すべてがサブスクリプションになる
八子: 「カフェ検索」というサービスがあったとしても、今だとカフェは出てくるでしょうが、コンビニの併設店は出てきません。
ところが、ニーズによってはそれが出てきても当然、構わないわけです。たとえば、「電源カフェ」のように電源があり、座って仕事ができる場所を求めている人たちからすると、スターバックスでもエクセルシオールでも、コンビニでもマクドナルドでもいいのです。
小泉: 法律の問題をいったん置いておけば、家の庭でカフェをやったっていいわけですからね(笑)。
八子: 小売・流通において、かつてはカテゴリー別にあった色々な機能が、今後は「アグリゲーター」(ヒトを集めるスキルを持った人たち)を中心に再配列されていくということはあるでしょうね。
ヘルスケアのような領域においては、「そこが可視化されていなければ、私たちのパフォーマンスが担保されない」というような要素は当然関わってきます。
あと、最近よくご相談されるのが、コンピュータのエネルギー消費量を可視化したいという話ですが、その場合には、情報の処理量に対して課金をするのか、コンピュータそのものに対して課金をするのか、ベーシックな電力量に対して課金するのか、あまり境目がないですよね。
小泉: 確かに、これまでは電気代を払って、コンピュータを買って、アプリケーション費用を払うということでしたが、クラウドの社会になってくると、何にお金を払っているのかよくわからなくなってきます。
八子: オールインワンであれば、課金の対象が電力なのか、通信費なのか、クラウドなのかはあまり問われません。
小泉: クラウド事業者からすると、努力して電力消費量を削減すれば、消費者に請求する金額も変わってきます。
八子: いわゆる「サブスクリプション」のモデルが、「境目がなくなる」ことを消費者にとってわかりやすく示したモデルです。これからはさらにB2Bのプレイヤーにとって最も「アウトカム」(成果)につながるかたちで費用の問題を再定義できるのであれば、あまり業界にこだわらずに幅広いサービスが提供できるでしょうね。
小泉: なるほど。八子さんは随分と前から、IoTによって業界の境目がなくなっていくだろうと提唱されてきました。ここにきて、やはり進んできたという印象ですか?
八子: そうですね。ようやくそういう時代がきたかなという実感があります。
小泉: これからは一層、既存の業界にとらわれずに、もう少し広い範囲で、日々の情報をウォッチしていく必要がありそうですね。本日はどうもありがとうございました。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。