチェーンとIoTを発展させる優位性があり、イノベーションを加速する計画が推進されているということだ。
■キーノートスピーチ「CPXフォーラム」
CPXフォーラムは、世界のテクノロジー企業が革新的な最新の産業トレンドを提案する、最適なプラットフォームだ。今年のCPXフォーラムは、IoT」と「スマート・イノベーションズ」をテーマに掲げ、キーノートスピーチとフォーラムが同時開催される。
キーノートスピーチではテーマを「フューチャーテクノロジー」と「スマートマニュファクチャリング」の2大トピックスに定め、フォーラムでは「IoTエコシステム・パートナーシップ」と「IoTアプリケーション」としており、各国から知名度の高い企業のICT産業の未来が語られる。
スピーカーは、Cisco Managing Director, IoT Solution Sales – AP&J and Greater China Martin Dubé,Softbank Commerce Korea Corp.Managing Director Vincent Chunなど。
COMPUTEX TAIPEI開催概要
■開催日・開催時間
5月31日(火)~6月3日 (金) 9:30 – 18:00 / 6月4日(土)9:30 – 16:00
※InnoVEXエリアのみ、以下の開催時間
5月31日(火)~6月1日(水)9:30-19:00 / 6月2日(木)9:30-18:00
■イベント規模(2015)
1,702社 5,072 ブース
■来場者数(2015)
130,000 人以上(うち海外165カ国より39,130 名含む)
■主催者
台湾貿易センター (TAITRA)
台北市コンピューター協会(TCA)
■会場
台北南港展覧館 ホール1
台北世界貿易センター 展示ホール1
台北世界貿易センター 展示ホール3
台北国際会議センター
■主要出展企業
Acer, ABB, ADATA, Advantech, Akasa, ASE Group, Asus, BenQ, Clevo, CMC, Cooler Master, Delta, E-lead, Edimax, Elitegroup, FSP Group, Gigabyte, Haier, Hisense, Intel, KYE, Mercedes-Benz,Microsoft, MiTAC, MSI, NTT, NVIDIA, NXP, Realtek Semiconductor, Ritek, SIEMENS, Shuttle, Supermicro, Tatung, Thermaltake, Transcend, WIBTEK, ZOTAC, USB Implementers Forum
出展企業の紹介
産業用コンピュータ アドバンテック
アドバンテック株式会社 社長 兼 日本地区最高責任者 マイク小池氏より発表があった。
アドバンテックは産業用のコンピュータ分野で世界ナンバーワンシェア(29.5%)を持つ企業だ。ワールドワイドで、7,300名、23カ国95都市でビジネスを展開している。
自社の資源をIoTにシフトするということで、インテリジェントプラネットというビジョンのもとビジネスを展開しているということだ。
アドバンテックのIoTストラクチャはデータアクイジション、トランスポーテーション、データインテグレーション、データアナリシスの流れをIoTと定義している。これ行うためにローカルシングスからデータをトランスポートするためのプラットフォームを提供する企業だ。
2013年インテル社とIoTゲートウエイを共同開発、2016年にはIBMとIoTプラットフォームに関する協業を発表している。
アドバンテックはCPUやOSをつくるのではなく、最先端の技術を提供するということがコアコンピタンスだ。
単にEMSを行うという企業ではなく、顧客のためにデザインすることができる。
IoTにおいては、スマートシティとインダストリー4.0に特化してサービスを提供していくと述べた。
今回のCOMPUTEXでは、iRetailというコンセプトのもと、最先端の小売のソリューションが展示される。来店者の分析や顧客動線、ヒートマップなど様々なマーケティングなどをMicrosoft Azureとともに提供するということだ。
また、タブレット型、モバイル型など、数多くのシーンで使うことができるハードウエアも提供するということだ。
スイッチング電源が主力製品 デルタ電子
デルタ電子株式会社 マーケティングマネージャ 坂口友英氏より発表があった。
スイッチング電源が主力製品であるデルタ電子だが、今後は様々な部品を活用したトータルソリューションを提供したいと述べた。
デルタ電子は、電源や冷却ファン、エネルギーマネージメント、太陽光発電などの機器、コンシューマライフスタイル機器なども提供している。153の営業拠点、38の製造拠点などが提供され、グループ全体で70,000人うち、7,000人がエンジニアという企業だ。
これまでCOMPUTEXでは、スマート家電やスマートスクールといったテーマでコンシューマ向けの展示が多かったが、今年は「デルタスマートグリーンビル」というテーマで、アメリカ新本社ビルは「ネット・ゼロ・エネルギービル」を実現しており、このビルをモデルとしたスマートでグリーンビルを建築している。
例えば、ビル全体を自動化するシステム。エナジーオンラインによる省エネの実現。DCブラシレスモーターファンという製品を使った従来から82%のエネルギー減が実現できる空調、EV急速充電機器を管理するシステムの紹介もあるという。このシステムはスマートフォンとも連携しており、様々な情報を管理することができる。他にも、超小型無線プロジェクターQumi Q6なども展示されるということだ。
また、Innergieというブランドで提供している個人向け電源製品も紹介される。家の形をしたデルタスマートグリーンビルの展示で体験をしてほしいということだ。
NTT台湾
NTT Taiwan LTD. 総経理 惠木 教文氏より発表があった。
NTTグループは18年前に台湾に進出しており、53名の規模で台湾の地元企業とのビジネスを進めている。COMPUTEXでは、NTTグループのICTソリューションを紹介したいと考えている。テーマは、「台湾におけるシームレスクラウド」という内容を予定している。
まずは、エンタープライズクラウドだ。NTT Communicationが提供するグローバルでのクラウドサービスを台湾でも展開するという。最近は、Amazon AWSや Microsoft Azureとも連携している。
次に、Arcstar Universal Oneというネットワークサービスで、先ほど登場したデルタ社や多くの製造業や金融業で利用されているということだ。また、企業向けのモバイルソリューションとして、セキュリティを強化した企業向けモバイルソリューションを紹介するという。
会期中は、とある日系企業の工場や、事務所及び店舗ネットワークでのIT基盤をSIした事例も紹介される。
グローバル SoC企業 ソシオネクスト台湾
Socionext Taiwan Inc. 董事長兼総経理 姉歯 伸彦氏より発表があった。
ソシオネクストは、設立して1年強で、富士通とパナソニックのLSI事業を統合し設立したグローバルSoC(System on Chip)企業。世界に18拠点をもち、2,700名で半数以上の売り上げが海外となっているグローバル企業だ。これまで台湾の拠点は支社であったが、株式会社として世界展開をすすめていくこととなった。
ソシオネクストは技術の会社で映像・イメージング、ネットワーク、コンピューティングの分野で培われたテクノロジーを提供する企業ということだ。同社のコア技術は、「イメージング」「ネットワークコンピューティング」だ。今回のCOMPUTEXでは主にイメージングの分野について紹介してく。
一つは、8Kの映像ソリューションだ。NHKと共同研究したチップを活用した85インチの大画面で現実と間違うような映像を観ることができる。量産も視野に入れており、11月には販売される予定だ。
また、ドローンに付けられた4つのカメラが360度の画像を表示することができる。他にも、イメージングの圧縮技術や監視カメラ、自分撮りの機能の進化なども体験できるということだ。
世界の各拠点にある「ソリューションラボ」ではソシオネクストの最新技術もみることができるということだ。日本では新横浜にあるという。
【関連リンク】
・COMPUTEX TAIPEI 2016
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。