株式会社ユビキタスは、高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot(TM)」(以下「QuickBoot」)がルネサス エレクトロニクス株式会社の車載向けSoC「R-Car」の第3世代「R-Car H3」ならびに「R-Car M3」に搭載されている最新版Renesas Linux BSPに対応し、2016年12月中旬より順次提供を開始することを発表した。
車載情報システム向けアプリケーションプロセッサの市場リーダーであるルネサス社の第3世代R-CarのR-Car H3/M3は、自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして利用できるコンピューティング性能を有している。カーナビゲーションだけではなく、メータークラスタ機能を含んだ、いわゆるコックピット、さらに安全運転支援システムに対して、車載カメラなどの各種センサーから入力される大量の情報をリアルタイムかつ正確に処理する。これにより、ドライバーは障害物の検知やドライバーの状態の認識、さらには危険予測や危険回避判断のような複雑な処理が可能になる。
車載情報機器(IVI)分野では、ナビゲーション情報や地図描画などの高度化だけでなく、デジタルTVなどのAV機能の統合や、スマートフォンやクラウドサービスといったさまざまなモノやサービスとの連携が必要となっている。また、システム外部から入力される情報量の増加などによってアプリケーションがますます高機能化、複雑化している。これに伴い個々の機能の初期化やソフトウェアの改ざんチェックなどの処理に時間を要することが多くなり、エンジン始動からユーザーが利用可能になるまでの起動時間の短縮がメーカーの課題となっていた。
最新版のQuickBootでは、第1世代、第2世代での対応実績をベースに、第3世代R-Carの持つ優れたコンピューティング性能を活かし、起動時間のさらなる高速化を実現すると同時に、クラウド時代のネットワークに接続される、いわゆるコネクテッドカーを意識し、セキュリティにも配慮した機能強化、改良がされている。
■QuickBootの主な機能強化点
・64ビット対応
ARM(R) Cortex(R)-A57/A53に対応し、Cortex-A57/A53の持つコンピューティング性能を最大限に活用した高速起動を実現
・SecureBoot対応
ルネサス社が提供するSecureBootと協調して動作し、従来の改ざんチェックに加え、QuickBoot主要モジュールおよびスナップショットイメージを含めた形で改ざんを検知しながら、セキュリティ面に配慮した高速起動を実現
・起動時間が大幅に短縮
スナップショットイメージの読込み時間を従来比で30%~40%高速化させたSuper Read Boost機能を開発し、さらなる高速起動を実現
・スナップショットイメージの保存時間が大幅に短縮
スナップショットイメージの書き込み時間を従来比で30%~50%高速化させたSuper Write Boost機能を開発。製造ラインならびにランタイム時にスナップショットイメージを保存する時間を大幅に短縮し、生産性の向上ならびにユーザビリティを向上
・スナップショットイメージの読み出しサイズの最適化
スナップショットイメージの読み出しサイズをユーザーの指定によって以前よりも柔軟に調整でき、アプリケーションに最適な高速起動が可能
・起動時にマルチコアを使ったユーザースレッド
CPUコア毎にユーザースレッドを定義し、バックグラウンドで複数のタスクの動作をサポートし、起動途中に他の処理を同時に実行することが可能
・最新のストレージメディアをサポート
UHS-I、HS200、HS400など最新の高速なSD/eMMCの規格に対応
今回のR-Car H3/M3向けQuickBootでサポートする評価ボードとして、ルネサス社のR-Car H3搭載システム開発・評価ボードと、R-Car スタータキットに順次対応していく予定。
■ルネサス エレクトロニクス株式会社 第一ソリューション事業本部のシニアエキスパート、吉田 正康氏のコメント
「車載情報システムは自動運転時代に向けてますます高度化、複雑化し、特にSecureBootをはじめとするセキュリティへの対策も求められています。ユビキタス社の高速起動ソリューションQuickBootと当社のテクノロジーの組合せによって、セキュリティに配慮した起動時間の高速化が可能となり、自動運転時代に向けた車載コンピューティング・プラットフォームとしての第3世代R-Carが強化されることを大変嬉しく思っております。」
ユビキタス社は、引き続き車載システムを中心に高速起動ソリューションの積極的な展開を図っていく。
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