IoT時代には、テレビとスマートフォンも垣根を超える
小泉: 5GやLPWAなどの新しいネットワーク技術が注目されています。それについては、何か取り組みはされていますか。
小林: 5Gについては、全国で実証実験のサポートをしています。私が特に面白いと思っている事例は、地方にある建設機械を都心部で遠隔操作し、地方で誤差なく動かすというものです。これは素晴らしいソリューションだと思います。
このような事例を全国的に展開していくには、電波を割り当てる方式や利用料などの制度設計が重要になってきます。そこは、私たちの役割です。
小泉: 海外では、5Gの具体的なユースケースを打ち出している企業もあります。私としては少し焦りを感じているのですが、日本の準備は万端なのでしょうか。
小林: 総務省を中心に、日本全体でなるべく早く導入できるよう、時間軸を前倒す施策を始めています。一方で、5Gをどう活用するのかが重要なので、日本政府としてはいいモデルをできるだけたくさん、早くつくっておく必要があると考えています。
日本ほど通信環境の整った国は他にありません。ですから、日本は5Gの事業を進めるうえでは、とても適した場所だと思います。政府としては、その点をしっかりと打ち出し、もっと民間の投資を呼び込んでいくことが必要だろうと考えています。

小泉: ネットワークといえば、NHKのネット同時配信も、小林さんが中心になって進められたそうですね。
小林: はい、総務省の担当部門と一緒にやっています。NHKのテレビ放送を、スマートフォンなどの端末でも同時に見られるというサービスです。いま、政府からNHK側に改革の条件を求めています。
実現は、2019年なのか、2020年なのか、その時期はNHK次第ですが、テレビ放送がスマートフォンで見られる時代がまもなくやってきます。
この取り組みの重要なポイントは、もはやテレビもIoTデバイスの一つになる時代にてきているということです。テクノロジーが進化した時代においては、見る端末は何であってもいいのです。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。