Amazon EchoやGoogle Homeなどの、昨年の音声応答エンジンの上陸をうけて、個人が使うIoTデバイスを開発する動きが加速している。
Amazonが主催する、alexaビジネスセミナーを覗いても、alexaスキルを開発したいと考える多くの来場者で賑わっている。
様々な製品が市場に投入される中、消費者の反応はどうなのだろうか。
電通の情報通信業界のアナリストである、吉田健太郎氏にお話を伺った。吉田氏は、隔月で消費者の利用意向を様々な観点で定点観測している。
2017年12月に行った、消費者意向調査では、ロボット掃除機、食器洗い機、スマートウォッチ、自動運転カー、対話型ロボット、AIスピーカー、洗濯機を自動的にたたんでくれるデバイス、音声応答で献立を提案してくれるオーブン、クリーニングクローゼットなど、世界の展示会でも注目を集める商品について、認知率と利用意向率を取得したという。(調査は各年代別男女別で、100人もしくは150人を無作為抽出で抽出。n=1400)
そこで、浮き彫りになったのは、多くの先進的なデバイスに対して、「認知度が大きいものの、利用意向が低い」という現実だった。
単に面白いハードを作ったとしても、買わないということになる。
以前、世界を席巻したデバイスというと「スマートフォン」だが、国内では相当な広告費用を使った上で、ほぼ「初期費用0円」でバラまき、利用代金で回収するというビジネスモデルがあって普及していったという経緯があるだろう。
また、未来のテクノロジーに対する期待感を調査した結果としては、「楽・便利も大事だが、安心・安全も大事」という結果になったという。
機能が多機能になっていくにつれて、消費者は「すべてのことを理解することは不可能になっていく」のだという。
その結果、「これを持っていれば大丈夫」「この企業なら任せておけそう」というモノを求める傾向が出てくるのだと吉田氏は分析する。
確かに、2008年頃に、スマートフォンでiPhoneを買う人たちの決め手には、ブランドに対する少なからぬ安心感があったのかもしれない。
IoTやAIを活用して、様々なXaaS(X as a Service)をつくるのはよいが、ビジネスモデルやビジネスプランを研ぎ澄ますだけでなく、消費者の期待値を上げるようなPRやマーケティングについてももっと考える必要がある時代が来ているといえるのだろう。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。