【概要】
■個人、事業者ともに、有償でも契約する意向があるコネクテッドビークル関連サービスは、「運転時の安全/安心」サポートサービス
■個人ユーザーの34.2%が、「運転時の安全/安心」サポートサービスに有償で契約する意向あり。一方「インフォテイメント」は14.0%に留まる
■自動車メーカーやITサプライヤーは、自社のサービスプラットフォームに「運転時の安全/安心」面で付加価値化できる技術要素を組み込むことが、収益上有効である
IDC Japan株式会社は、コネクテッドビークル関連サービスの調査結果を発表した。
同調査は、自動車が車外のネットワークと移動体通信でつながることで実現される、安全運転や効率の良い移動のサポート、移動を楽しむ情報提供などのコネクテッドビークル関連サービスに対する、国内の個人ユーザーと事業者ユーザーの契約/利用意向を分析したものだ。
調査結果から、個人、事業者ともに、有償でも契約する意向があるコネクテッドビークル関連サービスは、「運転時の安全/安心」サポートサービスであることが分かった。
個人ユーザーに、コネクテッドビークル関連サービスに対する契約/利用意向を尋ねたところ、有償でも契約するとの回答率が最も高かったのは、「運転時の安全/安心」をサポートするサービス(走行環境、周辺の車の状況、運転者の状態に応じた安全運転ガイダンスや、事故時の自動通報/ロードアシスタンスサービスなど)で34.2%だった。
「効率の良い移動」をサポートするサービス(目的地までの渋滞、路上異常、アクセス制限地域などを回避する最適ルートのナビゲーションや、スムーズな信号機対応のための速度勧告など)が27.2%、「車両のリモート診断/通知」サービスが22.4%で続いた。
他方、「インフォテイメント」サービス(音楽、ビデオ、ニュースをはじめ、交通/天気/レストラン関連コンテンツなどを走行場所や搭乗者の興味や嗜好に応じて提供)は14.0%と低く、「運転時の安全/安心」「効率の良い移動」をサポートするサービスと比較すると、サービスの運営主体となる自動車メーカーやサービスプロバイダーの収益上の貢献度は低くなると考えられるという。
事業者ユーザーへの同様の質問に対して、有償でも契約するとの回答率が最も高かったのは、「運転時の安全/安心」で26.2%、続いて「効率の良い移動」が22.4%だった。
「インフォテイメント」は13.4%と低いが、他方「車両/運行管理」サービスが22.0%、「車両のリモート診断/通知」サービスが21.2%、またPC/モバイル機器などインターネットや社内ネットワークにつないで行う作業を乗務員が車で移動中(あるいは運転車が停車中に)効率よく行える、「仕事関連作業」をサポートするサービスが18.6%だった。
2割前後のユーザーが有償での利用意向を示すサービスが多くあり、事業者向けコネクテッドビークル関連サービスにおいては多様な事業機会があることが示唆されている。
多くの自動車メーカーやITサプライヤーが、コネクテッドビークル市場向けに、ビッグデータ分析、AI、セキュリティ管理といった技術要素を組み込んだ独自のサービスプラットフォームを構築している。
そのプラットフォームに自動車からのデータなどさまざまな情報を集約し、そこで得られた知見を自社、あるいは外部のサービスプロバイダーのサービスに還元する形での収益モデルの創造を図っている。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの敷田康氏は次のように述べている。
「調査の結果を踏まえると、自動車メーカーやITサプライヤーは自社のサービスプラットフォームに、走行環境に応じた安全運転ガイダンスなど、安全/安心面で付加価値化できる技術要素を組み込むことが収益上有効である。加えてAPIを外部に開示するなど多様なサービスプロバイダーの知見が活かされる施策を推進し、収益モデル実現の選択肢を広げることが重要である」
【関連リンク】
・IDC Japan
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