高度成長期さなかの1962年に、スーパーなどで商品に価格や日付を表示する機械である「ハンドラベラー」を発明、1981年には世界初の熱転写方式バーコードプリンタを開発、1990年代には自動認識技術を活用し、ヒト・モノの動きと情報を一致させるソリューション事業を開始したサトー。
時代に合わせた商品を送り出してきたサトーは現在、仮想(IT)と現実(モノ)をデータでつなぐ「最後の1㎝」を担う、世界ナンバーワンの自動認識ソリューション企業になることを目指している。
今回、サトーホールディングス株式会社 エグゼクティブエキスパート 戦略提携担当 小玉昌央氏 に詳細を伺った。(聞き手:IoTNEWS代表/株式会社アールジーン 小泉耕二)
-「最後の1cm」について教えてください。
「最後の1cm」は、ある1枚の画から始まりました。
われわれが提供しているハードウェア、サプライ、保守サポート、ソフトウェアを組み合わせたワンストップサービスを今後どう変えていくか、という議論の中から生まれてきました。
そのときに一番上にクラウドがあって、その下にネットワーク、その下にデバイスやセンサー、そして最後にさまざまなお客さまの「現場」、という画を描きました。
われわれがタギングしているモノは、より先にある次の現場とつながらないといけないし、つながったときに現場から上位系のシステム、クラウドに至るまでにきちんとした情報の流れをつなげないといけません。
例えば、通信機能を組み込んだ機器ではなく、この会議室の照明器具のようにネットワークにつながっていない既存のモノも、誰かがタギングしなければ情報をつなぐことはできません。そして、モノがどこにあって、誰が持ち主で、どういう環境で、どのぐらい使われているのかなど、きちんと構造化された正確なデータを上位につなげる必要があります。
そこで、バーチャルとリアルの間のつながっていないさまざまな「現場」をつなげるのがわれわれの役目、という議論にまとまり、そのラストマイル、いやそれよりきめ細やかに「最後の1㎝」をつなげて顧客価値を実現することにしたのです。
-つながっていないものは「とにかくつなげよう」ということですね。
利活用する場面場面で費用対効果を見る必要はありますが、ビッグデータビジネスを成功させるためには、正確な信頼できるスモールデータが必要であり、その取得を担うのがサトーです。
-サトーは、つなぐだけではダメで、きちんとサービスとして系をなしていなければいけないということでしょうか。
アプローチとしては両方アリだと思います。試行錯誤もアリです。トライアルのコストもどんどん下がっていますから、「まずやってみる、つないでみる」ことも大事です。
お困りごとの解決とか顧客価値の向上とか、ビジネス化を考えるポイントがあって、「そこにどう使えるのか?」「そのためには、どういうデータが、どのぐらいの精度、頻度で、何をベースにデータを取ったらいいのか?」という形で設計すると、わりと失敗しないのではないかと思います。
サトーの「SOS(SATO Online Services)」
2014年初旬、お客さまのお困りごとをきちんと整理し、その解決のために当社は何ができるか、を考えたのが出発点です。プリンタ単体ではなくソリューションとしてM2MやO2Oに取り組むことが必要だと考えました。
その取り組みから生まれたのが現在提供している、IoTで予防保守を実現する新しい保守サービスSATO Online Services、頭文字を取って「SOS」です。
サトーのプリンタは、物流センターの出荷ラベル発行用として24時間使われていたりするので、プリンタが止まってしまうと、配送するモノが準備できていても出荷業務が止まってしまいます。これまでも「お客さまの現場を止めない」ことを目指してきました。
-逆に言うとそれまでは止まっていたのですか。
はい。多くはありませんが止まってしまうこともあり、その都度直すという作業が発生していましたが、今は基本的に止まりません。停止の86%は、予防保守やメンテナンス、清掃、そして部品の事前交換などで防げます。
これまでに起こった停止を分析すると、ちょっと汚れがたまっているので清掃したり、紙送りローラーやインクリボンなどの消耗部品を交換したりしておけば防げていた、ということがわかってきました。リアルタイムにオンラインで状態を把握し、それらを予知できれば停止を防げるというのがスタートポイントです。
-問題が起きるポイントはどうやって調べるのでしょうか。
プリンタには大きなロール紙が入っていて、それを回転させる部品があります。印刷するときのロールの回転距離が、車のタイヤの走行距離と同じ目安となります。
車では1000キロ、5000キロ点検といった走行距離に応じて点検する仕組みがあり、更にタイヤの溝の残量や、ブレーキパッドの厚さなど基本性能に影響を与える数値があり、そこが点検、整備の目安となります。
一方プリンタでは、通電して熱転写している場合、その通電時間がある時間を超えると、印字精度が落ちてきたり、印刷ムラが出始めたりします。通電しない部分は黒くなり線が入ったように見えてしまいます。
-家庭用プリンタなどでもありますね。
そうですね。パソコンなどのモニター画面も同じで、黒いドットができたりします。時間と共に消耗していく部品はその部品の経過時間を管理すれば故障や品質低下を防げます。
-なるほど。今までもサービスマンは行かれていたわけですよね?
