欧米で地図・位置情報サービスを展開するTomTom International B.V.(以下、TomTom)と株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコムは、日本における高度でリアルタイムなトラフィックサービスの共同開発に取り組むことで合意した。
TomTomは、世界68か国で地図サービスを展開している企業だ。5億以上の交通ビッグデータを収集し、AIやマシンラーニングを活用して分析処理をおこない配信する、リアルタイム交通情報「TomTom Traffic」を提供してきた。
ゼンリンは、国内70拠点の情報収集により、住宅地図やカーナビゲーション用の詳細な地図データを整備している。国内カーナビゲーション向けでは約7割のシェアを持ち、多くの地図配信サービス・ソリューションにも地図データを提供している。
近年では、自動運転向けの3次元地図ソリューションの提供や、ドローンの自律飛行支援のための空の3次元地図の研究開発など、先端技術に適応したソリューション開発を進めている。
ゼンリンデータコムは、ゼンリンの詳細な地図をベースに、「いつもNAVI」などの地図・ナビゲーションサービスを提供している。さらに、地図配信プラットフォームを活用した交通情報や位置情報の解析を行っている。
3社は同協業により、カーナビゲーション機能の充実、コネクテッドカー、自動運転など先端技術への活用をはじめ、新たなモビリティサービスの実現を目指す。
主な協業内容は以下の3つだ。
トラフィックサービスを共同開発
TomTomのAIやマシンラーニング技術と、ゼンリンの地図データベース、ゼンリンデータコムの情報処理技術の融合により、トラフィックサービスを共同開発する。 同取組みは、各関連団体と協調し進めていくという。
2018年度以降にトラフィックサービスの実証を開始する予定
国内のカーメーカー、ナビメーカー、ナビアプリベンダーなどへの提供に向けて、2018年度以降にトラフィックサービスの実証を開始する予定だ。渋滞情報だけでなく、正確な到着時間の予測や、高精度な渋滞最後尾予測など、ドライバーの利便性を大きく高める機能開発を推進する。
あらゆるIoT機器から得られる位置情報ビッグデータを相互に連携・活用した「地図エコシステム」
TomTomとゼンリンは、トラフィックサービスの提供を介して、自動車やモバイル端末などのIoT機器から得られる位置情報ビッグデータを相互に連携・活用することで、社会全体の交通情報の精度が向上する「地図エコシステム」の構築を目指す。
これにより、ナビゲーションなど既存サービスの充実、ダイナミックマップ基盤株式会社(ゼンリン他国内企業の出資により2016年6月に設立)の3次元地図データの協調領域と連携することで自動運転システムへのダイナミック情報の生成・提供が実現するという。
また、渋滞の抑制、スムーズな交通流などIoTと連携したスマートシティの実現にも貢献し、またこの「地図エコシステム」を活用することにより、地図データの逐次更新への取り組みも検討していく。
【関連リンク】
・TomTom
・ゼンリン(ZENRIN)
・ゼンリンデータコム(ZENRIN DataCom)
・ダイナミックマップ基盤(Dynamic Map Planning)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。