IoTプラットフォームである、SensorCorpusを提供する、株式会社インフォコーパスが、7/19よりリリースする新機能に関する発表会を行った。
昨今のIoTプロジェクトの問題点
冒頭、代表取締役社長の鈴木潤一氏から、「大企業はIoTをSI的に導入しているケースを見かけるが、特注でつくり込みしているためコストがかかってしまっている。また、パッケージを導入した場合も、現場に合わないという不満がでるケースを見かける」という問題提起がされた。
また、本格的にIoTを活用しようとした場合に、PoCを進めるまではよいが、本格稼働に至らないケースが多いのだという。
IoTプロジェクトは、いろんなセンサーをつかってデータ収集をすることから始まり、そこから、データを分析していき相関関係を取っていく。さらに、統計的な処理やディープラーニングを活用して解析していくというプロジェクトに発展していくのだ。
そういったプロジェクトを実現するためには、一社だけの垂直的なサービスで網羅することは難しく、大衆的な(みんなが使える)プラットフォームをベースにして、センサー企業やサービスプロバイダなど多くの企業とエコシステムを築いていく必要があるのだという。
IoTプラットフォームに必要な要件
それに必要なIoTプラットフォームは、
- 誰でも簡単に、安く使える
- センサーの数が増えても、センサーの種類が増えても対応できる
- センサー以外の様々なデータやアプリケーションと融合させていくことができる
- 最先端のセキュリティーを適用されている
といったことが要件となるのだ。そしてこれが、インフォコーパスの提供する、SensorCorpusの開発コンセプトとなっているのだという。
必要な機能をワンパッケージにし、規模が大きくなってもそのまま使うことができる、システムを月額5万円から利用可能としたということだ。
IoTを普及された後の、「1兆個のセンサーが使われる時代」に向けて多くのセンサーの接続性を担保し、安価に利用することができるサービスを目指しているという。
機能としては、IoTデータ・マネージメントとして、センサープロファイルやデータのクレンジングをすることができ、ストリーミングデータを「わけたり」「あわせたり」「変換したり」とプロセッシングすることができる。さらに、大規模IoTシステムヘの対応も行うことができるようになったということだ。環境も、AWS, Azure, GCP, オンプレミスといった様々な環境でも動作する。
最後に、鈴木氏は、「多くのIoTプログラムは水平分業化され、大衆化されるべき」とし、「誰でもIoTの主役になれる、エコシステムを形成していく」ということが重要だと述べた。
SensorCorpus新機能
また、取締役CTOの堀智之氏より、新機能に関する説明があった。
IoTデータの「収集・可視化、通知、制御、分析」といったことができるSensorCorpusだが、初期のローンチより2年近くの年月で、コア部分を固めてきたのだという。
以下に新機能の概要を解説する。
ダッシュボード強化
複数のグラフパーツを組み合わせて表示することができる。数値表示、時系列グラフ、分布図、ゲージ機能、ポインター機能、地図機能、動画表示、Webサイト埋め込みなどのパーツを呼び出し、ダッシュボードで表現することができるのだ。
大規模導入に向けた利便性強化
ユーザをグルーピングをしてそれぞれ向けのビューをつくることができる。経営部門や管理部門、といったように、グループ単位でのビューをつくることができるようになった。
センサーデータリアルタイム加工処理(SDSP)の正式対応
AというデータとBというデータを合わせてCというリアルタイムデータを生成し、制御をするなどができるようになった。
たとえば、「摂氏を華氏」に変える、「色の平均値を出す」「温度、湿度から熱中度指標を計算」したり、「平均や最大、標準偏差」などをリアルタイムで変換することができるということだ。
「エラーが起きた時だけデータを振り分ける」といった、通常負荷の高い処理も、低負荷で実現することができるのだ。
大規模利用に向けたセンサー管理強化
増えていくセンサーやゲートウエイ情報について、登録を1件ずつ行うのは現実的ではない。そこで、インポート、エクスポートへの対応を行ったという。
運用管理強化
最新の利用状況、例えば、今月のデータ登録料がどれくらいかかっているのかを簡単に確認することができるようになったのだという。また、総データ容量についても把握することができる。
というのも、SensorCorpusは、月額5万円で提供されているが、課金単位が、データ登録件数でセンサー登録件数ではないということからきている。
つまり、センサーの登録数が多くても、情報をアップロードしない限り課金がされないのだ。
この登録数は、管理画面から確認することができ、オンプレミス環境の場合は、画面のスクリーンショットなどを提供してもらうことになるのだということだ。
また、月額5万円の場合、1分間に1回データをアップすると10台、1時間に1回だと600台の利用が可能と言うことだ。
新機能説明の最後に、「これらの新機能は、7/19よりリリース開始する」と述べた。
さらに、今後は、リアルタイム制御の暗号化、匿名化、APIセキュリティの強化、エッジコンピューティング強化、データの相互連携、自然言語や画像・動画管理機能や、API対応も順次行っていくということだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。