2019年5月22日~24日にパシフィコ横浜にて開催された「自動車技術展 人とクルマのテクノロジー展2019横浜」において“地方創生”をキーワードにした企画が催された。主催者企画展示の「新たな自動車技術が支える地域創生 革命的社会インフラと融合した“くるま”進化の方向性」である。
この企画はエネルギーコスト、移動コスト、ビジネス効率の3つの観点から、新しいモビリティサービス社会と地域創生の方向性およびその価値について考える、というものだ。
企画ブースでいちばん目を引いたのは、SBドライブの自動運転バス「NAVYA ARMA」である。
「NAVYA ARMA」は、レベル4での走行を前提とした低速運転EVシャトルで、フランスのNAVYASAS社が製造を行っている。自動運転バス運行プラットフォーム「Dispatcher」によって、運行スケジュールに沿った自動走行を行い、遠隔からリアルタイムで車内の安全を管理し、AIでの異常検知も備えている。
展示では実際の「NAVYA ARMA」車体内に入ることができた。座席は11人分設置されており、降車場所を選択するパネルも備え付けられていた。
地方で暮らす高齢者にとって路線バスは重要な交通手段であるが、バスを運営する側はドライバー不足などの問題を抱えていることが多い。「NAVYA ARMA」のような自動運転バスの実現は、ドライバー不足を解消し、地方の交通網を守ることにつながる。
「NAVYA ARMA」と同じく人だかりが出来ていたのは、楽天グループの研究開発機関である楽天技術研究所と会津大学が共同で開発した「遠隔スタイリング支援システム」を搭載する電気自動車「リモートファッションコミュニケーションビーグル」だ。
「遠隔地スタイリング支援システム」とは、遠隔地にいるスタイリストと試着室にいる買い物客をインターネット経由でつなぎ、ファッションアドバイスを行う仕組みである。「リモートファッションコミュニケーションビーグル」を提供しているのは日産自動車だ。
会場では実際に「リモートファッションコミュニケーションビーグル」でコーディネートを体験することができた。ヴァーチャル上の接客を行うのは、有限会社ズーティーの運営するショップ「イーザッカマニアストアーズ」である。
車内に入ると、ショッピング街を模したスクリーンがあり、そのスクリーンを通してマイクとスピーカーによる販売員との音声やり取りで服をコーディネートする、という流れだ。
デモンストレーションのため実際の販売は無かったが、コーディネートした姿をQRコードでダウンロードすることが出来た。
このような遠隔地を結ぶサービスが普及すれば、都市部と地方との消費環境の格差を是正することができる。
同企画ではほかに、トヨタ自動車による信号と連動した自動運転、クボタによる自動運転トラクタ・コンバイン・田植機などが紹介されていた。
「人とクルマのテクノロジー展2019」については7月17日~7月19日に名古屋でも開催を予定している。
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