もともとサトーの強みは、ワンストップサービスです。プリンタの開発、製造、販売、そして保守サポートを行っています。プリンタを製造、販売している企業は数多くありますが、「ハード」と「サプライ」の両方を本格的にやっている企業はありません。
お客さまは、性能の良いプリンタやラベル単体が欲しいわけではなく、きちんと印刷された業務に使えるラベルが欲しいのです。サトーからプリンタとラベルの両方を買ってもらえると欲しいモノの品質、つまりキチンと印刷されたラベルが保証されます。プリンタは機械なので、修理サービスやメンテナンスが必要です。サトーは「保守サポート」を担う部隊も内部で持っています。
「カスタマーエンジニア」と呼んでおり、プリンタの設置、修理を担当しています。不具合などの問い合わせがあった場合は、即座に現場に出向き対応します。
さらに、プリンタ本体だけではなく、プリンタを動かすソフトウェアやプリンタを活用した業務アプリケーションにも取り組んでいます。
-今までやってきたことの延長上に「SOS」があるのですね。
われわれが提供している顧客価値や顧客サービスのレベルを、SOSによって進化させたわけです。
これまでの保守サービスは、お客さまから修理依頼のお電話をいただき、現場に行って状況を確認し、稀にですが、部品が足りなくて会社に戻り、そして修理、交換して、と3~4時間もかかってしまうこともありました。その時間が0(ゼロ)になるかもしれません。
これからはより的確なタイミングで「そろそろ清掃しませんか」と、メンテナンスをさせていただくために訪問します。
そうするとカスタマーエンジニアは計画的に働くことができるので、業務計画も無理なく立てられるし、事前に清掃したり交換したりすることでプリンタの停止が未然に防げるのでお客さまにも喜んでいただけます。
-サービスマンはいい営業マンになりますね。
クルマの販売にも、「1台目は営業が売り、2台目はサービスマンが売る。」という格言があります。
最初の性能を維持するためには、キチンとしたメンテナンスが必要ですし、使用する長い期間お付き合いするのはカスタマーエンジニアです。お客さまに気に入ってもらえたら、「またあの人から買いたい」となります。保守サポートの質の高さは売り物になります。
私は、サトーのプリンタは世界一だと思っています。今までも頑張ってきましたが、より顧客価値を向上させたいというところを、昨今のO2O、M2M、そしてIoTの力を借り、もっと喜んでいただけるサービスが提供できるようになってきました。
これまでやってきたこと見ると、SOSは必然的に誕生したのだと思います。SOSを実装しているプリンタ「スキャントロニクス CL4NXシリーズ」は、SOSがスタートする1年以上前の、2014年4月1日に海外市場向けに発表、発売しています。
その時の商品コンセプトは、「SATO’s First Truly UNIVERSAL Industrial Label Printer」、そして、3つのキーバリューは、Plug-and-Play、Simple-to-Operate, All-in-Oneでした。そのコンセプトの中にSOSで実現した「運用を止めない」という顧客価値や、実現させるための仕組みが織り込まれていました。
グローバルに見ると、サトーより多くのプリンタを販売しているメーカーもあります。そのメーカーのプリンタをご使用のお客さまが、それらの代わりにサトーの商品をつなげても、すぐに業務をスタートしていただくことができます。サトーのプリンタの性能は良くて、壊れなくて、品質が良い、がアピールポイントでした。
しかも、エミレーションという印刷フォント変換ソフトも他社のプリンタの印刷方式に対応しているので、お客さまの情報システムから落ちてくる印刷データが文字化けせずに印刷できます。
リナックスとITRONという2つのOSが入っていますので、プリンタの仕事とIoTの仕事は違うOSの上で動いています。初めからIoTを実装することを想定した仕様になっていますので、あとはIoTを動かすアプリケーションを入れるだけでした。そのため、企画をスタートさせて、その後約1年で開発、サービスインすることができました。
今後、サトーのプリンタは全てこのSOSが標準装備となります。
もうすぐ発売するポータブル型のプリンタは、スマートタブレットを一体化した全く新しいコンセプトのプリンタです。以前、自動車会社の方が、「これからのクルマはタイヤが4つ付いたiPadだ」とおっしゃっていましたが、新型プリンタは「印刷できるスマートタブレット」です。
