【概要】
■2017年の国内コネクテッドビークルソフトウェア市場は200億円を超える規模
■2017年~2022年の年間平均成長率は28.2%、2022年の市場規模は750億円と予測
■今後自動車OEMやサービス事業者は、コネクテッドビークル関連サービスの付加価値化、差別化のために、データの種類や量の増大に対応するソフトウェアの支出を拡大する
IDC Japan株式会社は、コネクテッドビークル(つながる車)ソフトウェア市場予測を発表した。
これによると、2017年の国内コネクテッドビークルソフトウェア市場規模は217億円を見込む。また、2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は28.2%で推移し、2022年には750億円になると予測している。
ユースケース別にみると、走行環境、周辺の車の状況、運転者の状態などに応じた安全運転ガイダンスなど、運転上の「安全/安心」をサポートするユースケースが市場を牽引すると考えられる。
先進運転支援システムを実現するためセンサーシステムを多用する動きは2020年までに急速に進行。車両のカメラやセンサーからだけでなく、V2X(Vehicle to Everything)通信で得られるデータも「安全/安心」の向上に活用されるという。
そのためデータの種類や量は増大し、データ管理/解析ソフトウェアやITインフラストラクチャ関連ソフトウェア、セキュリティソフトウェアへの支出が拡大するとIDCは予測している。
「車両/運行管理」のユースケースにおいては、クラウドやAIの活用が始まっている。
今後は特定の産業分野や職種に特化したサービスの開発が進み、車両/運行管理サービスのプラットフォームと、産業/職種特化型アプリケーションへの支出が拡大するという。
広範な産業分野に展開されることで、2020年以降の成長が期待される。
産業分野別にみると、国内の自動車OEM、1次サプライヤーなどで構成される「自動車産業」分野が市場の牽引役となるという。
さまざまなパートナー企業を巻き込んだデータ利活用に基づくサービス競争を勝ち抜くために、自動車OEMはコネクテッドビークルの情報を蓄積、管理、解析し、有用なインサイトを生み出すための一連のソフトウェア領域への支出を拡大するという。
2020年はパートナー企業との連携に基づくサービス開発が本格化する年と位置付けられ、管理/解析対象となるデータの種類、量はこの期を境に飛躍的に増大するとIDCは予測している。
「車両/運行管理」というユースケースの最大の顧客となる「運輸」分野においては、サービスプラットフォームに加え、貨物運送/旅客運送における業種特化型のアプリケーションへの支出が2020年~2021年に向けて拡大するという。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーである敷田康氏は次のように述べている。
「コネクテッドビークル向けプラットフォームを展開するITサプライヤーは、顧客の拡張に対応できる柔軟なソリューション提供体制を整えるべきである。
車両保有企業を顧客とする場合は、車載通信機器ベンダーなどとの連携に加えて、差別化のために、搭乗者向けのAI音声アシスタントを利用した生産性向上ツールを揃え、顧客にとって有用なコグニティブ/AIシステムの学習用教師データを提供できる企業などとの連携を進めることが重要である」(敷田氏)
【関連リンク】
・IDC Japan
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