-LPWAの面白いユースケースはありますか?
あらゆるものが面白いです。センサーを使ってデータを見える化したり、目で見えなくてもコンピュータ側で判断できるという状況になって、わからなかったことがわかるようになったとか。
例えば、災害対策や、公共のごみ箱の収集など、社会生活の中で当たり前のようにやっていることの中にLPWAが使われて、わからなかったことが少しずつわかってくる。ジワジワ変わっている感じはしますよね。
公共用途での事例ですが、ヨーロッパに行くと交差点ごとに人の背の高さくらいある大きなごみ箱があります。そこに朝や夜中に、収集車が来て機械で持ち上げて逆さまにしてごみを収集します。
ごみ箱は空っぽのときもあれば満タンのときもありますので、理想的には満タンなときだけそこに収集に行けばいいわけですが、実際は無駄なことも多いのが現状です。
そこにLoRaのような通信をつけて、センサーでごみ箱の中の状況がリアルタイムで把握できると、収集車にとって最適なルートをその都度作れます。また、時間帯によってはごみ収集車が渋滞の元になりますので、ごみ収集車が少なくなるだけで渋滞緩和の効果があるわけです。社会の見えなかったコストが減っていくメリットはかなり大きいですよね。
-スマートゴミ箱って日本でもうけるものなのでしょうか?
スマートごみ箱は、日本の都市部では、そのままの形だとあまり意味ないですよね。一方で、業務用、例えばコンビニとかファミレスとか、いろいろまとめてごみが出るところには案外用途があるのかもしれません。
ごみ箱にセンサー、といったものの他に、例えば電柱などにカメラをつけて、カメラにあらゆるセンサーの役割を持たせようとすれば、防犯など色々な用途にも使えます。ヨーロッパで使われている仕組みも多少汎用性がある気がしてまして、お国柄や土地の事情に合わせて変えていけばいいのではと思います。

-コスト削減ができたからヨーロッパ全体に広がっているのでしょうか。
そういう面はあると思いますが、同時にヨーロッパには、スマートシティを欧州全体で産業の起爆剤的に扱っている面があります。
-LoRaWANを使っている地域と、SIGFOXを使っている地域があると思うのですが、それは何が決め手なのでしょうか。できること自体はあまり変わらないのでしょうか?
広い目で見ればだいたい一緒です。SIGFOXとLoRaWANのそれぞれを細かく見ていけば、棲み分けは多少ありますが。
-業者が通信鉄柱を全部建ててくれているか、自分で好きに建てられるかという違いは大きいですよね?
そこは大きいと思います。ただ、LoRaが特にそうですが「シーズとしての技術はあります、モノもあります、あとは導入する人がこうやってください」というのは、これまでの携帯電話ネットワークとは違いますよね。役割が水平分離しています。
これまでの携帯電話ネットワークだったら、モノを作る前に通信設備ベンダーなどがさんざん試験をして、技術を固めて「これが標準だ」となっていました。さらに通信事業者がチューニングしながらサービス提供するわけです。「LPWAで何キロ飛ぶか?」という話は、携帯電話の場合とは順番が逆ですよね。
次ページ:これからLPWAを活用していく事業者は、何を考えていけばいいのか?
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