今、スマートに印刷するための業務用アプリケーションを用意しています。スマートフォンも良いアプリケーションが用意されていないと、普通の電話機ですよね(笑)。
「このアプリケーションを使うためには、世の中にはこのプリンタしかない」、ということを目指しています。アプリケーションは全てクラウドに格納してあるので、ビジネス化するモデルはいろいろ考えられます。
-それは用途別のフォーマットが入っているのでしょうか。
それもあります。例えば、病院向けであれば、入院患者さん用や人間ドック受診者用、妊婦さん用など、さまざまな用途ごとに印刷フォーマットがあります。さらに色々なものを作成して追加することができます。
-今はどうしているのでしょうか。
個別にその現場の業務ニーズに対応しています。例えば、サイネージと連動してお客さまが近づいてきたらクーポンを印刷発行したり、ラベルやタグという形でご提供したりできます。サトーはプリンタ&ラベル屋なので、何かを印刷することも得意です。
-海外の異常検知は、日本のオペレーションセンターで見ているのでしょうか。
SOSは、まず国内からサービスを開始しましたが、もともとは海外市場を狙っていました。サトーのプリンタは、海外では、日本の約2倍販売しています。日本だと電話をいただいてから1時間程で駆けつけられますが、広大な面積の海外だと半日かかってしまうこともあるからです。
現在、SOSを担当しているコールセンター「お客さまヘルプデスク」は横浜にあります。SOSは、既に海外10カ国以上でサービス展開しています。今後も、拡大していく予定です。
「IoTは大変だ」とか「IoTは儲からない」という話を聞きますが、われわれは実際にこうして始めることができましたし、投資効果は確保しています。ただ、IoTを始めるには新しい価値、つまりプラスアルファの顧客価値が必要です。
SOSでは、IoTで現場の状況がわかった後に、その場でコールセンターが電話を受けて対応しますが、もし直接的な対応が必要であれば保守サポートを担当するカスタマーエンジニアが現場に駆けつけます。
われわれはもともと全国レベルでのサービス体制を持っているので、お客さまの現場とつながった瞬間から、直ちに適切な対応を取り始めることができます。その体制が整っていないと、つなぐことができても、その後十分な効果が期待できません。
-でも、もともと拠点や人が多い状態でサービスをはじめるよりも、何もないところに仕組みを入れて、必要な分だけ準備していった方が圧倒的に安上がりになりそうですね。
そうですね。保守契約において海外の売上はまだ低い状態です。プリンタが売れている数に対してサービスが提供できる余地がまだまだありますね。
-なるほど。要は売り切りになっているのですね。
IoTは、ある程度支える体制が整わないと、ビジネスとして成立するところまで行かないですね。海外展開も順次、整備していますので、時間を掛けて解決していきます。
試着室でつかえるアップセルにつながるタグ、インベントリ・ソリューション
-サトーのICタグの話も教えてください。けっこう長くやられていますよね。
長くやっていますが、最近使い方がずいぶんと変わってきました。これまでは、商品や器具にタグを付けた「単品管理」が中心でした。新しいソリューションで面白いものがあります。商品にICタグを付けて、試着室の中のディスプレイと店員が持っているスマートフォンをつないだ新しいサービスです。
ニューヨークのマンハッタンにある高級なYシャツ屋さんに導入しました。Yシャツにタグを付けて、店舗内、バックヤードのどこに何があるかをわかる状態にしました。
その結果、試着室に持って入った商品もわかるので、「このYシャツだったら、このネクタイが合いますよ」という追加のセールス提案が簡単にできるようになりました。
また、お客さまが試着して、もうワンサイズ大きい服を試したい時など、うろうろ出て行けないので、試着室のディスプレイをタップして店員に通知することができます。
ディスプレイでは、インターネットショッピングのように色んな商品を見ることができて、それらを持ってきてもらうこともできますし、ECサイトに誘導されて買い物もできます。
-試着室の中でアップセルできるということですね。
今まではクロスセルやアップセルの仕組みがなかったから、ICタグを使ったソリューションが広まらなかったのではないでしょうか。製造工場で出荷時に検品ができるだけでは売上は上がりません。
-ICタグの導入は、コストが高く、これまであまり導入されてきませんでした。
