特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。
さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「センサー」。全問正解目指してがんばってください!
解説編
ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。
全部読んだら、再度問題にチャレンジしましょう!
センサーは人間でいう目や耳の働きをする
人には目、耳、鼻、舌、皮膚といった感覚器官が備わっていて、目で見る感覚を「視覚」、耳で聞く感覚を「聴覚」、鼻で嗅ぐ匂いの感覚を「嗅覚」、舌で感じる味を「味覚」、肌が物に触れた時に感じる感覚を「触覚」と言います。
そして、これら人間の感覚は五感と総称されます。今回のテーマであるセンサーは、上記の目、耳、鼻、舌、皮膚といった感覚器官のような働きをするものだと思ってください。
例えば、カメラ(厳密にはイメージセンサー)は人間でいう目の働きをしてくれるセンサーですし、マイクは人間でいう耳の働きをしてくれるセンサーというわけです。
ただ、人と違うのは、センサーは物理的な現象を、機械が取り扱えるような電気的な情報、つまりはデータに変換することができるという点です。
人は皮膚を通じて、「暑い」「寒い」を感じ取ることができるわけですが、具体的に何度なのかまでは分かりません。
しかし、温度センサーであれば、対象の空間の温度を数値で知ることができます。
ちなみに、このようにセンサーを使って、対象物の音や光、温度などの量を検出し情報を取得することをセンシングといいます。
DXプロジェクトにおいては、よく登場する単語ですので、覚えておきましょう。
人の感覚はわりと人によって異なったり、曖昧だったりするので、センサーによって温度を数値で知れると、今日、着ていく服装を決めるための貴重な情報になります。
しかし、センサーのメリットは、物理現象をデータに変換するところだけに留まりません。
機械にセンサーを組み込むことで、その機械に「〇〇〇なら、×××してね」という、自動運転をさせることができるのです。
例えば、エアコンには温度センサーが内蔵されていますが、この温度センサーがあるおかげで、エアコンは設定温度と室内温度が等しくなるよう運転できます。
言い換えると、私たちはエアコンに対して、「設定温度と室内温度が等しくなるように、部屋を涼しく(暖かく)してね」という動作を要求しているわけですが、これは温度を知覚できるセンサーがエアコンに備わっていなければできません。
センサーが普及したキッカケ
近年、センサーは価格が安価になったことにより、手に入りやすいものになりました。
低価格化を推し進めたのは、スマートフォン(以下、スマホ)の登場と言われています。
スマホは1台の中に数十種類以上のセンサーが搭載されています。
カメラやマイクはもちろんのこと、画面の明るさを自動で調整してくれる環境光センサー、スマートフォンを横向きにすると画面を切り替えてくれるジャイロセンサーなど、様々なセンサーが搭載されています。
数々のセンサーが組み込まれているスマホは、世界的に老若男女問わず、利用されるようになりました。
その結果として、センサーは大量に生産されたため、センサー1個あたりを製造するためのコストが下がり、低価格化が進みました。
ちなみに、スマホが登場する以前は、センサーは、冷蔵庫やインクジェットプリンタなど、さまざまな家電製品にも使われていたそうですが、スマホとプリンタでは年間の出荷台数に歴然とした差があります。
2019年の世界出荷台数で比較すると、例えば、プリンタは約7,000万台であるのにたいして、スマホはなんと13億7,000万台となっています。
スマホの普及がセンサーの普及にどれだけのインパクトを与えたのか、イメージがわくのではないでしょうか。
さて、低価格化が進んだ、と説明しましたが、センサーは具体的に何円から何円になったのでしょうか?
少し古いデータとなりますが、総務省の「情報通信白書(平成27年版)」に掲載されているグラフでは、2004年時点のセンサー単価は1.3$でした。これが2014年になると、0.6$となっており、半分以下になっています。
この時の予測では、さらに低価格化は進むものとされていて、2020年時点では0.38$となっています。
センサーを組み合わせることで実現、自動運転車
さて、自動運転車の実現にはセンサーが必要不可欠ですが、どんなセンサーが搭載されているか知っていますか?
真っ先に思い浮かぶものとすると、「カメラ(イメージセンサ)」だと思いますが、カメラは、基本的には人の目で見るという仕組みと似たような仕組みなので、夜間だと、人や障害物を見落としてしまう恐れがあります。
他にも逆光、濃霧、豪雨、豪雪といった条件下では、検出能力が課題となります。
しかし、だからといってカメラが使われていないわけではありません。
実は自動運転車は、複数のセンサーを搭載していて、検知したい対象の距離や求める検出精度に応じて、センサーが使い分けられています。
以下の表は、自動運転車には搭載されているセンサーの例です。それぞれが役割を与えられており、自動運転の機能の一部を担っています。
人は目、耳、鼻といった複数の感覚器官があるおかげで、周囲の環境を正しく認識することができますが、同じように機械も複数のセンサーを使うことで、より周囲のことを細部まで詳しく知覚できるということになります。
センサーをフル活用、変わるオフィス
アステリア株式会社はソフトウェアの開発、販売を手掛ける会社です。
同社は、2021年10月にIoTやAIをふんだんに取り入れたスマートなオフィスを恵比寿に新設しました。そこではたくさんのセンサーが稼働していて、社員の方々の満足感や快適さを生んでいるといいます。
では、どんなふうにセンサーが使われていて、社員の方々の働き方はどう変わるのかを紹介します。いくつかあるのですが、ここでは3つほど紹介します。
着席状況をオンライン上で確認
オフィスはワークスペース用に1人用の椅子が複数設置されていますが、後ろからだと人が座っているのかどうか見づらいため、のぞきこまなくてはなりません。
そこで、同社の新オフィスでは、デスクの下に人感センサーを取り付けることで、システム上で、椅子に人が座っているかどうかを、確認できるようになりました。
伝票の在庫管理
オフィスには荷物を郵送するときに使う宅配便の伝票置き場があります。
いざ荷物を梱包して、伝票を書こうと思った時にボックスに、伝票が残ってない場合があります。
その場合、総務に連絡して補充してもらうなどしなければなりませんが、これは結構なストレスです。
そこで、同社の新オフィスでは、ディスタンスセンサーを使って、宅配便の伝票の残量が分かるようにしました。ちなみに、この取り組みは総務の要望に応えて実現したそうです。
出勤情報の可視化
コロナ感染症によって、テレワーク化が進みましたが、誰が今オフィスに出勤していて、誰がテレワークをしているのかが分からない、ということも起きてしまいます。
一部の大企業をのぞけば、チャットツールをつかって、今日はどこで働いていますということを社員各自が宣言をするというやり方をしている企業も少なくないでしょう。
しかし、アステリア社は、エントランスに顔認証AIのカメラを設置して、社員のオフィス出勤を見える化しています。
カメラは誰が入室したかを検知して、「〇〇さんが出勤しました」とslackに通知をしてくれます。
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現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。特にロジスティクスに興味あり。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。