エスキュービズム主催のIoTカンファレンスが、10月18日六本美ミッドタウンホールで開催された。
オープニング挨拶では、武下真典氏(エスキュービズム)が登壇し、「IoTという言葉が大きな注目を集めるようになりったが、企業でのIoTプロジェクトはうまく進んでいないのが現状。新たな気づきの場となることが目的」と、IoTカンファレンスの趣旨を説明した。
リアルタイムで行われた会場アンケートでは、すでに専門組織もできて取り組んでいると答えた人が20.9%、専門組織はできたが取り組めていない人は5.4%、IoTの取り組みを検討している人は33%、今のところ取り組む予定はない人が29.0%となった。
基調講演

基調講演では、IoTNEWS代表の小泉耕二が登壇。GEのガスタービンやコマツのスマートコンストラクションを例にあげ、成功しているIoTについて述べた。しかし、「IoTで成功などできない、IoTしようなんて思ってはいけない」と述べ、あくまでも「IoTは手段であり、目的ではない」というメッセージでIoTカンファレンスの幕を開けた。
特別講演
特別講演では、「IoT導入によるインパクト」というテーマで、佐野健一氏(ビジョン)が導入社視点でのIoTを語った。ビジョン社はグローバルWi-Fiのレンタルサービスを提供している会社で、空港の出発便と到着分が集中する混雑時にカウンターが長蛇の列となることが課題だったという。
そこでIoTを活用し、スマート宅配BOX「スマートピックアップ」を本格設置したところ、月間で234時間の受取時間を削減し、顧客を待たせないことによる満足度アップと差別化による集客増に繋がったという。スマートピックアップは、コインロッカーのようになっている。WebからグローバルWi-Fiを申し込んだ時にスマホに送られるQRコードがロッカーの受け取りキーとなり、それをかざすだけで受け取ることができるため、カウンターに並ぶ必要がない。
トークセッション:IoT時代の経営

「IoT時代の経営」というテーマでは、東洋経済の福井氏をファシリテーターに向かえ、堀江貴文氏(実業家)、佐渡島庸平氏(コルク)、薮崎敬祐氏(エスキュービズムCEO)が登壇した。
堀江氏は、今IoTが広がってきた背景も説明しながら「IoTはバズワードだとも思うが、その概念を実現するための”キャズム”を超えるにはマジックワード(IoT)が必要だ」と述べた。例えば「コンビニに置かれている商品にRFIDタグをつけ、無人化したらよいのではないか?」という話はIoTが話題になる前から指摘していたというが、IoT時代の到来で、やっと人々が興味を示すようになったという。さらに、「IoTは全ての産業構造を変え、重要になってくる産業はエンターテイメント」とコメントした。
講談社で「バガボンド」「ドラゴン桜」などの編集を経たのち、作家のエージェント会社 株式会社コルクCEOとなった佐渡島氏は、「経営するときは興味が続いてないと情熱を持ち続けられない。シンプルな仕事はやらなくてよくなるので、最終的にどう遊ぶのかが大事になってくる。今は遊び方の数が少ない。今後は遊びの提示に意味があるのでは。」と述べた。
エスキュービズムCEOの薮崎氏は、「面白かったら全部やっている、それがITに繋がればいい。」と、IoTを前向きにとらえた。
トークライブ:「こんなIoTがあったらいいな会議」
冒頭、IoTxお笑いハッカソンで優勝したチームの発表があり、その後お笑い芸人による、IoTトークライブが開かれた。
トークライブ「こんなIoTがあったらいいな会議」では、お笑い芸人の板尾創路氏、明和電機 土佐信道氏、レイザーラモンRG氏、三秋里歩氏、トレンディエンジェルが登壇し、それぞれの生活者視点で、あったらいいなと思うIoTを発表した。様々な悩みや気づきなどから考えられたアイディアに対し、エスキュービズムの武下氏は「生活の中からのヒントを得ることができた」と締めくくった。
「オーディエンスと共にIoTを仕分けせよ」

最後に「オーディエンスと共にIoTを仕分けせよ」と題し、真田幹己(エスキュービズム)氏がモデレーターを務め、事業担当者である八子知礼氏(ウフル)、田邉憲一氏(共同印刷)、青木俊介氏(ユカイ工学)、が登壇。バーチャルコマース、ロボット、旅行などのIoTについて、「ありかなしか」というディスカッションが行われ、おおむね「あり」という事業担当者が多かった。
例えば、ウフルの八子氏は旅行のIoTについて「あらかじめ色々な情報を集めておき、色んな情報が翻訳されて、位置情報でレコメンしてくれるなどがあると、旅は楽しくなる」と述べた。
ユカイ工学の青木氏はロボットについて「定義がひろい。AmazonEchoのようなロボットも呼ばれ始めているので、ロボットはIoTとほとんど同じ意味で使われていると思う。色んな可能性がある。」と述べた。
オムニチャネルソリューション等の企画開発・プロデュースに携わっている共同印刷の田邊氏は、バーチャルコマースについて「リアルは絶対なくならないがバーチャルは浸透していくと思う。コンサートにはいけないけどバーチャルで、五感もあわさって浸透するのはありだと思う。」と述べた。
また飛び入り参加したニフティ株式会社 代表取締役社長 三竹 兼司氏は「弊社はウェブサービスをやっているが、組み合わさって色んなことができる。IoTデザインセンターを作って、メーカーが売り切って終わりではなく、継続的にお金をいただくということを考えているが、我々は既に100件超のご相談をいただいてきた。製造業のお客様が中心。1年間やって色んなことがわかった。ハードウェアだけではダメで、サービスを付加しなければいけない。IoTという言葉はなくなって一般的になるだろう。」とコメントした。
また、ディスカッション中に行われた、リアルタイムな会場アンケートでも、IoTの世界観に期待している、という参加者が多かった。
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