CES2017レポートの第二弾はQualcomm(クアルコム)のキーノートスピーチからだ。
QualcommのCEOである、Steve Mollenkopfは壇上、新しいSoC製品(System on a chip:一つの基盤の上に必要な機能を実装すること)となる、Snapdragon835を紹介した。
この新しい製品は、既存のQualcomm製のGPUより高速に、低消費電力に、サイズも小さくなったという。この新製品を通して、Qualcommは、5G時代のVR/ARに注目しているという意向を示した。
5G時代には、高速処理、ワイドバンド(広帯域)、などが必要とされるが、そうなることでこれまでも実現できていたリアルタイム動画のVR鑑賞をスマートフォンなどの端末上で実現可能となるのだ。
日本では、テレビ局の関係からかVRでのスポーツライブ放送などがされることがないが、北米ではバスケットやアメリカンフットボールなどのスポーツ観戦をVRで見ることが可能となる。
実際に、デモンストレーションされた映像をみると、これまでの4GLTEの場合と5Gの場合での再生のクリアさに差があることが一目瞭然だろう。
つまり、5G時代では、スポーツ中継をリアルタイムにスマートフォンでみることができるのだ。
さらに、別の記事でも記載するが、北米を中心にVRのマーケットが広がっていく中、VR向けの動画をよりクリアにリアルタイムに撮影することが可能なデバイスも多く出展されていたことからも、今後はクリアな画像をスマートフォンでみたり、VRやARをつかってより没入感のある視聴が可能となるのだと思われる。
実際、Qualcommも新製品であるSnapdragon835を使ったVR/ARデバイスのリリースも発表しており、この分野の可能性に注目していることがうかがえる。
また、来るべきIoT社会についても、「200億以上の機器がネットワークに繋がる時代において、いろんな業界で性能や効率をよく情報を伝達するようになる
リアルタイムの情報がどんどん送られるようになる。スマートシティや、スマートホーム、健康の管理、クルマの情報、などいろんな情報をえることができる。今後、こういったエコシステムを構築するのに5Gは役に立つ」と述べ、5GとIoTの関連性、そして、大量データを処理するチップの必要性について、提携企業を紹介しつつ述べた。
今回のCESでのキーノートスピーチは、高速に動くものを追尾していく処理を行ったり、ハイクオリティの動画をスマートフォンで見せたりと、基本的には来るべき5Gを見据えて、QualcommのSoCを使うと高速処理ができるよ、という話であった。
デモンストレーション自体は目新しさはないが、北米で行なわれているVRスポーツ中継を楽しむには高速通信と大きなデータを処理することが必須となるが、一方でいつになったら実現されるのか今の所わからない5Gが来ないうちは、その恩恵にあづかれない。
機械学習を行うのに適しているGPU陣営や、低消費電力でIoT向きの陣営など、来るべき未来に対応していくという意味でも今後のQualcommの立ち位置が問われるのでは無いだろうか。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。