無い袖は振れません。売上が上がって、さらに現場も楽になるということであれば、「だったらやってみようかな」となるでしょう。さらにICタグのアプリケーション、インターフェース含めて色々と出来上がってきたので、もっと広まっていく予感がしています。
もう一つ面白いソリューションがあります。一見すると冷蔵庫みたいなキャビネットですが、中の棚がアンテナになっていて、近接読み取りで1秒間に600枚のタグを読み取ることができます。ほぼ100%の読み取り精度です。一枚一枚重なっている積層の状態でも読むことができます。
しかも、水に入っている状態でも読めますし、金属が存在しても大丈夫です。例えば、ボルトナットを入れた箱にラベリングしてあっても、液体の入ったペットボトルの中にタグが入っていても読むことができます。
最初の用途は血液バンクでした。血液バッグの輸送には温度管理が必要なので、冷蔵ケースに入っていますが、通常の光学式読み取りだと冷蔵ケースを開けないと読めません。
開けた瞬間に温度が上昇し劣化するリスクがありますが、このソリューションでは、普通の冷蔵、冷凍ケースであれば、ふたを開けずに一瞬で読み取ることができます。
-流通業でも使えますね。
そうですね。棚の扉にセキュリティロックを掛けておけば、誰がいつ何を取り出したかもわかります。先入れ先出しをリモートでも管理できるインベントリ・ソリューションとなります。
以前からタグと読み取り技術はありましたが、その技術を使ってFIFO(First-In First-Out)を管理するソリューションはありませんでした。技術をソリューションに仕上げると、その価値に対価を払ってくれる人もいます。このソリューションを役立てていただけるのは「あら、無くなっちゃいました。」では許されない現場です。劇薬や大事な書類などの管理を必要とする病院などがそれにあたります。
他にも新しいソリューションとして、イギリスのDataLaseというグループ会社が開発した、特殊顔料によるレーザー感熱発色技術があります。最大の特徴は、「生産、梱包工程の最終段階で、ボトルや段ボール箱に可変情報の印字ができること」、「印字段階でインク等消耗品が不要であること」です。工場のラインに組み込むこともできるため、インライン・デジタル・プリンティング(IDP)と呼んでいます。
-このプリンタ設備そのものはイギリスから持ってきているのですか。
技術はイギリスで生まれました。レーザー自体は普通のレーザーですが、ポイントは特殊顔料です。顔料を最初に塗り、塗ったところにレーザーを照射し発色させます。つまり塗布できれば印刷する対象物は選びません。
-こういう話を聞いていると、私はすぐにサプライチェーンにつなげたくなっちゃうのですが(笑) 販売部門が何か売ったら、それをリアルタイムで工場に伝えて、バリアブルプリンティングするというような流れになるのかと思います。
正にその通りです。ですので、何にそのバリアブルプリンティングするか、というのが知恵の見せどころです。
アイデアの段階で考えたのがコンビニのおにぎりです。今はシールを貼っていますが、二層フィルムにして、2層目のフィルムの内側に顔料を塗りレーザー照射により印字するのです。直接食品に触れない部分に印刷する事で、衛生面の配慮もできます。
その他のサトーの取り組み
-ほかに取り組みの事例はありますか。
リストバンドでつながっていないものをつなげる
例えば、東京外語大学様の事例ですが、ここで行われている「外語祭」と呼ばれる学園祭が非常に人気です。
同大学では、各国、地域の言語を学ぶ学生がいますが、この外語祭では、世界各国の食事とお酒が楽しめるということで、近隣の人やコミュニティからも長く愛され、多くの方々が楽しまれています。
しかしながら、現在、多くの大学で学園祭でのアルコール飲酒が禁止されています。外語祭は飲酒できる数少ない例外なのです。
東京外語大学様では、安全面とコンプライアンスを重視されています。まず、来場者が二十歳以上だということを確認して、アルコールパスポートというリストバンドを着けてもらい、お酒を購入した時に、アルコールを飲んだ量をアルコールパスポート上にチェックしてもらいます。リストバンドにはお酒を購入した量が記録されますので、飲み過ぎを防止することが可能になるのです。
もともとは首からぶら下げるストラップ型でしたが、それですと貸し借りができてしまい年齢確認していない方でも飲めてしまうので、防止策になっていませんでした。しかし、ちょっとした工夫ですが、ハサミで切る以外に外すことができないリストバンド型にすることで、安心安全を実現することができたのです。
