Armは、安全性をさらに強化し、マスマーケット向け自動運転の普及を加速させる取り組みとして、「Arm Safety Readyプログラム」、自動運転対応プロセッサである「Arm Cortex-A76AE」、安全性技術「Split-Lockテクノロジー」を発表した。
Armはこの数年間にわたり安全性を最優先課題のひとつとして取り組んでおり、今回、安全性に対する大規模な投資を集約した「Arm Safety Readyプログラム」を発表した。このプログラムは、ISO 26262とIEC 61508の規格に対応した体系的なフローや開発を行っている。
ソフトウェア、ツール、コンポーネント、認証、規格を一元管理しており、パートナーや自動車メーカーは、機能安全をよりシンプルかつ低コストに自社のSoCやシステムに実装し、これまでのスケジュールを短縮して市場投入できるようになるという。
そして、安全機能を実装した自動運転対応プロセッサ「Arm Cortex-A76AE」の提供を開始する。同製品は、車載用に独自設計され、7nmプロセスノード向けに最適化されている。また、安全性技術「Split-Lockテクノロジー」が採用されている。
「Split-Lockテクノロジー」の特長は以下の通り。
- これまでのロックステップCPUの実装では得られなかった柔軟性
- SoC内のCPUクラスタを、高性能重視の「スプリットモード」で構成することで、クラスタ内の2つ(または4つ)の独立したCPUをさまざまなタスクや用途で利用可能
- CPUがロックステップ方式で実行される「ロックモード」を使用することで、1ペア(または2ペア)のロック状態のCPUがクラスタ内で作成され、安全完全性のより高い用途に対応
- CPUのクラスタは、シリコンの生産後に、両方のモードを組み合わせた運用向けの構成が可能
また、「Cortex-A76AE」の高電力効率の演算能力で、自動車メーカーは、今日のプロトタイプのようなキロワット単位ではなく、ワット単位の電力ですむ自動運転システムを設計することも可能。こうした低消費電力化により、自動車の電池残量利用でより高いエネルギー効率を発揮しつつ、優れた熱効率によって、演算能力のパッケージングを支援し、自動車の走行距離を伸ばすとともに運転の総コストを抑えることも可能になるという。
従来同様、Armはシステム全体を視野に入れ、「Cortex-A76AE」を補完するものとして、自動運転対応の包括的なSoCの設計用に、最新のシステムIPを導入。新登場の「CoreLink GIC-600AE」、「CoreLink MMU-600AE」、「CoreLink CMN-600AE」は、高性能の割り込み管理、拡張版仮想化/メモリ管理、複数のCPUクラスタへのコネクティビティなどに対応し、マルチコアシステムでパフォーマンスを拡張。
これらの製品は、ASIL-BからASIL-Dの安全完全性をターゲットとした高性能システムを実現できるよう設計され、「Split-Lock」機能と共に「Cortex-A76AE」に採用されている機能安全を実現するという。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。