スタートアップのワールドカップが世界で初めて開かれることになった。
初回となる今回は、世界15箇所の国と地域で募集したスタートアップから、地区予選に出場する10社が選ばれ、地区予選大会で1社が選ばれる。その後、最終的に2017年3月24日にシリコンバレーで各地域代表による頂上決戦が行われるというのだ。
主催する、Fenox Venture Capitalによると、non-profit(利益なし)でこの取り込みを行い、ドメスティックな企業が世界の場で光を当てられていく道をつくるということを目的に開催するということだ。
参考:開催される都市
8/23 ジャカルタ(インドネシア)、9/21 東京(日本)、9/23 ヨハネスブルグ(南アフリカ)、9/28 テルアビブ(イスラエル)、10/12 北京(中国)、11/4 サンティアゴ(チリ)、11/23 バンガロール(インド)、11/26 シドニー(オーストラリア)、12/9 桃園市(台湾)、2017年1月 ルクセンブルグ(ルクセンブルグ)、2/2 サニーベル(アメリカ西部)、2/7 オースティン(アメリカ南部)、2/10 ボストン(アメリカ東部)、2月 プラハ(チェコ)、2月 ロンドン(イギリス)、本戦は、3/24 サンフランシスコ
Fenox Venture Capitalのアニス・ウッザマン氏によると、ワールドカップということもあって、趣旨に賛同した多くの国では大臣クラスがイベントにも参加、国が大きくバックアップしていくという流れができてきているというのだ。
決勝大会の審査員・スピーカーには、Yコンビネーターのケビン ヘイル、クライナーパーキンスのエリック フェン、テックスターズのデビット コーエン、ファウンダーインスティチュートのアデオ レッシ、ドレーパーアソシエイツのティム ドレーパー、ガレージテクノロジーベンチャーズのガイ カワサキなど業界著名人が名を連ねる。
イベント情報を滅多に掲載することのない米TechCrunchでも取り上げられたSTARTUP WORLD CUP開催の記事は、その週のベスト5にランク入りし、1週間で2,200万人に読まれたということだ。
邪推すると、VCがイベントを主催して優勝者に投資する何て、と思う人もいるかもしれないが、実際には投資をされたからといって、成功が約束されるわけではない。
しかも、これだけ大手のVC、インターネットを代表する企業やメディアが見守る中で行われるコンテストだ。優勝企業以外の有望株の取り合いになる可能性のほうが高い。露出も大きくなることが想定されているので、世界で戦いたいと考えているスタートアップにとっては、金銭以外の知名度向上にはとてもよいイベントだと言える。
アニス・ウッザマン氏へのインタビュー
Fenox Venture Capitalのアニス氏になぜこのイベントをやることとなったのか伺った。
ーなぜこのイベントをやろうと思ったのですか?
世界を見ると、アジアの企業はアメリカやヨーロッパに興味があり、逆も言えるがそれらが交わりあうことはなかなか難しいのです。実際私は米国でVCを経営しているのですが、アメリカのVCは600社以上あると言われているのに国外の企業に対して投資をしている企業は当社を含めて一握りです。
これまでのピッチイベントは、荒削りな、アイデアレベルのものが多かったですが、今回はシリーズB、Cの企業が出てきます。なので、実際のサービスとなっているものばかりなので、オープンイノベーションを起こしたい大企業の方にもとても見ごたえがあると思います。
ー確かにそうですね。日本のスタートアップも世界に出たいと言ってもどうやってマーケティングしたらよいのかすらまったく思いつかないし、米国のTechCrunchに掲載される企業なんてほんとんどありません。そういう意味ではチャンスが掴みづらい環境だとも言えます。
マーケティング的なベネフィットはとても大きいでしょう。多くの国の予選で国がバックアップしてくれているという点、世界的に影響のあるメディアでの露出、様々な経路での拡散がされるでしょう。
大会は日本でも1,200名規模、本戦では2,500名規模の関係者が見守る中プレゼンテーションをすることができる。
私は、こういうイベントがもっと前からあれば、例えば日本のmixiが現在のfacebookになったとしてもおかしくなかったと考えていました。
ーなるほど。マーケティング面以外ではどうですか?
優勝すると1億円出資をうけられる権利が得られるのですが、資金面以上に本戦では世界に冠たるVCや、Google, Apple, IBMといった企業の関係者も多くくるのです。そういう企業とのパートナーシップや、投資の機会が見つかるので、次の大きなチャンスとなる可能性が格段にあがると思うのです。
他にも、グローバルに戦いたいと思っているスタートアップにとってみれば、具体的なコネクションがない中、孤軍奮闘するより多くの支援者に助けられながら成長を加速することができるのです。
ー初めの予選は、インドネシアからということですが、どういう大会になりそうですか?
インドネシアではすでに700社の応募がありました。この中から予選大会に出場できる10社を選抜しているところです。
ー700を10に絞るのは大変な作業ですね。
確かに大変ですが、インドネシア政府が今回の大会を100%バックアップしていて、ゲストとしてもインドネシアの創造経済大臣Triawan Munaf氏や通信コミュニケーション大臣のRudiantara氏という日本でいう大臣クラスが参加されます。
ーワールドカップの名にふさわしい、国を挙げての大会になりそうですね。
日本でも、経済産業省の方にはご参加いただけますが、私は安倍首相や、経済産業大臣にもご同席していただきたいと思っています。また、大手企業の方で、オープンイノベーションを起こしたいという方にもぜひ参加していただきたいです。
日本大会については、ピッチは英語でやるのですが、進行もQ&Aは日本語ですし、イベントでの堀江貴文氏とのディスカッションも日本語で行いますので、英語が苦手という方もぜひ来てほしいです。
※補足:チケット購入の際オプションで同時通訳レシーバーをつけることも可能とのこと
http://www.adtech-tokyo.com/ja/pricing/で、Startup World Cup(SWC)のみ参加されたい場合は3か4を選び、4が同時通訳レシーバー付きということだ。
【日本予選の審査員】
- SNS media&consulting株式会社ファウンダー 堀江 貴文 氏
- 株式会社ABBALab代表取締役、さくらインターネット株式会社フェロー 小笠原 治 氏
- 株式会社セガゲームス 常務取締役、コンシューマ・オンライン カンパニー COO/CTO、
セガネットワークス カンパニー CTO 松原 健二 氏 - 日本マイクロソフト株式会社エバンジェリスト 砂金 信一郎 氏
- 経済産業省 新規事業調整官 石井 芳明 氏
- インフォテリア株式会社 代表取締役社長兼CEO 平野 洋一郎 氏
- 株式会社gumi 代表取締役社長 國光 宏尚 氏
- スタンフォード大学 アジア太平洋研究所日本プログラム研究員 櫛田 健児 氏
ーもう日本での参加は締め切られているのですか?
いえ、まだ8/28(日)まで受け付けていますので、ぜひこれを見て参加したいというスタートアップは今からでもぜひ応募してください。
ー当日が楽しみですね。今日はありがとうございました。
参考:
Startup World Cup URL: http://www.startupworldcup.io/
イベントへの来場希望者はこちら:http://www.adtech-tokyo.com/ja/pricing/
(9/21 18:30-20:20、ad:tech Tokyoの中で開催される。ad:tech TokyoのFull Conference Pass、あるいは、SWC(Startup World Cup)パスが必要)
予選出場を希望するスタートアップは8/28(日)まで、こちら申し込めます:http://www.startupworldcup.io/#!japan-application/uhoyj
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。