小さな工夫で、人やモノそして情報を上手につなげ、情報を可視化することで、目的に沿った運用ができるところまで考えて、ソリューション化しています。
エコへの取り組み
次に、エコについてです。
サトーの「エコナノ®」シール・ラベルは、東京理科大学と同大学発ベンチャー企業が開発した、燃焼時に発生するCO2をナノテクノロジーによって削減する技術を用いています。
シール、ラベル以外の商材にもエコナノを活用することができます。例えば北上市では、このエコナノを混ぜ込んだゴミ袋が使われています。その他にも、大手宅配便の送り状や、大手食品メーカーのパッケージに導入されたり、活用用途を広げています。
-印刷というよりも、もはや素材ビジネスですね。
はい、正に素材ビジネスです。
これまで、バーコードや2次元コードの技術を利用して、可変情報を印字するプリンタとラベルやタグ、ソフトウェアを組み合わせた、現場のお困りごと解決するソリューションサービスを行ってきました。それが「DCS & Labeling」です。
今、そこから一歩進化させたのが、IoTソリューションビジネスであり、更には素材ビジネスへとリーチを広げていこうと思っています。
ラベル一枚で行う、インバウンドツーリスト向けのおもてなし
さらに、「ラベル1枚で安心安全が国境を越えるおもてなし」についてもご紹介します。
われわれの考えているインバウンドツーリストのカスタマージャーニーは「入国から帰国まで」ではありません。その先を考えています。例えば、お土産として購入した商品にちょっとした仕掛けのある2次元コードを貼るのです。
お土産品に貼った2次元コードを読むと情報サイトに飛び、そこでは彼らの母国語で書かれた商品情報や購入店舗案内が手に入ります。
例えば、海外には、そもそも蕎麦を食べる習慣がないので、蕎麦粉アレルギーがあること自体、海外の人は知らないのです。
でも、蕎麦まんじゅうをお土産で買って帰り、友達に配った時に、渡された友達がアレルギー反応を起こしたらどうしますか?といった心配があります。もし注意事項が記載されているサイトに誘導する2次元コードが添付されていて、伝える手段が確保されていれば、「安心安全」が国境を越えていくことができます。
旅行から帰国した後、お土産を渡した一人一人にまで気配りできることが、日本人が考えるべき「おもてなし」ではないのか、と訴えています。これもモノと情報をつなぐビジネスの一例です。
最初にご相談してもらえる企業
-御社の場合、お客様のお困りごとの解決方法がもうすでに決まっていて、最後に「じゃ、このプリンタをください」と言われかねないと思うのですが、初期段階のお困りごとから入り込まれていますね。
確かに、プリンタやラベルを取り扱っていることは知ってもらっていても、「色んな現場でお困りごとを解決するお手伝いができる」というところは、まだまだ知られていません。
最初に相談してもらえる相手にならないと、ビジネスとしては広がっていかないですね。
モノの所在がわからないとか、人の管理ができない、「それならサトーにまず相談すると一番速いよね」「サトーならきっと答えを持ってきてくれるよね」と頼っていただける企業を目指しています。
最終的にサトーが引き受け元になれなくても、ティア1、ティア2の事業者になれなくても、まずサトーに相談していただきたいと思っています。「解決策のキーになるのはサトーだから、あそこに相談してみよう」というポジションに早くなりたいと思っています。
-中抜きがどんどん進んでいるので、やりようによって状況は大きく変わってくると思います。できる人と直接やりたいと思う方は多いでしょう。
そんなこともあり、サトーも東京オリンピック・パラリンピックでも貢献したいと思っています。まずは、似たような場、例えば希望郷いわて国体や横浜F・マリノスなどにスポンサーとして加わりながら、オペレーション上で何が困っているか、どう解決したらいいのかを勉強してきました。
人がたくさん集まるので現場を効率的に運営したい、日本語が分からない人に対してきちんと伝えたい、体調が悪くなった人の診察、検査を正確に行いたい、品質を保ちながら一度に大勢の方の食事を用意したい、などなどお困りごとはたくさん出てきます。世界一安心安全で、楽しい東京オリンピック・パラリンピックを情物一致の「最後の1㎝」をつなぐことで実現したいですね。頑張ります。
-本日はありがとうございました。
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