株式会社NTTドコモと株式会社未来シェアは、「AI運行バス」※1の提供を実現するモビリティサービスプラットフォームの共同開発に向けた基本合意書を本日3月9日に締結した。
両社は、ドコモが保有する「リアルタイム移動需要予測※2」の技術と未来シェアが保有する配車システム「SAV(サブ)」※3の技術、両社の知見、及びノウハウを組み合わせて効率的な交通社会を実現するモビリティサービスプラットフォームの2018年度中の実用化を目指すという。
背景として、少子高齢化や人口減少が進展した地域において、交通空白地が拡大しているという交通課題がある。需要はあるものの、利用者数や利用頻度が少ない路線の運行の継続が困難となり、廃線や運行本数の削減が生じている。一方、近年外国人観光客の増加や旅行ニーズが多様化しており、目的地とバス停が離れていたり、少ない運行ダイヤに縛られ観光時間が限られてしまうという課題もある。
これらの課題に対し、ドコモが保有するリアルタイム移動需要予測と、未来シェアが保有するSAV等を連携し、「移動需要に応じて」「最適な時間に」「最適なルート」を走行することが可能となるモビリティサービスプラットフォームの開発を共同で検討するという。これは、交通事業者がAIを活用して運行する「AI運行バス」により、交通サービスを高度化するもので、具体的には移動需要のある場所、時間、乗車人数を事前にAIで予測し、それに応じた走行ルートや配車数の決定を可能とするものだ。
将来的には、モビリティサービスプラットフォームを活用した「AI運行バス」により、利用者は事前に乗車予約することなく、利用したい時に利用したい場所で、乗車することが可能となるという。また、交通事業者は事前に移動需要の把握が可能となり、より多くの人を効率良く乗車させることで、無駄の無い運行による経費削減につながる期待がある。さらには、高効率な交通社会の実現に留まらず物流事業への応用等、新たなサービスの創出にも寄与できると考えられている。
※1 人工知能(AI)によるリアルタイム処理の活用により、需要に応じ、最適な時間に、最適なルートで、最適な運行を行うオンデマンドモビリティサービスのサービス名称。
※2 ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みから作成する人口統計データに、交通事業者の運行データ等を加え、AIによるリアルタイム処理を行うことで未来の需要を予測する技術で、30分前の人口を10分周期で把握し、時系列で見たときに日本全国の人の動きを捉えられる技術。
同実験で使用する人口統計は、エリア毎や属性毎の集団の人数を示す情報であり、顧客個人を特定できる情報を一切含まない。したがって、この人口統計により顧客の行動が他人に知られることはない。なお、利用についてはモバイル空間統計ガイドラインを遵守している。
※3 Smart Access Vehicleの略称。タクシー(デマンド型)と路線バス(乗合い型)の長所を融合し、ルートを固定せず需要に応じて乗合車両を走行させるシステムで、従来人間が行っているオペレータによる配車指示やドライバーの走行ルートの判断をAIによるリアルタイム処理する技術。
【関連リンク】
・NTTドコモ(NTT docomo)
・未来シェア(MIRAI SHARE)
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