2019年7月3日、京セラ株式会社とライオン株式会社は子ども向け仕上げ磨き専用ハブラシ「Possi(ポッシ)」を開発したことを発表した。「Possi」は「子どもが嫌がる歯磨きを楽しい時間に変える」をコンセプトに開発された、歯みがきすると音楽が聞こえるハブラシである。
この「Possi」はソニーが展開する事業支援プログラム「Sony Startup Acceleration Program」を通じて実現した開発企画だ。
「音楽の聞こえるハブラシ」というユニークな商品開発を始めたきっかけ、3社共同のプロジェクトとして進めた意図などについて、京セラ・研究開発本部・メディカル開発センターの稲垣智裕氏、ライオン・研究開発本部・イノベーションラボの萩森敬一氏、ソニー・Startup Acceleration部の宮崎雅氏の3人にお話を伺った。
(聞き手:IoTNEWS生活環境創造室長 吉田健太郎)
親子の歯磨きを楽しい時間に
IoTNEWS吉田健太郎(以下、吉田):まずは「Possi」を開発しようと思ったきっかけについて教えていただけますでしょうか。
京セラ 稲垣智裕氏(以下、稲垣):そもそも「Possi」は小さい子どもを持つ親に向けて企画開発したものです。

私自身、子どもが3人いるのですが、歯磨きをさせるのに大変な思いをしています。「毎日、嫌がる子どもに歯磨きをさせるのは大変だな。テクノロジーを使って、自分と同じような悩みを抱えるお父さん、お母さんを救うことはできないかな」と思ったのが「Possi」開発の始まりでした。
歯磨きは子どもと濃密に接する機会としては、一緒にお風呂に入ることと同じくらい、親子にとって大切なものだと思っています。
でも、小さい子どもに歯磨きをさせるのは、子どもが泣きながら嫌がるなど、なかなか上手くいきませんよね。せっかく親子が触れ合う絶好の機会である歯磨きを楽しい時間にしないのは勿体ないと思います。「子どもの歯磨きに困っている世のお父さん、お母さんを助けたい」との思いから開発を提案しました。
IoTNEWS吉田:お父さん、お母さんに向けて「歯磨きを嫌がる子どもたちが、歯磨きを楽しいと思うようになりますよ」というメッセージを発信したい、ということですね。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。