レジなし店舗も始まった小売流通、焦点は「買い物体験」
小泉: 小売流通の分野はどうですか?
八子: 今年は「Amazon GO」に代表される「レジのない店舗」が注目されました。なので、プラットフォームというより買い物体験を「2.0」にひきあげるという発想の方が今年は強かったと思いますね。
今後は、そうした店舗のしくみをバラバラにつくっていくのではなく、店舗に商品を卸している企業がその店舗で起こっていることをデータとしてとらえ、マネージしていくためのプラットフォームを構築するという流れにむかうでしょう。
小泉: たとえば、「商品が今どういう売れ行きか」というデータもリアルタイムで共有できるようになるということですね。
八子: あるいは、店頭で売れなかった商品を売るためのしくみをどうつくるかですね。「オムニチャネル時代」といわれて久しいわけですが、店頭で売れなかったモノもEコマースだと売れることはあります。お客様が商品を買いやすいようなチャネルをいかに構築していくかが求められます。
小泉: なるほど。たとえば、手に持った時に軽い商品は、何となく実価格に対して割高な感じがして、買われにくいみたいな話があります。でもそれは、そもそも重さを感じないEコマースでは売れる。オムニチャネルといっても、商品をどこで売るべきかの最適解を導くことは簡単ではありません。
ただ、これもデータが集まるしくみができてくると、どのチャネルが最も売れるのかがわかるようになっていくのでしょうね。
八子: 商品を手に取らなくてもその商品が果たす効果が明確にわかるものについては、次第にネットに移行するでしょう。一方で、洋服などの嗜好性の高い商品は、「買い物体験」がきわめて重要になってきます。
そうした新しい買い物体験を提供するプラットフォームが徐々に展開され始めたということは言えると思います。それを「プラットフォーム」と呼ぶのかどうかはまた別の話ですが。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。