折りたたみ式から巻取り式まで、最新スマートフォンの動向 ーMWC2023レポート8

MWC2023レポートの第8弾は、最新スマートフォンのレポートだ。

MWCは、スマートフォンの新機種が一堂に会する場でもある。そしてCESとは異なり、中国メーカーが数多く存在することも特徴だ。ファーウエイ、ZTEはじめ、HONOR、レノボ、シャオミ、OPPOが自社ブースで、新型スマホを展示していた。

特に今回目立ったのは折り畳み式(Foldable)だ。殆どのスマホメーカーが折り畳みできる機種を展示していた。

ただし、わかりやすい差別化ポイントは見当たらず、用途含めて、折りたたみ式の価値を模索しているように見えた。

また名称に「Fold、Flip」を付けているものも多く、先行して「Fold、Flip」のモデルをリリースしたサムスンの優位は続きそうだ。

市場においては価格がポイントになる部分も出てくるが、各社とも折りたたみ式のモデルは高価格に位置づけられているため、大きなシェア変化はすぐには起きない可能性が高い。しかし、各社が参入してきたことで、価格レンジが下方に拡がり、折りたたみ式の市場が拡大することは確実だ。

HONOR初のFoldableスマホHONOR Magic Vs
HONOR初のFoldableスマホHONOR Magic Vs
Xiaomiブースでも昨年発売したMix Fold2を展示
Xiaomiブースでも昨年発売したMix Fold2を展示
HUAWEIブースのFoldableはフラッグシップでもあるMate Xs
HUAWEIブースのFoldableはフラッグシップでもあるMate Xs

背面というか折りたたまれた状態を見ると、左側に画面を開くボタンがあるのが特徴的だが、HONOR Magic Vs、Xiaomi Mix Fold2、HUAWEI Mate Xs共に開いた状態では、Samsung Galaxy Foldとほとんど見分けがつかない。

もちろん背面を見るとそれぞれ異なる部分や、ロゴ等があるため識別はできるが、現状では「折り畳み=Galaxy」と感じる人は多いこともあり、折り畳み機種の普及は、Galaxyの存在感を増す要素になるかもしれない。

初代Foldableと言えるGalaxy Foldの4世代目となるGalaxy Fold4
初代Foldableと言えるGalaxy Foldの4世代目となるGalaxy Fold4

各社がFoldableスマホを提供する中でOPPOは大きさで差別化をしていた。FoldもFlipも若干小さい。丸っこい印象もあってかわいいと感じる人もいそうなデザインだ。

拓くとやや小ぶりに見えるOPPO Find N2(隣はiPhone12Pro)
拓くとやや小ぶりに見えるOPPO Find N2(隣はiPhone12Pro)
OPPO Find N2はほぼGalaxy Z Flip4と同じ大きさ
OPPO Find N2はほぼGalaxy Z Flip4と同じ大きさ

折りたたみ式が一般化しつつある中、「巻取り式」で差別化してきたのがレノボだ。

ボタンを2回押すとディスプレイが上に伸びるモトローラブランドのスマートフォンだ。有機ELの曲げられる特性を折り畳みではなくロールスクリーンとして活用したプロトタイプになる。


(巻取り状況が分かりづらいので、動画の始めと最後に注目してほしい)

またLenovoからはFoldable PCも発売している。

MWC2023ではその2世代目のモデルが展示されていた。

ノートPCはもともと折りたたむものであり、大画面で作業をしたいニーズもあるため、個人的にはFoldableスマホよりもFoldable PCの方が受容されやすいかもしれない。

スマートフォンはシンプルなデザインにならざる得ないハードウェアであることからデザインによる差別化が難しい領域だ。

その中でサムスンが折りたたみ式の領域に先行して取り組んだことはブランドの存在感を増す、わかりやすいアプローチだった。折りたたみ式の領域が生活者に受け入れられはじめると、他社も折りたたみ式のスマホを提供し追随してくる。

このような中、スマホ領域でもグローバルでトップシェアであるサムスンはCES同様にMWCでも自社製品の環境貢献を強くアピールしてきていた。

MWC2023 Samsung

ブースの至るところで製品のリサイクル素材活用を紹介。

例えば、背面ガラスのフィルムはペットボトルからリサイクルした素材を利用、漁網をリサイクルした素材はSペンやスピーカーに利用しているという。

その他にも、様々な金属部品は約3割のリサイクルマテリアルを活用し、製品のパッケージ(箱など)は100%リサイクルペーパーを採用することに加え、プラスチックシールは全て排除したという。

MWC2023 Samsung

さらには製品ライフサイクルの延長も推進している。

市場としても買換えサイクルが伸びている実情もあり、まさにトレンドに応じた対応となっている。

4世代OSのアップデートに対応することや、5年間のセキュリティアップデートのみならず、まだ北米だけだが自分でリペアできるプログラムも始めている。

こういった取り組みの実態は、競合他社も追随せざる得ない内容であり、先んじて取り組み、そして発信するSamsungが業界のリーダーであり続ける要因ともいえる。

ただし、生活者から見た際、環境貢献要素が価格やデザイン以上にブランド選択の理由になるのかというと、いずれ各メーカーが同様の取り組みをしていくことを踏まえると圧倒的な優位性を持つものではないだろう。

それ以上に、各社が参入したFoldableモデルはライフスタイルを変えていくのか、手放せないものなのか、スレート型からの明確なリプレース理由はどのようなことか、このあたりはまだ明確になっていない。

折りたたみ式のモデルが浸透していくかどうかを見定めるためにも、引き続き市場動向の観察が必要だ。

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